「安物買いの銭失い」から「アジアの北欧」へ
2010年 01月 29日
デフレが叫ばれて久しいものがあります。
それは「安物買いの銭失い」の悪循環に、いわば日本人全体が陥っているということではないでしょうか?
第一は、消費者としての安物買い。
第二は、労働力の安物買い(買い叩き)。
第三に、有権者としての安物買い(小さすぎる政府)。
よく派遣切りや雇止めに遭った人を自己責任だ、と叩いている人がいます。
しかし、そういう人は、派遣や有期雇用労働者の作ったモノやサービスを買ったことはないのでしょうか?おそらく、わたしも含め、自給自足でもない限り、消費者として、労働者使い捨てに荷担してしまっているのです。
そして、それが、労働者の消費を冷え込ませ、日本経済全体の足を引っ張っています。
また、安易な労働者使い捨てが、技術の伝承・進化を阻んでいるのではないでしょうか?
さらに、有権者としても、日本国民は、とくに中曽根政権以降、小さな政府という「安物買い」を志向した、といえます。そのつけが今回っています。
一部の官僚らが、天下りでいくつもの法人やファミリー企業を渡り歩いることに対して、国民がムカつくのは当然です。だが、いくら官僚がムカつくからと言って、勢い余って政府活動一般まで否定してしまったら、国民は自分の首を絞めることになります。
失業しただけで、奈落の底に落ちかねない社会になった。教育費のGDP比も低いし、世界でも有数の貧困大国になってしまった。中間層以上も、子育てや介護にお金や労力を取られ、将来に不安を抱える社会になってしまった。これでは、安心して働けないし、消費もできないわけです。
あるいは、国政でも、地方でもいい加減な議員はいると思います。だからといって、橋下知事あたりが叫ぶように議員を半減したら、エライ人しか当選せず、民意が反映しにくくなります。
これらの悪循環から抜け出さなければ、元気が出ません。
産業政策では、新しい分野の開拓を急ぐことではないでしょうか?特に小泉純一郎政権は、余りの美が期待できないアメリカへの輸出に頼りすぎました。それを前提に、企業も「労働者を使い捨てて儲ける」という不毛な方向に向いてしまいました。そのつけが、2008年のリーマンショック以降、一挙に噴出したのです。
アメリカへの輸出ばかりに依存するなら、市場が先細りになるために、人を使い捨てて利益を得ようとせざるを得ない。しかし、人を使い捨てにしていたら、消費は崩落します。若い者は結婚どころではなくなり、人口は加速的に減るだけです。
日本はこのままでは、「先進国の覇気のなさ」と、「途上国の経済的貧しさ」を継ぎ合わせたような最悪な国に転落しかねないのです。
さりとて、1980年代末から1990年代頃に続々と建設されたハコモノ行政はどうか?たしかに、土木工事は、雇用対策としては即効性がある。ただ、ハコモノは、過剰になると、東京の大手企業にばかりお金が回り、地元には借金とメンテナンスなどのコストが残ってしまうわけです。
その借金で首が回らなくなり、地方自治体は、地方分権の掛け声とは裏腹に、中央官僚のコントロールが強まった、と感じます。
第二次補正予算のような緊急の雇用対策は喫緊の課題です。ただし、実際に事業を実施するのは都道府県や市町村です。この自治体の意識が問われます。生活に密着して、地元企業でも受けられるような内容のものにしていただきたいと思います。
その上で、中期的には
1、セーフティネットを人への投資と考え、力を入れる
2、産業構造の転換
3、1と関連して、大幅な税制改革
に着手すべきです。
1については、医療、介護、教育・子育て、などのセーフティーネットを充実させることです。経済的にみてもこれは投資になります。
2については、東アジアを事実上、内需と捉えることです。日本は、アジアにおいて、欧州における北欧の位置を占めるイメージを描けばいいのではないか?
英仏独の欧州中心国に対してちょうど北欧は人口が一桁小さい。中国やインドに対して人口が一桁小さい日本も、似たような国際経済的な位置を占めたらよいのではないでしょうか?
地方にもよりますが、観光地として、観光と関連した地元産業(農業、製造業含め)活性化を図るべきです。
あるいは、環境関連ビジネスを中国やインド相手にやっていく。こういう方向でしょう。
3については、「小さな政府路線」をこれ以上続けることは不可能である、ということを国民的合意にすることです。
ある時点では増税は不可避ではないでしょうか?ただし、いきなり消費税増税、ではなく、所得税の総合課税や、一定規模以上の金融資産への課税などから優先して検討すべきでしょう。消費税率を引き上げるにしても、欧州のように複数税率にして、低所得者への影響を抑えるべきでしょう。
以上の観点からすれば、政権の「新成長戦略」は方向性として悪くはない。ただし、はっきりと「アジアの北欧」など、サブタイトル的にめざすものをはっきりさせたらいいのではないか、と思うのです。
記事へのご感想はこちら(hiroseto(AT)f2.dion.ne.jp、(AT)を@に変えてください)へどうぞ!
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とくらたかこ応援団
京野公子がんばれ!
