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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

恐慌を奇貨とし、内需拡大を!

恐慌を奇貨とし、内需拡大を!
さとうしゅういち 社会市民連合事務局長


■はじめに昨年・2008年の日本・世界経済はご承知のとおり散々なものでした。「家と仕事を同時に失った人々」が、街に溢れている情況は、みなさんもマスコミなどでごらんになっているとおりです。
 しかし、今回、ここまでの惨状になっているのは、単に「アメリカ発の金融危機」のせいだけなのでしょうか?わたしは違う、と考えます。
 むしろ、ここ30年間、日本は「内需拡大」に舵を切る必要を、3度も迫られながら、それを怠ってきたことに、今回の惨状の原因がある、と考えます。したがって、今回の恐慌を奇貨として、本気で貧困撲滅・内需拡大に舵を切るべきと考えます。

■「金融緩和」で課題を誤魔化した中曽根政権
1980年代前半はいわゆる土光臨調行革路線のもと、「増税なき財政再建」が叫ばれました。この時代は、主に、対米貿易黒字により、1970年代末のオイルショックによる不況を克服しました。
しかし、業を煮やしたアメリカは、1985年、いわゆるプラザ合意により、円高誘導を日本に強制しました。この翌年の1986年、企業利益は落ち込みました。このとき、日本は、内需拡大のチャンスでした。しかし、中曽根内閣、続く竹下内閣は、主に、金融緩和によりこの状況を乗り切ろうとしました。洪水のようにお金が巷に溢れ、バブルが起きたわけです。
1991年にバブルが崩壊した後、日本経済は不況に落ち込みます。その後、1993年を谷に、1994年から景気が回復します。このときの主役は、やはり貿易黒字、そして、公共投資です。しかし、この1994年頃から凄まじい円高に日本は見舞われます。

■「円高」見落とし、判断誤り緊縮財政へ・・橋本政府
このとき、日本は「2度目の内需拡大」のチャンスでした。たしかに、中曽根以降の公共投資は、地方に公債を発行させて、ハコモノを作らせるような種類のものが多かったのです。結局は東京の大手企業の利益が多く、地方には借金だけが残るような事態を後に引き起こしました。しかし、財政出動が無効かと言えばそうではなく、「地方の庶民」が潤うような投資はできたはずでした。
当時、高齢化社会への対応をどうすべきか、ということは大きな問題になっていました。高齢社会を見通すのであれば、社会保障に思い切って財源をシフトすればよかったのです。
日本国内では例えば自動車など既存産業の需要は次第に飽和状態になっていました。ですから、その分、お金や資源を、社会保障などに回す仕組みを工夫すればよかったのですが、それをしなかったのです。また、人々が安心して暮らせれば、財布の紐も緩み、内需は拡大したはずでした。
当時、財政出動の効果があまりなかったように見えたのは、超円高により、経常収支の黒字が大幅に小さくなっただけのことです。もし、財政出動がなければ、さらに景気が落ち込んでいたでしょう。具体的には、1990年に6兆4,736億円だった経常収支が1993年には14兆6,690億円になったが、1994年から1995年の円高により、1996年には7兆1532億円まで押し込まれたのです。
 そこで「財政では景気がよくならない」という間違った神話が生まれ、1996年に発足した橋本龍太郎政府は「財政出動は効果がない」と呼号し、逆に消費税増税、医療費負担増を強行したのです。その結果、1997年秋から、山一證券などが次々倒産する金融恐慌が発生、橋本政府は1998年の参院選で、有権者の怒りにより打倒されました。

■小渕・小泉体制で「外需依存」定着
 その後、後を受けた小渕政府は、法人税減税、お金持ち減税などの景気対策を行いました。これにより、企業業績は回復しますが、一方で後々、税収に穴が開くという、禍根を残しました。
2000年、小渕総理が急死し、森総理を経て、2001年、小泉政権が誕生しました。小泉さんは緊縮財政と「不良債権処理加速化」を強行。2001年の企業業績は大きく後退しました。そして、その後は、従業員給与を削減しながら、利益を増やすという体制に入りました。
一方、財政危機を口実に、社会保障は抑制。一方で、日銀には超低金利を継続させ、財務省も2003年から2004年3月までに35兆円ものドル買い介入を強行しました。
2001年に8兆4013億円だった貿易黒字は2007年には12兆3223億円に所得収支(利払いや配当の受け取り)も8兆2,665億円から16兆3,267億円に増加しました。日本企業は、1995年以降はとくに中国などに進出し、部品を持ち込んで組み立ててアメリカへ輸出、というパターンも作っています。どちらにしても「外需依存」により、企業利益が回復した様子がわかります。
 小泉時代の企業利益の伸び約20兆円は、乱暴な言い方をすれば、7割は経常収支の黒字の伸びのおかげ、ともいえます。しかし、それがアメリカの金融危機と、急速な円高により反撃されています。

