墺大統領選、緑の党前党首が勝利、極右厳守誕生は阻止
2016年 12月 05日
オーストリアの大統領はアメリカのそれとは違って儀礼的なものです。
どちらかといえば「任期付の象徴天皇」に近い存在です。
それでも極右政党が取るとなると影響は大きいところでした。
アメリカのトランプ当選などもあって、逆に有権者にブレーキがかかった面もありますね。
【ベルリン時事】4日に行われたオーストリア大統領選のやり直し決選投票で、リベラル系の「緑の党」のファンデアベレン前党首(72)が同日夜(日本時間5日未明)、記者会見し、「何より親欧州で寛容な大統領になるよう努める」と述べ、事実上の勝利宣言を行った。
対立候補の極右・自由党のホーファー国民議会(下院)第3議長(45)が勝てば、欧州連合(EU)初の「極右出身の国家元首」が誕生するところだったが、これを阻止した。
ホーファー氏は自身のフェイスブックで、「ファンデアベレン氏の勝利を祝福する」と敗北を認めた。地元メディアが伝えた予測得票率によると、ファンデアベレン氏が約53%で、ホーファー氏に約7ポイントの差をつけた。
オーストリアでは昨年以降、中東やアフリカから押し寄せた難民への警戒感や、難民問題の解決策を打ち出せないEUへの不満が高まり、「反難民」姿勢を取るホーファー氏への追い風になっていた。だが、英国のEU離脱決定や米大統領選でのトランプ氏当選で欧米の先行き不透明感が強まる中、有権者が安定を求めた可能性がある。
フランスのバルス首相はツイッターで「ポピュリズムは欧州の運命ではない」と述べ、ファンデアベレン氏の勝利を歓迎。DPA通信によると、ドイツのシュタインマイヤー外相は「欧州のポピュリズムに対抗していく上で良い兆候だ」と語った。
ただ、オーストリアの自由党は政党支持率でトップ。政権を担当する社会民主党、国民党に対する国民の支持離れが進んでおり、2018年予定の議会選で自由党が躍進する可能性が高いとみられている。
オーストリア大統領は儀礼的役割が中心。大統領選は4月に第1回投票が行われ、ホーファー氏が首位だった。5月の決選投票では、ファンデアベレン氏が僅差でホーファー氏に勝利したが、開票手続きの不備が見つかり、投票やり直しとなった。