藤田雄山広島県知事の引退表明について
2009年 06月 24日
広島県の藤田雄山知事が6月24日、県議会6月定例会で、一般質問に答弁する形で、11月に行なわれる知事選に、立候補しないことを表明しました。
藤田知事はことし60歳。母方のおじいさんは大原博夫元知事、お父さんは藤田正明参院議長で、地元でも有名な政治家・大富豪の家のご出身です。いわば「三世知事」といえます。
1993年、44歳と当時全国最年少で当選。「元気な広島県」を掲げ、4期務めました。
以下に、これまでの藤田県政の総括を行ないます。
■混乱招いた市町村合併と「権限移譲」
藤田知事の政策の目玉の一つが、市町村合併と市町村への権限移譲です。
広島県の場合は86あった市町村が、広島市、廿日市市、大竹市、呉市、江田島市、安芸高田市、東広島市、竹原市、三原市、尾道市、福山市、府中市、三次市、庄原市、府中町、海田町、坂町、熊野町、安芸太田町、北広島町、大崎上島町、世羅町、神石高原町の23市町に再編されました。
さらに、その合併した市町村を「受け皿」として、本来県知事がすべき仕事を多く市町に移管しました。広島県の場合は、法的には県が持つ権限も含めて、市町に移しています。
パスポートの交付事務、障がい者や保育所、青少年関係、環境関係、各種免許・許認可などが市町に移管しました。
パスポートが各市町村で交付されるようになったことについては、便利だと評判はいい。しかし、他の問題が多くあります。
たとえば、市町に窓口が移った事が徹底されていないケースもあります。今でも免許申請などで県の機関に見えられた県民に、職員が「申し訳ない、ここではもう受け付けていない」と頭を下げている状態です。
また、市町側に担当人員が十分いない仕事では、市町側も、「マニュアルに従って機械的に処理する」だけに終わらざるを得ないケースもおおいのです。
市町に移行して「事務は早くなった」という評価もあります。しかし、何か問題があっても市町は「県のマニュアルどおりにしています」、県は「市町に任せています」というちょっと無責任な状態ではないか、という指摘が県民の方からされています。
中途半端な事業見直し
広島県も御多分に漏れず、財政は厳しい。もちろん、小泉政府による交付税カットなどでやむをえない部分もあります。
また、広島県では、1994年のアジア大会、96年の国体へ向けて竹下前知事時代から事業が多くあり、傷口を広げました。
このため、がんセンターや、三原市にある広島空港への鉄道建設などを断念しています。
藤田知事もこのために、一部自民党議員らから批判され、お気の毒なのです。
しかし、一方で、鞆の浦の埋め立て架橋問題に見られるように、国や大林監督ら、多くの有名人らの苦言さえ無視して、埋め立て架橋を強行しようとしています。
また、代表=一部のえらい人だけの同意を持って「住民同意」に摩り替えるなど、県民と問題意識を共有するという姿勢が不足しています。
国策に忠実、採用抑制で人材難に
また、ここ数年、極端に採用を抑制してきました。
現知事の主張は、「道州制に移行してきた際、人が余らないようにする。」というものでした。しかし、そもそも、道州制になれば、権限も多く国から移管されます。
現知事による極端な採用抑制策は、結局コストカットだけを目的とした「国(自民党政府ならびに中央官僚)のたくらむ文脈での道州制」に整合的なものではないでしょうか?
