岩国市長選、「えらい人中心政治」延命につなげるな
2008年 02月 11日
10日投票された岩国市長選は、前自民党衆院議員の福田良彦さんが当選
しました。
私はこの選挙で前市長の井原勝介さんに密着しました。
投票率は76%。前回より11%に上がりました。
山口放送の出口調査では、艦載機移転は「賛成」はわずか11%。「反対」は45%ですが、「反対だがやむを得ない」が32%です。
問題の長期化にしびれを切らし、「やむを得ない」人が増えた。これが接戦の背景になったようです。
空母艦載機問題を争点にする人は35%。しかし財政再建を争点にする人も27%。地域振興を挙げる人も15%おられたということです。
福田候補には、財政再建や地域振興争点にする方が多いようです。
■利権政治を断ち切った井原さん
井原さんは、9年前、組織対決の構図の市長選に危機感を覚え、大蔵官僚対運輸官僚の一騎打ちという構図の中に徒手空拳、草の根で割って入りました。
事前の劣勢予想を覆し当選。
その後は、市長と議会の関係が緊張感がなかったのを改めました。
市議らによるねじ込みも排除しました。
一部議員は井原さんに反感を持ち、基地問題が起きる前から「市長いびり」はひどかった。秋葉さんがいびられた広島市議会と似ています。
広島市 議会多数派の市長いびり
http://www.news.janjan.jp/government/0506/0506148369/1.php
それでも市民たちも議会を傍聴する運動などを起こし岩国の民主主義は進歩
したのです。
■合併でいき吹き返した「旧来型」と「小泉的ネオコン」の野合
ところが、2006年の合併で旧来型議員が旧群部から、雪崩れ込みました。
彼ら・彼女らが国による2006年末に強行された、新庁舎への補助金カットを契機に、
旧来型議員が市長いびりを激化させたのです。
地元旧来型議員にとっては井原がムカついたから落とす。それだけのことです。
それをアメリカ従属の自民党・公明党が米軍再編を押し付けるため、悪用した。
言い換えれば、「旧来型」と「「旧来型」を叩くことで911総選挙で勝った」はずの
福田良彦さんが野合したのです。
「参加型」対「組織型プラス劇場型」岩国市長選挙の構図
http://www.news.janjan.jp/election/0802/0802040176/1.php
■巧妙だった福田さんの締め付け+クリンチ戦術
福田さんは、「市民党」を名乗りながらも、実際は地元自民党の「えらい人」(利権政治
復活を狙う人)と公明党による激しい組織的締め付けを行いました。
バスを何台も出して、会社ぐるみで投票に行かせたりするのを見聞きしました。
福田候補は、市の中心部ではなく、やや町はずれで、800台分の駐車場がある南岩国
に事務所を構えたのです。その方が、とくに合併前の旧郡部への締め付けには都合が
よいからです。
ただ、2006年市長選挙のように「えらい人」は投入せず、むしろ政党を隠して、無党派
層にも食い込む戦術をとりました。
市中心部の街頭には、創価学会の若手を投入。訓練された若者たちが、人々に爽やかな
イメージを与えていたのはたしかです。いまどきの若者には珍しく、手の振り方も力強く
スムーズでした。井原さんの側は、無党派層を中心としたボランティアですから、
「訓練度」は残念ながら福田さん側が上でした。
また、「国の言いなりにはならない」「騒音対策はする」と、福田さんは選挙戦後半には
いいだしました。このため、表面的には、井原さんとの違いが見えにくくなったのかも
しれません。「締め付け」+クリンチ戦術です。
■「社民化」した若者を引き付けた福田さん
また「国から財源を引き出し大盤振る舞いをしてくれる」という期待があったのでしょう。
実際、福田さんの公約は、「岩国新駅舎建設」など、土建業者が喜びそうな話とともに、
教育、福祉でのばらまきなど、一見すると「革新」支持者も喜びそうな公約も乱発
しました。細かくはいいませんが、一言で表現すれば「田中の角さん」(公共事業ばらまき)
+「スマイルの美濃部さん」(福祉ばらまき)というすさまじい主張でした。
しかし、基地交付金は高々、市の試算でも134億円程度です。福田さんの公約が実現する
はずもないのですが、イメージだけで福田支持もおおかったようです。
特に二十代、三十代の男性でこの傾向がありました。20代男性の福田支持は7割に達しました。
彼らは、自民党支持ではないが、最初小泉自民党に改革を期待した人が多い。
しかし、小泉さんに見事に裏切られ、貧困が増える中、2007年の参院選では社民的な
路線にシフトし、「地方の景気をよくする」ことを公約した民主党に流れた層がかなり
あります。
そんな人の中でも藁をもすがる思いで、今回は福田さんという人もおられたの
でしょう。
民主党支持層は7割は井原さんですが、3割が福田さんでした。一方自民党支持層でも
年配の方を中心に3割程度井原さんに流れました。井原さんの支援者も「911総選挙では
福田さんに入れたが、今回は井原さん」という人がけっこうおられました。
若い民主党支持層や「社民主義志向」の無党派層が、勢いあまって「ばらまき」の
福田さんに流れた、と考えるとつじつまが合います。
■「えらい人」いいなりを「笑顔」で「我慢」???
