「子どもの貧困-失われた教育の機会均等-」
2010年 05月 23日
全国フェミニスト議員連盟の総会が23日、三鷹市内でありました。
全国フェミニスト議員連盟
http://www.afer.jp/
記念講演として、参議院事務局企画調整室調査員・早稲田大学非常勤講師の鳫 咲子(がん さきこ)さんから「子どもの貧困-失われた教育の機会均等-」として、お話しいただきました。
以下はお話しの概要です。
■「卒業クライシス」には不熱心?文部科学省
高校授業料無償化法は成立し、今年度から適用されます。
公立高校は授業料徴収せず、私立高校については、11万8800円を助成することになっています。
年収250~350万円程度には1.5倍、年収250万円程度には二倍が助成されます。
しかし、2010年3月卒業生には適用されず、出席日数、成績などの要件を満たしているのに、卒業式後に卒業証書を回収したり、卒業式そのものに出席を認めない学校が21校44人。しかし、文部科学省は、全国調査を行わず、報道を確認しただけでした。
鳫さんが調べたところ、実際には、少なくとも43校75人が「卒業クライシス」に直面。PTA会費未納を理由に卒業証書を回収した例もありました。
高校無償化法が施行された今後も、課題は残ります。やむなく私立を選んだ場合(地方では公立に行けない子がやむなく私立、という場合もある)を含む高校生の三割が通う私立高校授業料や、公私ともに授業料以外のクラブ活動費や、通学費、修学旅行費、PTA会費などの負担は残ります。
授業料以外の負担は、公立で24万円、私立で46万円にもなるのです。ちなみに中学生の場合は18万円、小学生で10万円になります。
■高校を出ていないと厳しい就職
さて、最近、高校中退ないし中卒の就職状況は極端に悪い。2001年に男性で66.7%、女性でも22.7%が正社員・公務員になっていた。ところが、2006年には、男性で35.8%、女性では11.6%しか正社員になっていない。
自営や家業を継ぐ選択も、2001年には男性で15%、女性で12.9%あったのが、2006年には男性で10.5%、女性では(この調査では)皆無になっている。(しかも、専業主婦が統計から抜けているため、本当はニート、フリーターに実態が近い女性が既婚というだけで「専業主婦」扱いされ、抜けている可能性がある。)
とにかく、高校はでておかないと厳しい時代になりました。昔は結構、中卒でも正社員や家業でそこそこ食えたが、その道がせばまっている。いわゆるブルーカラー職種でも、高卒の資格の上に専門課程を学ばないとなれないようになっています。
だからこそ、教育の機会均等を憲法26条や教育基本法、子どもの権利条約に則り、保証しないといけない。
■就学援助も自治体により格差
さて、小中学生に対しては「就学援助」制度があります。やはり、就学援助受給者は増えている。だいたい、全国で七人に一人となっています。
ただ、就学援助については、市町村により取り組みに差が大きく、教職員向けに説明会さえしていないところも七割もあるそうです。
さらに例えば、給食費の未納が問題になっていますが、生活保護・修学援助制度の受給資格がありながら、申請していない親、貧しくて忙しいために、そのあたりをネグレクトしてしまう疑いがあるケースが多い。そして、八割の市町村は就学援助説明会を行っていないそうです。
■シビルミニマムを確保せよ
また、国庫補助を小泉純一郎さんが廃止(三位一体の改革)のために、市町村が就学援助を「厳格化」している実態はある。
実際、財政力が弱い地域ほど、就学援助率が低い実態はある。(財政力が弱い地域は経済が弱く故に就学援助へのニーズは高いはずなのに)。自治体担当者もやはり「全額国庫負担にしてほしい」「せめて昔の国庫補助制度を」という声が多いのです。
鳫さんは、やはり「シビルミニマム」の確保は必要で、「全ての子どもに高校卒業を」保証するため「高校版就学援助が必要」と訴えました。そして、関係者間で連携し、親のネグレクトから子どもを守るべき、と訴えました。
「子ども手当」については、(来年度)満額支給するよりも、低所得者への現物支給のほうが、財政的にも無駄がない、などと指摘しました。
その後、参加した自治体議員から実情を報告。荒川区は、区を挙げて、職員に貧困の実態を調べさせているそうです。
■対策待ったなし、スト背景の交渉課題に
わたしも岡山でのボランティア活動では二十代はじめと見られる夫婦と子どもが「まるごと野宿」になっているのを目撃しています。
お子さんの年齢などから推測するに、2006年ごろ、妊娠のために高校を中退したとかそういう方なのかな、とふと想像してしまいました。
子どもの貧困がさらに大人の貧困、さらにその子どもの貧困へと再生産されているのではないか?対策は待ったなしです。
我々「生存ユニオン広島」でも、メーデー後の政策提言で、すでに「こどもの貧困」に言及し、「教育費そのもの」無償化を求めています。
反貧困「生存ユニオン広島」結成、民主党にメーデー参加者の声届ける
http://www.janjanblog.com/archives/1771
そこで、それに補強をした上で、「政府・与党への提言vol2」を実施したいと考えています。
「高校版就学援助」の明記、教育無償化や、安易に地域主権の名の下にこどもの人権を切り捨てず、「最低水準」は国で確保することなどを補強したいと考えています。
また、わたくしさとうが分会長を兼務する「民主党分会」で21日に批准されたストライキ体制を背景に、とくに貧困問題で、実効性ある取り組みが行われるよう、粘り強く政府・与党に働きかけていきます。
スト体制を確立、政府・党執行部に物申す!「生存ユニオン広島・民主党分会」
http://www.janjanblog.com/archives/3012
とくに川端文部科学大臣におかれてはもっとしっかりしていただきたいと考えています。