以下の与党各党も参考に
「建設的野党」日本共産党
解散・総選挙にのぞむ基本的立場(日本共産党)
それは「安物買いの銭失い」の悪循環に、いわば日本人全体が陥っているということではないでしょうか?
第一は、消費者としての安物買い。
第二は、労働力の安物買い(買い叩き)。
第三に、有権者としての安物買い(小さすぎる政府)。
よく派遣切りや雇止めに遭った人を自己責任だ、と叩いている人がいます。
しかし、そういう人は、派遣や有期雇用労働者の作ったモノやサービスを買ったことはないのでしょうか?おそらく、わたしも含め、自給自足でもない限り、消費者として、労働者使い捨てに荷担してしまっているのです。
そして、それが、労働者の消費を冷え込ませ、日本経済全体の足を引っ張っています。
また、安易な労働者使い捨てが、技術の伝承・進化を阻んでいるのではないでしょうか?
さらに、有権者としても、日本国民は、とくに中曽根政権以降、小さな政府という「安物買い」を志向した、といえます。そのつけが今回っています。
一部の官僚らが、天下りでいくつもの法人やファミリー企業を渡り歩いることに対して、国民がムカつくのは当然です。だが、いくら官僚がムカつくからと言って、勢い余って政府活動一般まで否定してしまったら、国民は自分の首を絞めることになります。
失業しただけで、奈落の底に落ちかねない社会になった。教育費のGDP比も低いし、世界でも有数の貧困大国になってしまった。中間層以上も、子育てや介護にお金や労力を取られ、将来に不安を抱える社会になってしまった。これでは、安心して働けないし、消費もできないわけです。
あるいは、国政でも、地方でもいい加減な議員はいると思います。だからといって、橋下知事あたりが叫ぶように議員を半減したら、エライ人しか当選せず、民意が反映しにくくなります。
これらの悪循環から抜け出さなければ、元気が出ません。
産業政策では、新しい分野の開拓を急ぐことではないでしょうか?特に小泉純一郎政権は、余りの美が期待できないアメリカへの輸出に頼りすぎました。それを前提に、企業も「労働者を使い捨てて儲ける」という不毛な方向に向いてしまいました。そのつけが、2008年のリーマンショック以降、一挙に噴出したのです。
アメリカへの輸出ばかりに依存するなら、市場が先細りになるために、人を使い捨てて利益を得ようとせざるを得ない。しかし、人を使い捨てにしていたら、消費は崩落します。若い者は結婚どころではなくなり、人口は加速的に減るだけです。
日本はこのままでは、「先進国の覇気のなさ」と、「途上国の経済的貧しさ」を継ぎ合わせたような最悪な国に転落しかねないのです。
さりとて、1980年代末から1990年代頃に続々と建設されたハコモノ行政はどうか?たしかに、土木工事は、雇用対策としては即効性がある。ただ、ハコモノは、過剰になると、東京の大手企業にばかりお金が回り、地元には借金とメンテナンスなどのコストが残ってしまうわけです。
その借金で首が回らなくなり、地方自治体は、地方分権の掛け声とは裏腹に、中央官僚のコントロールが強まった、と感じます。
第二次補正予算のような緊急の雇用対策は喫緊の課題です。ただし、実際に事業を実施するのは都道府県や市町村です。この自治体の意識が問われます。生活に密着して、地元企業でも受けられるような内容のものにしていただきたいと思います。
その上で、中期的には
1、セーフティネットを人への投資と考え、力を入れる
2、産業構造の転換
3、1と関連して、大幅な税制改革
に着手すべきです。
1については、医療、介護、教育・子育て、などのセーフティーネットを充実させることです。経済的にみてもこれは投資になります。
2については、東アジアを事実上、内需と捉えることです。日本は、アジアにおいて、欧州における北欧の位置を占めるイメージを描けばいいのではないか?
英仏独の欧州中心国に対してちょうど北欧は人口が一桁小さい。中国やインドに対して人口が一桁小さい日本も、似たような国際経済的な位置を占めたらよいのではないでしょうか?
地方にもよりますが、観光地として、観光と関連した地元産業(農業、製造業含め)活性化を図るべきです。
あるいは、環境関連ビジネスを中国やインド相手にやっていく。こういう方向でしょう。
3については、「小さな政府路線」をこれ以上続けることは不可能である、ということを国民的合意にすることです。
ある時点では増税は不可避ではないでしょうか?ただし、いきなり消費税増税、ではなく、所得税の総合課税や、一定規模以上の金融資産への課税などから優先して検討すべきでしょう。消費税率を引き上げるにしても、欧州のように複数税率にして、低所得者への影響を抑えるべきでしょう。
以上の観点からすれば、政権の「新成長戦略」は方向性として悪くはない。ただし、はっきりと「アジアの北欧」など、サブタイトル的にめざすものをはっきりさせたらいいのではないか、と思うのです。
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広島市長・秋葉忠利
熊谷俊人と一緒に新しい千葉を!(MIXIコミュニティー)
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以下の与党各党も参考に
「建設的野党」日本共産党
解散・総選挙にのぞむ基本的立場(日本共産党)
by hiroseto2004
| 2010-01-29 18:24
| 経済・財政・金融
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