大変残念なことは、市民団体が企画した公開討論会が実現しなかったことです。
井原勝介さんは受けましたが、福田良彦さんは拒否されました。
福田派の確認団体の街宣車は「対立ではなく笑顔を」と叫んで回っています。
しかし、福田派は「議論」をするのを拒んでおられる。
対立はある。だから討論、議論を積み重ね、合意を形成すべきです。
補助金カットまでして艦載機を岩国に押し付けようとした守屋被告ら「国のえらい人」の暴挙を「笑顔」で受け入れろ。
井原登場前の岩国のように「えらい人」が裏でこそこそしていた状態を「笑顔」で我慢しろ。
そう聞こえてしまいます。
■不安げな表情の福田さん、大丈夫か?
だが、福田さんは当選されたにもかかわらず、顔に生気がないように感じられました。
選挙期間中、私が出くわしても、ずっとそうでした。
笑顔もあまりなく、怯えた目をしておられます。
「えらい人」にも、「ふつうの人」にも、「ばらまき」を約束した福田市長は、内心収拾
がつかなくなっているのではないかと思います。
そして「国の言いなりにはならない」といい恰好はして見せました。しかし、
自民党、公明党の全面支援を受けた以上は、そんなことはできない。
まだ37歳と若い福田さん。若いだけに、逆に、正直に不安が顔に出てしまっているように
思えます。「おれ、当選してしまったけど、どうしよう」。そんな風に思えてしかたが
ありません。
■「えらい人」中心政治を復活させるな
しかし、今回の選挙では、そうはいっても、井原さんに投票した人が半分います。
昔のような「えらい人」中心政治を、岩国では絶対復活させたくないという人が、半分はいるのです。
また、政府部内からも、守屋被告のやり方には「まずい」という声も出ているそうです。そして、米軍再編の大前提である「ブッシュ体制」も、もうすぐ終了です。2月の共同通信の世論調査では、福田康夫内閣の支持率も大幅下落し、衆院選での野党政権の可能性も高まっています。
福田良彦さんは、放っておけば、支持基盤の都合から、当然「地元のえらい人」=利権が欲しいだけの市議と、「国のえらい人」=守屋被告ら米軍再編を強行しようとする人々のいいなりになるでしょう。
それだけは、防がねばなりません。
希望を感じたのは、そういう問題意識で市政をチェックしようという市民は多くいることです。
井原さんは、応援者をねぎらうとき、こうおっしゃいました。
「わたしたちがやったことまでが消えてしまうわけではない」。
そうなのです。ここで、意気消沈したら「えらい人」の思うつぼなのです。
記事へのご意見・ご感想はこちらへどうぞ!
なるほど!と思ったら下をクリックお願いします!