■「年金社会主義」が加速した「新自由主義」
さて、現代、お金を持っているのは誰か?「格差社会」といわれますが、戦前と違い、「資本家」でイメージできるような人は少ない。個人の金融資産は約140兆円あります。年間収入が中央値に位置するような世帯でも平均547万円の貯蓄があります。
現役時代に比較的高収入だった(大手企業OBなど)が、保有する金融資産、また、彼らのために溜め込まれた企業年金基金が、直接・間接に企業の「所有者」となっています。
2007年の総務省の「家計調査」によると、世帯主が60代の二人以上世帯の平均貯蓄は2474万円・70代以上が2426万円で、平均の1268万円を上回っています。もちろん、高齢者ほど所得や資産の格差が大きく、貯蓄がない方も多くおられます。
さて、1990年代以降、年金基金は、ファンドに高利回りを要求し、ファンド(外資も含む)は株主として、高利回りを要求し、企業に対しても高配当を要求しています。そのこともあって、企業は非正規雇用を増やし、サービス残業を横行させるなどして、現役世代の労働者に負担を強いています。もちろん、政治に介入して規制緩和を行わせ、巨額の内部留保を抱え込み、役員給与を増やすなど、経営者の責任は第一義的には重大です。労働運動による、責任追及は絶対に必要です。
しかし、そうさせている責任は年金基金やファンド、そこで直接・間接に資産を運用している人々にもあります。もちろん、本当の「セレブ」もいますが、全体を見れば、マルクスやレーニンが想定した「資本家による収奪」という単純な構図ではないことは指摘しておきたいと思います。
「おじいちゃん、おばあちゃんが、職がない子や孫にすねをかじらせている」という状況が全国の家庭で生じています。しかし、祖父母や両親が貧しいか、いないような若者であれば、そうした「家族単位のセーフティネット」も機能せず、それこそ、路頭に迷っているのが今の状況です。

■社会保障充実で中間層高齢者の消費喚起を
もちろん、個々の「裕福な高齢者」を責めても仕方がありません。「高齢者への福祉よりも若者支援を」という短絡的な意見もありますが、危険です。
高齢者介護サービスは、同居している家族の負担も緩和します。現在、女性だけでなく男性でも家族の介護で退職する人が急増しています。高齢者への支援は、現役世代への支援にもなることを忘れてはいけません。
「仕組み」として、「現役世代労働者」にしわよせがいかず、なおかつ比較的裕福な高齢者も安心して暮らせる仕組みを設計すれば良いのです。
おおまかにいえば、「企業」ではなく、「社会全体」老後保障をするような体制へ移行すれば良いのです。
税方式の基礎年金導入は、民主党なども公約にしていますが、このほか、介護・医療に抜本的に税金を投入することも必要でしょう。
そうすれば、病気や介護で巨額の出費を強いられることを恐れずに済む年配者も、企業年金を少し減らすことには合意できるのではないでしょうか?
そして、「不透明要因」が減れば、その分とくに、介護や病気を警戒して、消費を手控えてきた中間層の高齢者の財布の紐も緩みます。そうすれば、そこに企業が余った資金を投資し、若いものの雇用も増えるでしょう。

■無利子国債という「切り札」
さらに、高齢者でも「使い切れないくらいの資産」を持っておられる方についてはどう対応するか?彼らは、事実上「凍結」させてしまっています。このような方々に対しては、国が無利子で相続税なしの国債を販売するのです。
相続税対策で多くの裕福な高齢者がこの「無利子国債」を購入すれば、国にお金が入ります。無利子ですから国は利払いを心配せずに自由にお金を使えます。これを、当面の景気対策に充てれば良いのです。
老若男女問わず、家に事欠いている人が多くいます。住宅を公共で確保することは喫緊の課題です。教育費や子育て費用の国庫負担などを実現すれば、格差が親から子へ伝わることを阻止できます。
もちろん、小泉純一郎さんの時代に地方が奪われた年間5兆円の財源も取り戻すことが出来ます。
もちろん、法人税増税、お金持ちへの増税も必要です。格差大国といわれたアメリカでさえ、オバマ大統領も、「高所得者への負担増」を明言して、当選しています。
しかし、ここまで経済が冷え込むと、当面は、お金持ちに増税したくらいで、必要な財源は確保できません。一方で通常の有利子の国債を発行すれば後で利払いが発生し、そのために、弱者からも集めた税金を充当すれば結局、弱者から強者への「所得再分配」となってしまう、と言う問題があります。
この「無利子国債」は、2000年頃、当時自民党政調会長だった亀井静香さんの発案です。森政権では実現寸前まで行きましたが、森退陣でご破算になったのです。しかし、2009年1月4日、亀井さんは、三原市内で支持者に対し、政権交代後、参議院でのキャスティングボートを生かし、この案を小沢一郎さんに実行させる、と宣言しましており、「野党政権で実現可能性が高い」政策として注目できます。

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