朝鮮半島の核問題に対するEUの反応/独首相「平和的外交しかあり得ない」
2017年 09月 04日
ここは「EU(特にドイツ)が間に入る」と言う手もありますね。EUの対応は、アメリカとはまた異なっています。
朝鮮の核実験を批判するのは当然としても、アメリカにも緊張を高めるようなことをしてくれるな、
というスタンスです。
ここに注目したい。
朝鮮半島の核問題に対するEUの反応
EUのモゲリーニ外務安全保障政策上級代表が、北朝鮮の核実験に関する声明を発表し、この行動は、国際的な取り決めに対する違反だとしました。北朝鮮は、3日日曜、北朝鮮北部で水素爆弾の実験を行ったことを発表しました。モゲリーニ上級代表は声明の中で、この行動は、地域や世界の安全にとっての大きな脅威であり、世界の核兵器不拡散にとっての大きな問題であるとしました。
これまでで最大規模の北朝鮮の核実験に対するEUの立場は、東アジアという戦略的に重要な地域の軍事的な緊張の高まりと、ヨーロッパの利益が危険に晒されることへの懸念からきています。アメリカは、北朝鮮の核能力や軍事力の誇示を煽っています。アメリカと韓国が最近行った大規模な軍事演習は、朝鮮半島の緊張の拡大を招いています。実際、北朝鮮に対する安全保障上の脅威へのこの国の反発が、数々のミサイル実験や今回の水爆実験にあらわれているのです。
北朝鮮の危機は、EUが、アメリカとは異なる政策を取っている問題のひとつであるようです。朝鮮半島の危機が拡大した要因の一つは、トランプ大統領の好戦的で脅迫的なアプローチにあり、ヨーロッパに、アメリカ政府は意図的に、東アジアに情勢不安を作り出そうとしているのではないかという懸念を抱かせています。ここ数ヶ月の情勢変化を見ると、トランプ大統領の北朝鮮危機に対する行動や立場は、東アジアの緊張を拡大し、軍事衝突の可能性を拡大しているだけであることが分かります。EUにとって、東アジアの安全や安定は、最優先事項ですが、アメリカにとっては、中国の政策への対抗と北朝鮮に対する圧力の強化が最優先になっています。EUにとって、貿易や経済的な利益は非常に重要な問題ですが、当然のことながら、アメリカと北朝鮮の軍事的な緊張の継続は、経済的な安全を脅かすことになります。このような流れは、EUにとって好ましいものではありません。
政治専門家のデムビンスキー氏は、朝鮮戦争での大きな人的被害に注目すると、双方が状況の悪化を避け、この危機を終わらせるための合理的な解決策を見出す必要があるとしています。
とはいえ、EUのアプローチもまた、そのような方向を取っています。モゲリーニ上級代表は声明の中で、朝鮮半島の核兵器廃絶に関する政治協議に参加する用意を表明し、「朝鮮半島の核兵器廃絶は、南北朝鮮や地域、世界の全ての住民にとって利益になる、平和的な方法によってのみ、可能である」と強調しました。一方で、北朝鮮の核実験に対するトランプ大統領の立場は、北朝鮮に対して核能力を完全に利用する用意、対抗措置、制裁の強化となっています。