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by hiroseto2004

三菱自動車岡崎工場で労災隠し ――違法派遣で被災、右肩脱臼――

三菱自動車岡崎工場で労災隠し


■請負会社、労組の交渉申入に返答拒絶
派遣会社を通じて
三菱自動車工業の岡崎工場構内に
違法派遣されていた
日系ブラジル人労働者が、
今年6月28日に
岡崎工場内で労災事故にあい、
右肩脱臼で
全治1ヶ月以上の重傷を
負ったにもかかわらず、
労働基準監督署に
労災の届出がなされていないことが
わかった。
日系ブラジル人労働者・Oさん(31歳)は
個人加盟制の地域労組に加入し、
労組は三菱自動車工業や
構内請負会社「東山」(代表取締役:塚田康雅)〔注1〕・
派遣会社の三社に対して
交渉の申し入れを行なったが、
三菱自動車は交渉を拒絶。
東山も
回答期限までに
交渉申し入れへの回答をしなかった。
派遣会社は労組との交渉に応じ、
労災手続きを進める意向を示している。





■違法派遣・社保にも未加入……
交渉の申し入れを行なったのは
愛知県の個人加盟制労働組合・
名古屋ふれあいユニオン
(「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟)。
申入書によると被災したOさんは
今年2月28日から、
安城市に本社を置く派遣会社を通じて
三菱自動車工業岡崎工場内で
構内作業を請け負っている
東山の作業所に派遣された。
就業にあたっては、
派遣先である東山の従業員が
労働者派遣法などで禁止されている
事前面接を行なっていた他、
リフトの技能テストを行なうなどして、
本来派遣先が行なってはならない
採用行為に関与していた。

またOさんは就労にあたって
労働者派遣法で規定されている
労働条件通知書などを
受け取ることなく勤務しており、
社会保険にも未加入であるなど、
違法派遣の状態にあったと
組合側は指摘している。

■三菱自動車・東山側も事故を把握
今年6月28日午前8時30分ごろ、
Oさんは三菱自動車岡崎工場内の
北西のエリアで
労災事故に巻きこまれた。

今年6月28日、
Oさんは
自動車の車輪だけがまだつかない車体を
台車にのせて、
東山の日本人従業員・Yリーダーとともに
運んでいた。
Yリーダーが
後ろから台車を押して誘導し、
Oさんが前で後ろ向きになって
台車を支えて進んでいたという。

午前8時30分ごろ、
スロープにさしかかった時、
スピードを上げた台車を
後ろから押していたYリーダーが
制動しきれなくなり、
前にいたOさんを押して転がし、
転んだ彼の肩の部分に
車体ごと乗り上げてしまったという。

Oさんは肩を負傷し、
「救急車を呼んで」と叫んだが、
Yリーダーも、
呼ばれてやってきた東山の班長も
「いいよいいよ」と制止して
救急車を呼ばなかったという。

このとき、
三菱自動車の
「エライさん」(Oさんたちの朝礼をやる人)が
心配顔で見に来たとOさんは言う。

これで
対処を急がなければと思ったのか
東山の現場の責任者・I氏がやってきて
指示を出し、
負傷したOさんを
工場外に運び出し、
そこで車で待っていた派遣会社の社長が
車で病院に連れて行った。
このときすでに
事故から3時間たった
午前11時半ごろであった。

病院代は派遣会社の社長が支払い、
その後もう一度この病院に行った際も
派遣会社の社長が
料金を支払ったという。

■派遣社長「外でケガと言ってくれ」
だが、
なおも肩が痛くて仕方がなかったOさんは
事故から三週間たった7月16日に
岡崎市民病院へ行った。
しかし、
その前の日である7月15日に、
Oさんは派遣会社の社長に
「国民保険でやれ」、
「外でケガしたと言ってくれ」と
言われていたため、
仕方なく
「坂で転んだ」と
病院では告げざるをえなかったという。

Oさんは岡崎市民病院で
レントゲンとMRIを取り、
「ひびが入っている、
 骨折している」と言われて
痛み止めをもらい、
包帯を肩から掛けてもらった。
その後約10回通院し、
右肩鎖間接脱臼の診断を受けた。
その間、
国民健康保険で三割、
二万円ほどの支払いを
強いられたが、
派遣会社からは
二千円程度もらっただけであるという。

■派遣会社「三菱・東山が職場復帰に難色」
なお派遣会社は、
Oさんの同僚らに
「Oはクビだ。
 ビザが無いから」などと
事実無根のことを
言いふらしているという。

名古屋ふれあいユニオンはこれに対して、
「そんなことは許されない。
 Oさんはビザ更新を
 つい最近しているし、
 そもそも労働基準法第19条には
 『使用者は、
  労働者が業務上負傷し、
  又は疾病にかかり
  療養のために休業する期間……は、
  解雇してはならない』と
 明確に定められている」と
申し入れの中で強く反発している。

派遣会社側は代理人弁護士を通じて
これに対し、
「Oさんの勤務場所は
 三菱自動車工業岡崎事業所に
 限定されている。
 三菱自動車も東山も
 Oさんの受け入れに難色を示しており、
 職場復帰は難しい。
 退職勧奨などの形で
 処理させてほしい」と
ユニオンに対して回答している。

三菱自動車工業は
名古屋ふれあいユニオンの申し入れに対し、
「本件は、
 弊社の業務委託先である
 東山(株)における事柄であり、
 当社は
 関与すべき立場にございませんので、
 ご要望には添いかねます」と
交渉を拒絶。
東山も
名古屋ふれあいユニオンの申し入れに対して
「弊社と致しまして派遣会社に対し、
 O氏の労災申請をするよう
 話し合いを行いました。
 また、
 労働基準監督署より弊社に対し
 問い合わせ等あれば
 対応いたします」とのみ回答し、
交渉の申し入れに対しては
返答をしなかった。

〔注1〕東山株式会社は戦前、
三菱重工名古屋航空機(大江)で
製作した軍用機を
岐阜県各務原飛行場まで
牛車や馬車で搬送した際、
三菱重工の岩崎彦弥太副社長から
その功績を認められ、
岩崎家ゆかりの
東山牧場の名をたまわり
「東山組」が設立されたことが
起源とされるなど、
三菱グループと
ゆかりの深い会社である。
by hiroseto2004 | 2010-10-12 19:53 | ジェンダー・人権(労働問題) | Trackback