エコでフェアでピースな世界をヒロシマから国政へ!成長戦略から成熟戦略。誰もが置きざりにされない社会を。核兵器も原発もない世界を。役人からヘルパーへ。庶民増税より格差是正。ヒロシマの心活かす市民発・政界再編。


by hiroseto2004

「ダブスタの米国」への反感暴発の延長としての「ドゥテルテ・エルドアン・安倍」現象

フィリピンのドゥテルテ大統領が「米国にさよなら」とぶち上げました。

ドゥテルテ大統領は実は「フィリピン版中核派」とも言えるフィリピン共産党の創設者の愛弟子です。
麻薬犯罪者を裁判なしでぶち殺しまくり、多くの国民の喝采を浴びています。
とにかく母アキノに始まり息子アキノに至る市民派が政権を握った時代=ポストモダンにフィリピンが周辺のアジア諸国に置いてけぼりを食らった感はあります。

さらに、そもそも、アメリカからの独立後もずっとアメリカに従属しつつ、貧困や格差が放置されてきたこと。こうしたことからもあります。
「アメリカむかつく」という空気と、さらに「アメリカがフィリピンに強要してきた人権もむかつく」という空気がドゥテルテを押し上げているのではないでしょうか?

しかし、その勢い余って、そのうち批判勢力まで弾圧して独裁が加速しかねないというリスクが極めて高くなっているのも事実です。

トルコも長年アメリカの同盟国でした。第一次世界大戦敗戦を契機に当時の世界でも先進的な憲法をケマル・パシャがつくったのです。
しかし、トルコにおいても、アメリカへの反感は高まっています。
そうした中で、クーデター未遂事件を契機に大統領のエルドアンは決定的に反米、そして親露へと舵を切りました。他方で、国内では大弾圧を行っていますが、エルドアンへの一般国民の支持は高い状態です。
エルドアンは、原発を日本やロシアから購入しようとするなど、原発もバリバリ推進です。
軍幹部を含むインテリでは、中東では珍しいレベルで多様性を尊重する世俗主義への支持が高く、反エルドアンの空気が強いのですが、一般庶民ではエルドアンへの支持が高いという状況になっています。

アメリカへの不満が、勢い余ってアメリカが代弁してきた「人権」、特に「多様性の尊重」を勢い余って打倒してしまっている。そんな感じを受けるのです。

アメリカが長年「人権と民主主義」の旗手を名乗りながら、特に中東では、イラク戦争などでの民間人殺害や、テロ支援国家で絶対王制のサウジへの支援など全く違うことをしていることは事実です。
さらには、特にポストモダン期以降のアメリカは「多様性の尊重」には表面上熱心でも、格差是正には極めて冷淡です。
いまなお、アメリカ国内でも人種差別が根強く、このことが中東でも失笑を買っています。

こうしたことを背景に「米国という王様は裸だ」と叫んでしまうドゥテルテなりエルドアンなりが、たとえ、人権侵害や原発推進であったとしてもバカ受けしてしまっているのです。

日本において安倍政権が受けているのも以下の要素があると思います。
小泉純一郎政権時代のアメリカ盲従よりは、安倍晋三総理の方がまだバランスが取れてマシに見えてしまう、ということはあります。
安倍政権は確かにロシアやイランとの関係強化にも取り組んでいます。
それがバランスよく見えてしまうのです。

また、90年代から00年代半ばくらいの新自由主義路線と多様性の尊重をセットで進めてきた政府(官僚)の路線への反感もあるでしょう。
格差是正を求める声が一定程度強まる一方で、多様性の尊重を踏みにじる動きも強まっています。それが安倍政権への追い風になっている面は確かにあります。

ただし、安倍政権の場合は、ドゥテルテやエルドアンと違い、対米・対多国籍企業従属色をかなり残しています。そのために、多国籍企業に主権を移してしまうTPPについては結局推進、その分、それによって生じた人々の不満を、マイノリティに向けさせることでガス抜きを図る、という案配ではないかと思います。

いずれにせよ、「ダブスタ米国」への不満の暴発は、アメリカとアジアの旧西側諸国の距離を広げる一方で、これらの国において、人権、とくにマイノリティの尊厳を傷つける方向にも向かっていると思います。

「アメリカはひどいのは事実だが、反米の勢い余ってこれまで近代が勝ち取ってきた人権なり民主主義なりも危うくなる。」
こうした状況が広がっています。

民主主義や人権を守りたい人たちは、アメリカ、特にポストモダン期に格差を広げたアメリカやその同盟国政府の問題点を直視し、彼らがポストモダン期におろそかにしてきた「階級格差の是正」にも力を入れるしかないでしょう。


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by hiroseto2004 | 2016-10-20 20:25 | 思想・哲学 | Trackback