ブラック企業横行・カローシ大国と「ギリシャ的破滅」状況の併存という踏んだり蹴ったりの結果
2013年 09月 12日
【ブラック企業横行・カローシ大国と「ギリシャ的破滅」状況の併存という踏んだり蹴ったりの結果】
「価値観を転換しなければ、日本がギリシャやデトロイトのようになる。」
と申し上げてもピンとこない方も多いかもしれない。
「俺たちは違う。ギリシャ人のようにサボってはいない!」(この言い方も失礼ですが)。
と反論される方もおられます。
そこに落とし穴がある。というより、日本人の場合は、まじめすぎるからこそ、
やばいのです。修正がきかないのです。
戦後、日本が経済発展したのはなぜか?まず、そこから見ていかないといけません。
「よく働いたから」という回答。これでは、おそらく100点満点で35点くらいです。
「よく働いた」ことは経済成長の 「必要条件」であっても「十分条件」ではないのです。
一つの発展の理由は焼け野原からの復興であったから。すなわち、人々の暮らしのニーズ
(住宅、そして耐久消費税)を満たすために、成長した。
これが、特に東京五輪位までは大きな要素だったと思います。 戦前の生活水準に戻ったのは1950年代末くらいまでかかった という説もあるくらいです。
そこから、さらに、アメリカやドイツ等他の欧米と1人当たりGDPで並ぶまで、しばらくかかり、それが1970年代前半だったと推測されます。
もう一つは、低廉な石油をはじめ、資源を利用できたことがあります。
そして、もちろん、人口も増え続けたこともあります。
1980年代には、上記の要因も頭打ちになった。
それでも、日本人はハードに働き続けた。だが一方で実は生産性は低い、
という問題点は残っていた。それは、当時のレーガン政権によるドル高(円安)
政策で隠蔽されていました。
1980年代前半には、アメリカとの貿易摩擦にそれは結果したわけです。
これに対してアメリカが反撃したのが円高攻勢、そして、1990年代の構造改革要求でした。
また、この時期に冷戦は崩壊しました。
しかし、日本人は、1990年代以降、変わる方向を間違えました。
変えるべきことは変えなかった。そして変えてはいけないことはアメリカの要求に従い変えた。
さらに、1998年の橋本龍太郎内閣の消費税増税、2000年代前半の小泉純一郎さんによる地方切り捨ての財政政策が追い打ちをかけました。
あの時点で、「環境・福祉重視型の大きな政府」へ移行していればまだ事態はましだったのでしょうが、日本は機を逸しました。
格差是正なき労働の規制緩和は、結局は、若者を中心とする雇用の不安定化、そして、 一方で正社員の長時間労働の復活、過労死の若者・女性への拡大をもたらしました。
規制緩和については、あるときまでは共産党を除くオール与党で通り、「連合」も これを容認してしまっていた。とりあえず、「正社員既得権護持のための調整弁として非正規」を考えていたのでしょうが、結局は、非正規の拡大、正社員の酷使はセットで進んだのです。
いくら、働いても庶民の暮らしは良くならない。そんな中で、少子化・高齢化は進んだ。高齢化は、長寿化ですが、問題は人口減少、それも産みたくても産めない環境への悪化です。
女性労働力率の低さと出生率の低さのセットが日本の問題点を如実に表しています。かくて、日本経済のブラック化が進んだ。
人口がこのまま減り続け、従来のやり方を改めなければ、それこそ、日本は デトロイトのようになりかねません。
皮肉ですが、かつて、無理をして経常黒字を出した構造(カローシ大国、そしてワークライフバランス劣等生)が、生産人口減少に結果し、そして、急激な経常赤字、それも恒常的な赤字構造に転落することになる。そして日本はデトロイトになる。 踏んだりけったりの結果です。
ブラックな状態では、いいアイデアも出ない。日本は、中国や韓国に対しては実は貿易黒字が長く続いた。いまは、中国の経済が失速して対中国自動車輸出が不振に陥り、 赤字に転落していますが。
ところが、欧州に対しては赤字が続いています。背景には、先ほど申し上げたような「努力一辺倒で頭を使っていない」ところに原因がある。
日本人よりゆったりしている欧州に対して貿易赤字。日本が先進国としては「失格」な状態にあることを示しています。
スポーツの暴力沙汰も同じ文脈に位置付けられます。
だが、日本は、相変わらず「努力すればなんとかなる」という考え方にとらわれ道を誤り続けています。分かっているけどやめられない、というほうが正確かも しれません。
「サボっている国が日本よりマシで暮らしを楽しんでいるのに、何でカローシ大国の俺らが、ひどい目にあうのだ。納得できない。
いや、まてよ。安倍さんが何とかしてくれるかもしれない。最後の望みを安倍さんに賭けよう。
これだけ努力しているのだから、きっといいことがある。
少々胡散臭いが、安倍さんが何とかしてくれるかもしれない。」
「納得できない」と言って、路線転換を拒み、「結局は、消費税増税しか手がない」安倍さんに賭けたら、
すさまじい破滅が待っていることでしょう。
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