人気blogランキングへ
しました。
私はこの選挙で前市長の井原勝介さんに密着しました。
投票率は76%。前回より11%に上がりました。
山口放送の出口調査では、艦載機移転は「賛成」はわずか11%。「反対」は45%ですが、「反対だがやむを得ない」が32%です。
問題の長期化にしびれを切らし、「やむを得ない」人が増えた。これが接戦の背景になったようです。
空母艦載機問題を争点にする人は35%。しかし財政再建を争点にする人も27%。地域振興を挙げる人も15%おられたということです。
福田候補には、財政再建や地域振興争点にする方が多いようです。
■利権政治を断ち切った井原さん
井原さんは、9年前、組織対決の構図の市長選に危機感を覚え、大蔵官僚対運輸官僚の一騎打ちという構図の中に徒手空拳、草の根で割って入りました。
事前の劣勢予想を覆し当選。
その後は、市長と議会の関係が緊張感がなかったのを改めました。
市議らによるねじ込みも排除しました。
一部議員は井原さんに反感を持ち、基地問題が起きる前から「市長いびり」はひどかった。秋葉さんがいびられた広島市議会と似ています。
広島市 議会多数派の市長いびり
http://www.news.janjan.jp/government/0506/0506148369/1.php
それでも市民たちも議会を傍聴する運動などを起こし岩国の民主主義は進歩
したのです。
■合併でいき吹き返した「旧来型」と「小泉的ネオコン」の野合
ところが、2006年の合併で旧来型議員が旧群部から、雪崩れ込みました。
彼ら・彼女らが国による2006年末に強行された、新庁舎への補助金カットを契機に、
旧来型議員が市長いびりを激化させたのです。
地元旧来型議員にとっては井原がムカついたから落とす。それだけのことです。
それをアメリカ従属の自民党・公明党が米軍再編を押し付けるため、悪用した。
言い換えれば、「旧来型」と「「旧来型」を叩くことで911総選挙で勝った」はずの
福田良彦さんが野合したのです。
「参加型」対「組織型プラス劇場型」岩国市長選挙の構図
http://www.news.janjan.jp/election/0802/0802040176/1.php
■巧妙だった福田さんの締め付け+クリンチ戦術
福田さんは、「市民党」を名乗りながらも、実際は地元自民党の「えらい人」(利権政治
復活を狙う人)と公明党による激しい組織的締め付けを行いました。
バスを何台も出して、会社ぐるみで投票に行かせたりするのを見聞きしました。
福田候補は、市の中心部ではなく、やや町はずれで、800台分の駐車場がある南岩国
に事務所を構えたのです。その方が、とくに合併前の旧郡部への締め付けには都合が
よいからです。
ただ、2006年市長選挙のように「えらい人」は投入せず、むしろ政党を隠して、無党派
層にも食い込む戦術をとりました。
市中心部の街頭には、創価学会の若手を投入。訓練された若者たちが、人々に爽やかな
イメージを与えていたのはたしかです。いまどきの若者には珍しく、手の振り方も力強く
スムーズでした。井原さんの側は、無党派層を中心としたボランティアですから、
「訓練度」は残念ながら福田さん側が上でした。
また、「国の言いなりにはならない」「騒音対策はする」と、福田さんは選挙戦後半には
いいだしました。このため、表面的には、井原さんとの違いが見えにくくなったのかも
しれません。「締め付け」+クリンチ戦術です。
■「社民化」した若者を引き付けた福田さん
また「国から財源を引き出し大盤振る舞いをしてくれる」という期待があったのでしょう。
実際、福田さんの公約は、「岩国新駅舎建設」など、土建業者が喜びそうな話とともに、
教育、福祉でのばらまきなど、一見すると「革新」支持者も喜びそうな公約も乱発
しました。細かくはいいませんが、一言で表現すれば「田中の角さん」(公共事業ばらまき)
+「スマイルの美濃部さん」(福祉ばらまき)というすさまじい主張でした。
しかし、基地交付金は高々、市の試算でも134億円程度です。福田さんの公約が実現する
はずもないのですが、イメージだけで福田支持もおおかったようです。
特に二十代、三十代の男性でこの傾向がありました。20代男性の福田支持は7割に達しました。
彼らは、自民党支持ではないが、最初小泉自民党に改革を期待した人が多い。
しかし、小泉さんに見事に裏切られ、貧困が増える中、2007年の参院選では社民的な
路線にシフトし、「地方の景気をよくする」ことを公約した民主党に流れた層がかなり
あります。
そんな人の中でも藁をもすがる思いで、今回は福田さんという人もおられたの
でしょう。
民主党支持層は7割は井原さんですが、3割が福田さんでした。一方自民党支持層でも
年配の方を中心に3割程度井原さんに流れました。井原さんの支援者も「911総選挙では
福田さんに入れたが、今回は井原さん」という人がけっこうおられました。
若い民主党支持層や「社民主義志向」の無党派層が、勢いあまって「ばらまき」の
福田さんに流れた、と考えるとつじつまが合います。
■「えらい人」いいなりを「笑顔」で「我慢」???