現在、多くの現場の分野で、後継者が不足しています。分野によっては50代以上しかほとんどいないようなところもあります。
また、教職員の非正規化も、深刻です。少人数学級を実現したといっても、非常勤の先生ばかりになり、正規の先生にも負担が多くかかっているのです。
「猫の目組織変更」「大本営発表」に呆れる県民
そして、素直に過ちを認めようとしない姿勢も不興を買っています。
2001年に「地域で地域の事を総合的に決める」ために地方機関に「「地域事務所」制を導入したのです。これは、税務、福祉保健、農林、土木などバラバラだった地方機関をひとつにまとめて総合的な機能を持たせたのです。これは岡山でも「県民局」などという形で導入されています。
ところが、8年たった2009年度から、「質の高い高度な行政サービスを目指す」と称して、元にもどしました。しかも、以前に比べて大幅に、事務所数は減らしています。
これに対しては、県民からは「元に戻しただけじゃないか。最初からあんな事をしなければいいのに。」「窓口を減らしておいて、質の高いなんて、大嘘だろう」という怒りを通り越した、呆れの言葉が上がっています。
本庁でも、組織体制が、2001年以降、とくに2007年度以降は、毎年のように変わり、訪問する県民が「どこへ行けばいいのか」(40代の会社経営者)などと戸惑っています。
引越しなかりで、本来業務に悪影響が出ている部署も少なくありません。
現場軽視の人材観で求心力低下
また、現知事は、「県の職員はこれからは、英語がぺらぺら喋れないといけない。通訳なしで外国と交渉できないといけない。」ということを口癖としていました。これでは、職員のモチベーションは上がりません。
知事は、若いときに三井物産に勤務されておられた事を自慢したいのだと多くの職員は理解しています。しかし「ここは三井物産ではなく広島県」なのです。
また、「県は、今までの仕事は市町に任せて、高度な仕事を」というのが方針ですが、必要な研修は「旅費がない」などとけちるわけです。
現場感覚はなくなっていく。さりとて、高度な仕事に対応する研修はけちる。その結果、組織として中途半端な状態になっています。
また、ボーナスはカットする一方、人事院勧告で勧告された「7:45への労働時間短縮」はしようとしません。人事院勧告制度を判っていないのか、あるいは、県議らに感情論で迎合するから、現場の人心をつかめないのです。
うまく職員の人心を掌握しつつ、県民のために仕事をさせるのがトップの腕なのにそれができないまま、16年が経過してしまいました。
知事の金銭疑惑
その上で知事の金銭疑惑です。小沢さんも辞任して民主党の求心力を高めました。現知事の場合は、露骨に県議を買収した疑惑がもたれているのに、結局十分な調査もできませんでした。そして、辞職勧告決議にも居座ってしまった。その結果が、求心力の低下への追い討ちです。
元気な広島県への「道筋」をつけられたという知事。
本当にそうなのでしょうか?
(みんなであたらしい広島県をつくる会)
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藤田知事はことし60歳。母方のおじいさんは大原博夫元知事、お父さんは藤田正明参院議長で、地元でも有名な政治家・大富豪の家のご出身です。いわば「三世知事」といえます。
1993年、44歳と当時全国最年少で当選。「元気な広島県」を掲げ、4期務めました。
以下に、これまでの藤田県政の総括を行ないます。
■混乱招いた市町村合併と「権限移譲」
藤田知事の政策の目玉の一つが、市町村合併と市町村への権限移譲です。
広島県の場合は86あった市町村が、広島市、廿日市市、大竹市、呉市、江田島市、安芸高田市、東広島市、竹原市、三原市、尾道市、福山市、府中市、三次市、庄原市、府中町、海田町、坂町、熊野町、安芸太田町、北広島町、大崎上島町、世羅町、神石高原町の23市町に再編されました。
さらに、その合併した市町村を「受け皿」として、本来県知事がすべき仕事を多く市町に移管しました。広島県の場合は、法的には県が持つ権限も含めて、市町に移しています。
パスポートの交付事務、障がい者や保育所、青少年関係、環境関係、各種免許・許認可などが市町に移管しました。
パスポートが各市町村で交付されるようになったことについては、便利だと評判はいい。しかし、他の問題が多くあります。
たとえば、市町に窓口が移った事が徹底されていないケースもあります。今でも免許申請などで県の機関に見えられた県民に、職員が「申し訳ない、ここではもう受け付けていない」と頭を下げている状態です。
また、市町側に担当人員が十分いない仕事では、市町側も、「マニュアルに従って機械的に処理する」だけに終わらざるを得ないケースもおおいのです。
市町に移行して「事務は早くなった」という評価もあります。しかし、何か問題があっても市町は「県のマニュアルどおりにしています」、県は「市町に任せています」というちょっと無責任な状態ではないか、という指摘が県民の方からされています。
中途半端な事業見直し
広島県も御多分に漏れず、財政は厳しい。もちろん、小泉政府による交付税カットなどでやむをえない部分もあります。
また、広島県では、1994年のアジア大会、96年の国体へ向けて竹下前知事時代から事業が多くあり、傷口を広げました。
このため、がんセンターや、三原市にある広島空港への鉄道建設などを断念しています。
藤田知事もこのために、一部自民党議員らから批判され、お気の毒なのです。
しかし、一方で、鞆の浦の埋め立て架橋問題に見られるように、国や大林監督ら、多くの有名人らの苦言さえ無視して、埋め立て架橋を強行しようとしています。
また、代表=一部のえらい人だけの同意を持って「住民同意」に摩り替えるなど、県民と問題意識を共有するという姿勢が不足しています。
国策に忠実、採用抑制で人材難に
また、ここ数年、極端に採用を抑制してきました。
現知事の主張は、「道州制に移行してきた際、人が余らないようにする。」というものでした。しかし、そもそも、道州制になれば、権限も多く国から移管されます。
現知事による極端な採用抑制策は、結局コストカットだけを目的とした「国(自民党政府ならびに中央官僚)のたくらむ文脈での道州制」に整合的なものではないでしょうか?
