若者を押さえつけておいて「覇気がない」と嘆く「年配のエライ人」たち
2010年 01月 02日
お正月にある討論番組を拝見していました。
そうすると、番組の終わりごろでしょうか、60代の左派寄り政治家と、80代の右派寄り政治家のお2人が、「近頃の若者は覇気がない」という一点では、意気投合してしまっていました。
このお二人から見れば、若者とはおそらく、1960年以降に生まれた「新人類」も含むのでしょうが、そういう人たちは、保守的だというのでしょう。
もちろん、このお二人は、他の大半の論客からそれは違う、若者が希望を持てるような政治をしてきたのか?と批判されていました。
全く、このお二人は、このご発言に関して言えば、批判されて仕方がないと思いました。
まず、第一に「覇気がなくなるような教育をしてきた」のではないか?
だいたい、「一部のエリートだけはよくして、あとの人は考えなくてよい」というのが、「管理教育」にせよ、「ゆとり教育」にせよ、一貫していなかったでしょうか?
その路線は最近まで続いてきた。(なお、ゆとり教育を今の20代以下とするのが最近の俗説ですが、1980年代に既に「ゆとり教育」は言われていました。)。
「これはおかしいのではないか」と思ったらきちんとモノを言う。そういう人が居ないと、サービス業であろうが製造業であろうが、技術進歩はないでしょう。欠陥も見逃され、質が落ちますよ。
言い換えれば「エライ人」たちが、「苦言を辞さない忠臣」ではなく「無気力な奸臣」タイプを望んできたのだから仕方がない。
モノを言いにくいような人間に育てておいて、後から「お前らはコミュニケーション能力がない」「チャレンジング・スピリットがない」などと非難するのはいかがなものか?
旧与党に主に責任はあるが、旧野党の方も年配の方で往々にして、若者(年下)に対する見方では保革共通してしまっているところがあるのではないでしょうか?若者が、左派の年配者に「なぜ、怒らないのか」と怒らないことを怒られてしまったりする、笑えない事態もあるやにうかがいます。
年配の経営者なども、「ベンチャーが出てこないのは嘆かわしい。優秀な若い者は大手企業にばかり就職したがる。」とおっしゃる。それはそうです。しかし、自分で考えることの出来る人間を育ててこなかった付けでもあると思います。思考回路を保守化するような教育をしてきたのだから仕方がない。
結局「年配のエライ人」たちは、今まで散々「我々に従順な人」を、と望み、いざ、日本全体が傾いてくると、「チャレンジングスピリットを」というわけです。これは矛盾しているのではないでしょうか?
もうひとつは、セーフティネットの崩壊です。もともと、企業に大きく依存していたセーフティネットが崩壊した今、下手にチャレンジしたら、食えなくなるのではないか、という恐怖心が若い者を襲っている。「下手にチャレンジされて、ニートになられたら困る」、家族もチャレンジを止めたりするわけです。
さらに、景気がそもそも悪いことです。景気が良い頃ならチャレンジに失敗しても、まあ、どっかでそこそこ食う道はありましたが、今はそれも厳しいのではないでしょうか?そもそも、景気がよければチャレンジも成功する可能性が高いわけです。
いずれにせよ、「年配のえらい人」たちは、自分たちより若い者を「覇気がない」などとこき下ろす前に、自分たちが行なってきた政治や経営を反省すべきです。
政治家は、第一に、セーフティネットを崩壊させた反省をすべきです。わが民主党の鳩山総理も、2001年ごろは「小泉さんと構造改革を競う」と叫んでしまったことは反省しなければならないのです。
さらに、欧米が取り組んでいるようなグリーンニューディールに、もっと大胆に力を入れるべきでしょう。「新成長戦略」は中身はよい。あとは、実行力です。理系の研究者の待遇なんかも見ていて悪すぎます。こういうところの改善も進めていくべきでしょう。とにかく、まだまだショボイ。
セーフティネットでも、産業政策でも、お金と手間を掛けるべきだ。そのためには負担が必要ということについて、説明責任を果たしていくべきでしょう。
