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by hiroseto2004

乳幼児の入院付き添い、なぜ24時間?(記者の一言)【他社報道】

建前は「家族の希望」といいながら、実際は強制に近い。「家族の希望」だから、全然、社会的な対応もされていないのですね。
「制度上も非公式だから、親の付き添いはシャドウワーク(不可欠でありながら報酬がない労働)になってしまっている。逆にシャドウワークだからこそ問題化されない。小児病棟における親の付き添い問題は『問題そのものが存在しない』のです。しかし、現実にはこどもの入院に長期間もしくは何度も付き添ったために職場を辞めなければならない母親は存在します。こどもの入院に付き添っても職場で不利益を被らないようにするための法整備と、一方で、入院が長期化した場合に家族を付き添いで縛ることのないような新たな小児看護体制の見直しと言う、病院と社会の両面からの制度の再構築が必要なのではないかと考えます」






肺の難病で移植しか治る方法のない、1歳の女の子が肺移植を受けて初めて家に帰るまでの軌跡を取材しました。その過程でどうしてもおかしいと思ったことがありました。

 連載に登場した女の子が一般病棟に移ることを病院から勧められた際、家族は24時間付き添うよう言われたのです。1時間程度の不在なら看護師が代わりに様子をみると言われましたが、基本は家族がみることになる――という内容で説明を受けたそうです。

 両親は途方に暮れました。「短期間で退院のめどがいつとわかっているなら夫と交代で乗り切ることもできる」と女の子の母親(39)は言います。実際、肺移植後の2カ月にわたる入院のうち、集中治療室(ICU)で過ごした約20日間を除き、両親が10~2週間おきに交代で24時間女の子に付き添いました。

 ですが、「待機の期間が年単位にもなるかもしれない間、どうやって24時間の付き添いを家族で乗り切るのか、本当に困った。『自分はなんて家族の力が低いんだろう』と情けなく思いました」と、母親は振り返ります。

 

 高齢の祖父母に長時間の付き添いは頼れず、感染症対策で病室に入ることが禁じられている兄(4)を実家や保育園に預けながら、両親のどちらかが女の子に付き添うほかありません。シッターを雇うにも金銭的な限界があります。

 考えた末、「24時間付き添い続けるのは無理。家に連れて帰ろう」と家族はいったん決めました。幸いなことにその直後、肺の提供者が現れ、この話はなくなりました。

 母親は言います。「私みたいに親が高齢で協力も得にくい人の子どもが病気になったらどうしようもない。働いている親も退職せざるを得ない状況。どうにかしていけるシステムが何か必要なのではないでしょうか」

 

 今も小児病棟で、子どものベッドの脇の簡易ベッドで寝起きしながら24時間の付き添いを続ける家族が、全国にたくさんいます。

 24時間の付き添いを家族に求めているかどうかは、病院によって違います。付き添い不可の病院、夜は帰宅を求める病院、3歳まで24時間の付き添いを求める病院、親以外の付き添いを禁止している病院など様々です。

 親の保護が必要な子どもが病気になっているという状況を踏まえても、家族に24時間の付き添いを求める理由は何なのでしょうか。

 

 「保険診療上は家族の付き添いは不要と言うのが建前です。付き添いはあくまで家族の『希望』という扱いでしかありません」

 青森県立中央病院総合周産期母子医療センター成育科の網塚貴介部長はそう言います。付き添いが「希望」という扱いになっていることに驚きました。なぜそうなっているのでしょうか。

 「一般病棟の小児の看護体制は大人と変わりありません。医療の世界では子どもを預かるのに託児という概念が全くないのです。夜勤の看護師1人が担当する子どもは10人を超えることもあります。保育園と比べると、その手薄さは明らかです」

 確かに、保育園の保育士の配置基準は1歳未満の乳児で1人当たり3人まで、3歳以下でも6人までです。

 「一方で家族に付き添いを求めていない病院でも、潤沢な看護師配置が可能なわけではありません。そのゆがみは、乳児に1人でミルクを飲ませたり、入院数に制限を設けたりせざるを得ない状態となってあらわれるのです」

 親の「希望」という建前で成り立っている付き添いは、これまで問題化されてきませんでした。網塚さんは言います。「制度上も非公式だから、親の付き添いはシャドウワーク(不可欠でありながら報酬がない労働)になってしまっている。逆にシャドウワークだからこそ問題化されない。小児病棟における親の付き添い問題は『問題そのものが存在しない』のです。しかし、現実にはこどもの入院に長期間もしくは何度も付き添ったために職場を辞めなければならない母親は存在します。こどもの入院に付き添っても職場で不利益を被らないようにするための法整備と、一方で、入院が長期化した場合に家族を付き添いで縛ることのないような新たな小児看護体制の見直しと言う、病院と社会の両面からの制度の再構築が必要なのではないかと考えます」

 

 育児をめぐる対応は、病院の外では大きく変わってきています。「育児疲れ」を理由に、保育園の一時保育を利用できるようになっています。一方、病院では一日中ベッドサイドで子どもと過ごしている親たちがたくさんいます。

 「私が過去に診ていたお子さんのお母さんで、約2年半、子どもの24時間付き添って病院に暮らしていた方もいらっしゃいました」と、網塚さん。

 病院の外では、少子化対策や保育園の整備の充実が叫ばれている中、病院の中では、少子化対策とはほど遠い、子どもとその家族の風景がある。言葉を失いました。


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by hiroseto2004 | 2017-08-27 21:58 | 介護・福祉・医療 | Trackback