現在、多くの現場の分野で、後継者が不足しています。分野によっては50代以上しかほとんどいないようなところもあります。
また、教職員の非正規化も、深刻です。少人数学級を実現したといっても、非常勤の先生ばかりになり、正規の先生にも負担が多くかかっているのです。
「猫の目組織変更」「大本営発表」に呆れる県民
そして、素直に過ちを認めようとしない姿勢も不興を買っています。
2001年に「地域で地域の事を総合的に決める」ために地方機関に「「地域事務所」制を導入したのです。これは、税務、福祉保健、農林、土木などバラバラだった地方機関をひとつにまとめて総合的な機能を持たせたのです。これは岡山でも「県民局」などという形で導入されています。
ところが、8年たった2009年度から、「質の高い高度な行政サービスを目指す」と称して、元にもどしました。しかも、以前に比べて大幅に、事務所数は減らしています。
これに対しては、県民からは「元に戻しただけじゃないか。最初からあんな事をしなければいいのに。」「窓口を減らしておいて、質の高いなんて、大嘘だろう」という怒りを通り越した、呆れの言葉が上がっています。
本庁でも、組織体制が、2001年以降、とくに2007年度以降は、毎年のように変わり、訪問する県民が「どこへ行けばいいのか」(40代の会社経営者)などと戸惑っています。
引越しなかりで、本来業務に悪影響が出ている部署も少なくありません。
現場軽視の人材観で求心力低下
また、現知事は、「県の職員はこれからは、英語がぺらぺら喋れないといけない。通訳なしで外国と交渉できないといけない。」ということを口癖としていました。これでは、職員のモチベーションは上がりません。
知事は、若いときに三井物産に勤務されておられた事を自慢したいのだと多くの職員は理解しています。しかし「ここは三井物産ではなく広島県」なのです。
また、「県は、今までの仕事は市町に任せて、高度な仕事を」というのが方針ですが、必要な研修は「旅費がない」などとけちるわけです。
現場感覚はなくなっていく。さりとて、高度な仕事に対応する研修はけちる。その結果、組織として中途半端な状態になっています。
また、ボーナスはカットする一方、人事院勧告で勧告された「7:45への労働時間短縮」はしようとしません。人事院勧告制度を判っていないのか、あるいは、県議らに感情論で迎合するから、現場の人心をつかめないのです。
うまく職員の人心を掌握しつつ、県民のために仕事をさせるのがトップの腕なのにそれができないまま、16年が経過してしまいました。
知事の金銭疑惑
その上で知事の金銭疑惑です。小沢さんも辞任して民主党の求心力を高めました。現知事の場合は、露骨に県議を買収した疑惑がもたれているのに、結局十分な調査もできませんでした。そして、辞職勧告決議にも居座ってしまった。その結果が、求心力の低下への追い討ちです。
元気な広島県への「道筋」をつけられたという知事。
本当にそうなのでしょうか?
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by hiroseto2004
| 2009-06-24 12:12
| 広島県政(広島県議会)
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