ガソリン税暫定税率維持も「ガソリン価格が安定したから」などという理由より、もっとよい理由付けがあると思います。そもそも、日本のガソリン価格は先進国でも安いほうです。
「ガソリンは高くても、安心して暮らせて、やりたいことにチャレンジできる国」をめざす、と言い切りますよ、わたしなら。
大手企業の経営者も、政治に圧力を掛けて、安易な労働コスト引き下げの味を占めてしまった。そして、いつまでも、(とくにトヨタは)アメリカ市場に頼りすぎた。新しい時代に合わせた分野への転換を怠ったことへの反省をすべきでしょう。
もちろん、若者も、投票率が低すぎる。若いほど投票率が低い。これでは、「年配のエライ人」の意向ばかりを政治家は聞いてしまうわけです。そのことについては、若者も責任があります。
また「年配のエライ人」がいつまでもいるわけでもない。この人たちの批判はしていく必要はありますが、それだけでは正直、不毛です。
新しい政治をつくるべくわたしも努力してまいります。
記事へのご意見・ご感想はこちら(hiroseto(AT)f2.dion.ne.jp、(AT)を@に変えてください)へどうぞ!
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みんなであたらしい広島県をつくる会
みんなであたらしい広島県をつくる会(MIXI)
広島市長・秋葉忠利
熊谷俊人と一緒に新しい千葉を!(MIXIコミュニティー)
とくらたかこ応援団
京野公子がんばれ!
以下の与党各党も参考に
「建設的野党」日本共産党
解散・総選挙にのぞむ基本的立場(日本共産党)
そうすると、番組の終わりごろでしょうか、60代の左派寄り政治家と、80代の右派寄り政治家のお2人が、「近頃の若者は覇気がない」という一点では、意気投合してしまっていました。
このお二人から見れば、若者とはおそらく、1960年以降に生まれた「新人類」も含むのでしょうが、そういう人たちは、保守的だというのでしょう。
もちろん、このお二人は、他の大半の論客からそれは違う、若者が希望を持てるような政治をしてきたのか?と批判されていました。
全く、このお二人は、このご発言に関して言えば、批判されて仕方がないと思いました。
まず、第一に「覇気がなくなるような教育をしてきた」のではないか?
だいたい、「一部のエリートだけはよくして、あとの人は考えなくてよい」というのが、「管理教育」にせよ、「ゆとり教育」にせよ、一貫していなかったでしょうか?
その路線は最近まで続いてきた。(なお、ゆとり教育を今の20代以下とするのが最近の俗説ですが、1980年代に既に「ゆとり教育」は言われていました。)。
「これはおかしいのではないか」と思ったらきちんとモノを言う。そういう人が居ないと、サービス業であろうが製造業であろうが、技術進歩はないでしょう。欠陥も見逃され、質が落ちますよ。
言い換えれば「エライ人」たちが、「苦言を辞さない忠臣」ではなく「無気力な奸臣」タイプを望んできたのだから仕方がない。
モノを言いにくいような人間に育てておいて、後から「お前らはコミュニケーション能力がない」「チャレンジング・スピリットがない」などと非難するのはいかがなものか?
旧与党に主に責任はあるが、旧野党の方も年配の方で往々にして、若者(年下)に対する見方では保革共通してしまっているところがあるのではないでしょうか?若者が、左派の年配者に「なぜ、怒らないのか」と怒らないことを怒られてしまったりする、笑えない事態もあるやにうかがいます。
年配の経営者なども、「ベンチャーが出てこないのは嘆かわしい。優秀な若い者は大手企業にばかり就職したがる。」とおっしゃる。それはそうです。しかし、自分で考えることの出来る人間を育ててこなかった付けでもあると思います。思考回路を保守化するような教育をしてきたのだから仕方がない。
結局「年配のエライ人」たちは、今まで散々「我々に従順な人」を、と望み、いざ、日本全体が傾いてくると、「チャレンジングスピリットを」というわけです。これは矛盾しているのではないでしょうか?
