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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

世田谷区公式イベントでの音楽家による暴力事件「暴力を肯定する大人ばかりではない」(赤木智弘さん)

本社社主・さとうしゅういちが少年時代を過ごした世田谷区で起きた暴力事件。
赤木智弘さんのコメントが正論だと思います。
若いときに管理教育を批判してきた保坂区長。
このままではがっかりですよ。

世田谷区教育委員会が主催するイベントで、世界的なトランペッターである日野皓正氏が、周囲を無視するような形でドラムソロを叩いていた中学生に対して往復ビンタを浴びせた事件について。(*1)

最初に結論をハッキリと示す。「叩いた日野氏が100%悪い」である。これ以外の結論はありえないし、これ以外の結論に対して一理あるなどと、理解を示してはいけない。

世田谷区は二度と彼を招致しないべきだし、彼を指導者として雇った責任を負うべきである。現在の世田谷区区長である保坂展人氏は、学校の管理教育を徹底して批判してきたはずの人だ。このような教育に名を借りた暴力肯定を決して許してはならない。

いくら日野氏が世界的なミュージシャンであろうと、そのような権威を笠に着た暴力が許されるべきではない。世田谷区は区のイベントから日野氏を追放するべきである。自治体として暴力を許容するような間違えたメッセージを発するべきではない。

中学生が自分勝手にドラムを叩き続けたから悪いという意見もあるが、たとえ演奏の範疇から逸脱した行為があったとしても、中学生はあくまでもドラムを叩いていただけである。もし、これによって他者の生命の危機などが存在したならともかく、ドラムを叩かれただけでは緊急避難なり正当防衛は認められない。法的に見ても彼の暴行は許容されない。

こんなことはごく当たり前の教育を受け、今の社会に生きてきた人であれば、当然至るべき結論だと思うのだが、残念ながら「中学生が悪い」とか「しつけのためには暴力も時には必要だ」とか「中学生もその親も自分が悪いと言っているからいいのだ」などという声も大きい。

ちなみに「しつけのためには暴力も時には必要だ」と言っているのは、当の暴行を行った日野皓正氏(*2)であり、「中学生もその親も自分が悪いと言っているからいいのだ」と言っているのが、世田谷区長の保坂展人氏(*3)である。

残念ながら、この社会には「暴力は愛情の発露である」と考える人が少なからず存在している。

本来は「いかなる理由があろうと(正当防衛や緊急避難を除く)暴力は認められない」のであり、そこに愛情の存在や、殴られる側の態度などを踏まえる必要はない。しかし、こうした逸脱に「良心的な理由」を求めたがる人は多いのだ。そうした暴力は愛情の発露という論理によって、常に苦しめられ、時には殺されているのが主に子供たちなのである。

子供たちへの暴力は、親からの暴力もあれば、教師や部活顧問による暴力もある。さらに直接的な暴力もあれば、アウトソーシング的な暴力もある。

アウトソーシング的な暴力というのが分かりにくいので説明すると、例えば今回の事件であれば「自分は体罰を肯定しないが日野氏は悪くない」などという矛盾した論理を語る人間が用いているのが、アウトソーシング的な暴力である。すなわち、自分が暴力を振るわない代わりに、暴力を誰かに委託するのである。数回前にここで取り上げた「暴力的な新人研修」の問題(*4)も、会社からのアウトソーシング的な暴力であるといえる。

そしてネット上ではこうしたアウトソーシング的な暴力が、日野氏の暴力を肯定する形で行われているのである。

こうした暴力肯定によって傷つくのは、当の中学生ではない。今も日本中にいる数多くの暴力に怯えている子供たちである。

そうした子供たちにとって「理由があれば殴ってもいい」というメッセージは「殴られるのは殴られる自分に理由があるからだ」という意図として伝わる。暴力は愛情の発露だというメッセージは、暴力を受ける子供たちに嘘の愛情の表し方を教えてしまう。親の暴力を受けて育った子供が、親になると子供に暴力をふるってしまうというのは、よくある話である。親になれればいいが、親の暴力で死ぬ子供たちもいるのである。

だからこそ僕は、この件はそもそも日野氏と当の中学生という個人間の問題ではありえないと考えている。そして同時に世田谷区という公的な立場の出すメッセージが最も重要であると考える。だからこそ、今回の問題で一番のキーパーソンは世田谷区長の保坂展人氏であると考えている。

こうした指導する大人による、指導される子供に対する暴力という、まさに管理教育の問題に対して、それを批判してきたはずの保坂氏が前述のような、日野氏を断罪しない、良く言えば大人な、悪く言えば権力にしがみついた老害のようなメッセージしか出さなかったことには強い失望を感じている。保坂氏ですらこうなのだから、他の自治体の市区町村で同様な事件が起きても、誰も暴力を振るう権力を断罪などできないだろう。この事実は、今、暴力を受けている子供たちにとっては、絶望的なことである。

だからせめても、僕は日野皓正氏を断罪する。そして日野皓正氏を擁護する人達を断罪する。

暴力は愛情ではない。暴力は決して許されない。そして暴力に屈することも許されない。少なくとも、今回の件に対して批判を続けている大人もいる。

子供たちは大人に絶望しないで欲しい。社会は暴力を肯定しても、個々人ではそのような大人ばかりではない。親がどれだけクソ野郎でも、教師がどれだけ人間のクズでも、自分の人生を絶対に諦めないで欲しい。

*1:世界的トランペッター・日野皓正が中学生を往復ビンタ(文春オンライン)http://bunshun.jp/articles/-/3929
*2:日野皓正 中学生へのビンタは教育…「必要な時もある」(デイリースポーツ)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170901-00000105-dal-ent
*3:日野皓正氏に往復ビンタされた中学生を梅沢富美男氏が非難(ハフィントンポスト)http://www.huffingtonpost.jp/2017/08/31/hinoterumasa_a_23191705/
*4:暴力的な新人研修 百害あって一利なし(BLOGOS 赤木智弘)http://blogos.com/article/240099/

by hiroseto2004 | 2017-09-04 09:43 | 事故・災害・事件 | Trackback