大変残念なことは、市民団体が企画した公開討論会が実現しなかったことです。
井原勝介さんは受けましたが、福田良彦さんは拒否されました。
福田派の確認団体の街宣車は「対立ではなく笑顔を」と叫んで回っています。
しかし、福田派は「議論」をするのを拒んでおられる。
対立はある。だから討論、議論を積み重ね、合意を形成すべきです。
補助金カットまでして艦載機を岩国に押し付けようとした守屋被告ら「国のえらい人」の暴挙を「笑顔」で受け入れろ。
井原登場前の岩国のように「えらい人」が裏でこそこそしていた状態を「笑顔」で我慢しろ。
そう聞こえてしまいます。
■不安げな表情の福田さん、大丈夫か?
だが、福田さんは当選されたにもかかわらず、顔に生気がないように感じられました。
選挙期間中、私が出くわしても、ずっとそうでした。
笑顔もあまりなく、怯えた目をしておられます。
「えらい人」にも、「ふつうの人」にも、「ばらまき」を約束した福田市長は、内心収拾
がつかなくなっているのではないかと思います。
そして「国の言いなりにはならない」といい恰好はして見せました。しかし、
自民党、公明党の全面支援を受けた以上は、そんなことはできない。
まだ37歳と若い福田さん。若いだけに、逆に、正直に不安が顔に出てしまっているように
思えます。「おれ、当選してしまったけど、どうしよう」。そんな風に思えてしかたが
ありません。
■「えらい人」中心政治を復活させるな
しかし、今回の選挙では、そうはいっても、井原さんに投票した人が半分います。
昔のような「えらい人」中心政治を、岩国では絶対復活させたくないという人が、半分はいるのです。
また、政府部内からも、守屋被告のやり方には「まずい」という声も出ているそうです。そして、米軍再編の大前提である「ブッシュ体制」も、もうすぐ終了です。2月の共同通信の世論調査では、福田康夫内閣の支持率も大幅下落し、衆院選での野党政権の可能性も高まっています。
福田良彦さんは、放っておけば、支持基盤の都合から、当然「地元のえらい人」=利権が欲しいだけの市議と、「国のえらい人」=守屋被告ら米軍再編を強行しようとする人々のいいなりになるでしょう。
それだけは、防がねばなりません。
希望を感じたのは、そういう問題意識で市政をチェックしようという市民は多くいることです。
井原さんは、応援者をねぎらうとき、こうおっしゃいました。
「わたしたちがやったことまでが消えてしまうわけではない」。
そうなのです。ここで、意気消沈したら「えらい人」の思うつぼなのです。
記事へのご意見・ご感想はこちらへどうぞ!
なるほど!と思ったら下をクリックお願いします!
人気blogランキングへ
Tracked
from 携帯版雑談日記(徒然なる..
at 2008-02-12 00:38
タイトル : 「岩国市の皆さん、井原さん、お疲れ様でした~350円10..
全文は、下記のリンク先でお願いします。情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)さんのエネルギッシュなご努力には頭がさがるばかりです。http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005 以下、肝の部分を転載させていただきます。(略) では、350円1000万人寄付運動はどうするか? 個人的には、国への横暴に反対する場として存続させたいが、朝日新聞によると、防衛省は、これまではいま賛成に回ってもすでに市庁舎のうち建設している部 分は支払えないのでわずかしか出せないなどと...... more
全文は、下記のリンク先でお願いします。情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)さんのエネルギッシュなご努力には頭がさがるばかりです。http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005 以下、肝の部分を転載させていただきます。(略) では、350円1000万人寄付運動はどうするか? 個人的には、国への横暴に反対する場として存続させたいが、朝日新聞によると、防衛省は、これまではいま賛成に回ってもすでに市庁舎のうち建設している部 分は支払えないのでわずかしか出せないなどと...... more
by hiroseto2004
| 2008-02-11 13:46
| 新しい政治をめざして
|
Trackback(1)