もうひとつは、セーフティネットの崩壊です。もともと、企業に大きく依存していたセーフティネットが崩壊した今、下手にチャレンジしたら、食えなくなるのではないか、という恐怖心が若い者を襲っている。「下手にチャレンジされて、ニートになられたら困る」、家族もチャレンジを止めたりするわけです。
さらに、景気がそもそも悪いことです。景気が良い頃ならチャレンジに失敗しても、まあ、どっかでそこそこ食う道はありましたが、今はそれも厳しいのではないでしょうか?そもそも、景気がよければチャレンジも成功する可能性が高いわけです。
いずれにせよ、「年配のえらい人」たちは、自分たちより若い者を「覇気がない」などとこき下ろす前に、自分たちが行なってきた政治や経営を反省すべきです。
政治家は、第一に、セーフティネットを崩壊させた反省をすべきです。わが民主党の鳩山総理も、2001年ごろは「小泉さんと構造改革を競う」と叫んでしまったことは反省しなければならないのです。
さらに、欧米が取り組んでいるようなグリーンニューディールに、もっと大胆に力を入れるべきでしょう。「新成長戦略」は中身はよい。あとは、実行力です。理系の研究者の待遇なんかも見ていて悪すぎます。こういうところの改善も進めていくべきでしょう。とにかく、まだまだショボイ。
セーフティネットでも、産業政策でも、お金と手間を掛けるべきだ。そのためには負担が必要ということについて、説明責任を果たしていくべきでしょう。
ガソリン税暫定税率維持も「ガソリン価格が安定したから」などという理由より、もっとよい理由付けがあると思います。そもそも、日本のガソリン価格は先進国でも安いほうです。
「ガソリンは高くても、安心して暮らせて、やりたいことにチャレンジできる国」をめざす、と言い切りますよ、わたしなら。
大手企業の経営者も、政治に圧力を掛けて、安易な労働コスト引き下げの味を占めてしまった。そして、いつまでも、(とくにトヨタは)アメリカ市場に頼りすぎた。新しい時代に合わせた分野への転換を怠ったことへの反省をすべきでしょう。
もちろん、若者も、投票率が低すぎる。若いほど投票率が低い。これでは、「年配のエライ人」の意向ばかりを政治家は聞いてしまうわけです。そのことについては、若者も責任があります。
また「年配のエライ人」がいつまでもいるわけでもない。この人たちの批判はしていく必要はありますが、それだけでは正直、不毛です。
新しい政治をつくるべくわたしも努力してまいります。
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広島市長・秋葉忠利
熊谷俊人と一緒に新しい千葉を!(MIXIコミュニティー)
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以下の与党各党も参考に
「建設的野党」日本共産党
解散・総選挙にのぞむ基本的立場(日本共産党)
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from 村野瀬玲奈の秘書課広報室
at 2010-01-09 23:26
タイトル : 若者を押さえつけておいて「覇気がない」と嘆く「年配のエラ..
さとうしゅういちさんのこの記事、大笑いし、大きくうなずきました。できるだけ多くの人に読んでもらいたいので、お持ち帰り。 ●広島瀬戸内新聞ニュース 若者を押さえつけておいて「覇気がない」と嘆ぎ..... more
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Tracked
from 黙然日記
at 2010-01-11 23:50
タイトル : [watch][sankei]産経「主張」、必死になる。
外国人参政権。 外国人参政権 自民は反対姿勢を明確に - イザ! http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/344545/ 今日の「主張」。言ってる理屈はいつもと変わらないネトウヨレベルなんですが、産経も自民党も相当焦ってるようです。各県の県議会で反対決... more
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by hiroseto2004
| 2010-01-02 11:47
| 新しい政治をめざして
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