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記念講演として、参議院事務局企画調整室調査員・早稲田大学非常勤講師の鳫 咲子(がん さきこ)さんから「子どもの貧困-失われた教育の機会均等-」として、お話しいただきました。
以下はお話しの概要です。
■「卒業クライシス」には不熱心?文部科学省
高校授業料無償化法は成立し、今年度から適用されます。
公立高校は授業料徴収せず、私立高校については、11万8800円を助成することになっています。
年収250~350万円程度には1.5倍、年収250万円程度には二倍が助成されます。
しかし、2010年3月卒業生には適用されず、出席日数、成績などの要件を満たしているのに、卒業式後に卒業証書を回収したり、卒業式そのものに出席を認めない学校が21校44人。しかし、文部科学省は、全国調査を行わず、報道を確認しただけでした。
鳫さんが調べたところ、実際には、少なくとも43校75人が「卒業クライシス」に直面。PTA会費未納を理由に卒業証書を回収した例もありました。
高校無償化法が施行された今後も、課題は残ります。やむなく私立を選んだ場合(地方では公立に行けない子がやむなく私立、という場合もある)を含む高校生の三割が通う私立高校授業料や、公私ともに授業料以外のクラブ活動費や、通学費、修学旅行費、PTA会費などの負担は残ります。
授業料以外の負担は、公立で24万円、私立で46万円にもなるのです。ちなみに中学生の場合は18万円、小学生で10万円になります。
■高校を出ていないと厳しい就職
さて、最近、高校中退ないし中卒の就職状況は極端に悪い。2001年に男性で66.7%、女性でも22.7%が正社員・公務員になっていた。ところが、2006年には、男性で35.8%、女性では11.6%しか正社員になっていない。
自営や家業を継ぐ選択も、2001年には男性で15%、女性で12.9%あったのが、2006年には男性で10.5%、女性では(この調査では)皆無になっている。(しかも、専業主婦が統計から抜けているため、本当はニート、フリーターに実態が近い女性が既婚というだけで「専業主婦」扱いされ、抜けている可能性がある。)
とにかく、高校はでておかないと厳しい時代になりました。昔は結構、中卒でも正社員や家業でそこそこ食えたが、その道がせばまっている。いわゆるブルーカラー職種でも、高卒の資格の上に専門課程を学ばないとなれないようになっています。
だからこそ、教育の機会均等を憲法26条や教育基本法、子どもの権利条約に則り、保証しないといけない。
■就学援助も自治体により格差
さて、小中学生に対しては「就学援助」制度があります。やはり、就学援助受給者は増えている。だいたい、全国で七人に一人となっています。
ただ、就学援助については、市町村により取り組みに差が大きく、教職員向けに説明会さえしていないところも七割もあるそうです。
さらに例えば、給食費の未納が問題になっていますが、生活保護・修学援助制度の受給資格がありながら、申請していない親、貧しくて忙しいために、そのあたりをネグレクトしてしまう疑いがあるケースが多い。そして、八割の市町村は就学援助説明会を行っていないそうです。
■シビルミニマムを確保せよ
また、国庫補助を小泉純一郎さんが廃止(三位一体の改革)のために、市町村が就学援助を「厳格化」している実態はある。
実際、財政力が弱い地域ほど、就学援助率が低い実態はある。(財政力が弱い地域は経済が弱く故に就学援助へのニーズは高いはずなのに)。自治体担当者もやはり「全額国庫負担にしてほしい」「せめて昔の国庫補助制度を」という声が多いのです。
鳫さんは、やはり「シビルミニマム」の確保は必要で、「全ての子どもに高校卒業を」保証するため「高校版就学援助が必要」と訴えました。そして、関係者間で連携し、親のネグレクトから子どもを守るべき、と訴えました。
「子ども手当」については、(来年度)満額支給するよりも、低所得者への現物支給のほうが、財政的にも無駄がない、などと指摘しました。
その後、参加した自治体議員から実情を報告。荒川区は、区を挙げて、職員に貧困の実態を調べさせているそうです。
■対策待ったなし、スト背景の交渉課題に
わたしも岡山でのボランティア活動では二十代はじめと見られる夫婦と子どもが「まるごと野宿」になっているのを目撃しています。
お子さんの年齢などから推測するに、2006年ごろ、妊娠のために高校を中退したとかそういう方なのかな、とふと想像してしまいました。
子どもの貧困がさらに大人の貧困、さらにその子どもの貧困へと再生産されているのではないか?対策は待ったなしです。
我々「生存ユニオン広島」でも、メーデー後の政策提言で、すでに「こどもの貧困」に言及し、「教育費そのもの」無償化を求めています。
反貧困「生存ユニオン広島」結成、民主党にメーデー参加者の声届ける
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そこで、それに補強をした上で、「政府・与党への提言vol2」を実施したいと考えています。
「高校版就学援助」の明記、教育無償化や、安易に地域主権の名の下にこどもの人権を切り捨てず、「最低水準」は国で確保することなどを補強したいと考えています。
また、わたくしさとうが分会長を兼務する「民主党分会」で21日に批准されたストライキ体制を背景に、とくに貧困問題で、実効性ある取り組みが行われるよう、粘り強く政府・与党に働きかけていきます。
スト体制を確立、政府・党執行部に物申す!「生存ユニオン広島・民主党分会」
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とくに川端文部科学大臣におかれてはもっとしっかりしていただきたいと考えています。
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by hiroseto2004
| 2010-05-23 23:20
| 教育
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