愛知製鋼不当労働行為事件、和解成立 ――社外労働者の労組との協議を明記――
2010年 07月 14日
愛知製鋼不当労働行為事件、和解成立
――社外労働者の労組との協議を明記――
http://imadegawa.exblog.jp/14182910/
■愛知製鋼、労組に解決金を支払う
トヨタ自動車グループの
鋼材メーカー・愛知製鋼において
重層的な偽装請負状態で働かされてきた
労働者たちが
愛知県の個人加盟制労働組合・
名古屋ふれあいユニオンに加入し、
愛知製鋼の使用者責任や
職場の労災・安全衛生の問題などについて
団体交渉の開催を求めたにもかかわらず
愛知製鋼に拒絶され、
組合側が愛知県労働委員会に
不当労働行為(団交拒否)の救済を
申し立てていた事件で、
7月12日に労使双方の和解が成立した。
和解条項は、
愛知製鋼構内で就労する
社外労働者について
組合側から協議の申し入れがあった場合、
形式上の雇用関係がなくても
会社側は確定した最高裁の判例にしたがって
協議に応じると明記。
また、
愛知製鋼は和解にあたって
組合に対して解決金を支払うとしている。
愛知製鋼では長年にわたり、
二重・三重・四重の
重層的な偽装請負構造の中で、
職場の指揮命令系統や責任が曖昧になり、
労災問題が多発してきた。
末端の協力会社の従業員らは
雇用保険や社会保険・労災保険にも
未加入という劣悪な条件で
働かされてきた。
実際には愛知製鋼の指揮命令を受けて
就労しているにもかかわらず、
労災にあったときには
直接の雇用関係にないことを理由に
愛知製鋼は一切責任を取らないという
理不尽な構造に苦しめられてきた。
こうした中で2007年、
協力会社従業員の内部告発をきっかけに
愛知製鋼とその子会社は
下請企業の「再編」を画策。
この過程で愛知製鋼は
協力会社従業員の人員異動や
減員の指示にまで自ら関与し、
長年偽装請負の状態で働かされてきた
多くの従業員が
職を失う危機に陥った。
協力会社従業員らは
名古屋ふれあいユニオンに結集して
「知多分会」(愛知製鋼構内非正規労働者分会)を
結成。
名古屋ふれあいユニオンは
愛知製鋼に対し、
協力会社従業員に対する
人員異動・減員指示の問題や、
長年問題となってきた
安全衛生や労災補償についての問題、
そして
偽装請負の状態で働かされてきた
労働者らの直接雇用の問題などについて
団体交渉を開催するよう、
2007年6月11日と7月11日の
2度にわたって申し入れた。
しかし愛知製鋼は、
「貴組合員は、
弊社が雇用する労働者では
ありませんので、
弊社には、
貴組合と団体交渉をすべき法的義務は
ありません」の一言で
これを拒絶。
2009年2月9日には、
愛知製鋼が
労働者派遣法上の期間制限を超えて
労働者派遣を受け続けてきたとして
愛知労働局から文書指導を受け、
労働者の直接雇用が望ましいと
直接雇用の推奨を受けたことから、
同年2月25日に
組合は再度団体交渉を申し入れたが、
愛知製鋼はこれも拒絶していた。
名古屋ふれあいユニオンは
和解にあたって弁護団との連名で
声明を出し、
「非正規雇用労働者をめぐる深刻な状況、
偽装請負、派遣法違反などが
横行する中で、
肝心の大もとの企業が
形式上 雇用関係にないことを理由に
使用者としての責任を
取ろうとしない状況にある。
そういう中で、
形式上の雇用関係の有無にかかわらず、
自らが事実上
支配・決定している事項については
協議に応じる旨の和解を
勝ち取った意義は大きい。
組合はこの和解内容を踏まえて、
今後
愛知製鋼で問題が起こった場合には
積極的に交渉を申し入れ、
集団的労使関係の中で
問題解決を図るとともに、
この成果を他の職場に拡げて
広く労働者の救済を進めるべく
積極的に運動を推進してゆく
決意である」と表明した。
【参考資料】
和解協定書
名古屋ふれあいユニオン(以下「申立人」という。)と
愛知製鋼株式会社(以下「被申立人」という。)との間の
愛労委平成19年(不)第7号・
平成21年(不)第4号併合
不当労働行為救済申立事件(以下「本件」という。)について、
両当事者は、
愛知県労働委員会の
本件担当委員立会いのもとで、
別記条項のとおり
和解により解決することに合意したので、
本協定を締結する。
以上の合意の成立を証して、
両当事者及び立会人が
署名(又は記名押印)し、
申立人、被申立人及び
愛知県労働委員会が
各1通を保有する。
平成22年7月12日
申立人
名古屋ふれあいユニオン 運営委員長 酒井徹
代理人弁護士 高木輝雄
中谷雄二
森弘典
塚田聡子
被申立人
愛知製鋼株式会社
代理人弁護士 近藤尭夫
立会人
愛知県労働委員会
公益委員 中舎寛樹
労働者委員 小林宏
使用者委員 柴山忠範
(別記)
和解条項
1 申立人及び被申立人は、
労働組合法を尊重する。
2 被申立人は、
申立人から、
被申立人構内で就労する
社外労働者である
申立人組合員に関して
協議の申し入れがあった場合、
確定した最高裁の判例にしたがい、
被申立人が労組法7条2号の
使用者に該当するときは、
協議に応じる。
3 被申立人は、
申立人に対し、
本件の解決金として
金……円を、
申立人の指定する口座に
振り込む方法で支払う。
4 申立人及び被申立人は、
前項の解決金額を
第三者に口外しない。
5 申立人は、
本協定成立と同時に、
本件申立を取り下げる。
(JanJan blog7月12日より加筆転載)
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愛知製鋼の使用者責任や
職場の労災・安全衛生の問題などについて
団体交渉の開催を求めたにもかかわらず
愛知製鋼に拒絶され、
組合側が愛知県労働委員会に
不当労働行為(団交拒否)の救済を
申し立てていた事件で、
7月12日に労使双方の和解が成立した。
和解条項は、
愛知製鋼構内で就労する
社外労働者について
組合側から協議の申し入れがあった場合、
形式上の雇用関係がなくても
会社側は確定した最高裁の判例にしたがって
協議に応じると明記。
また、
愛知製鋼は和解にあたって
組合に対して解決金を支払うとしている。
愛知製鋼では長年にわたり、
二重・三重・四重の
重層的な偽装請負構造の中で、
職場の指揮命令系統や責任が曖昧になり、
労災問題が多発してきた。
末端の協力会社の従業員らは
雇用保険や社会保険・労災保険にも
未加入という劣悪な条件で
働かされてきた。
実際には愛知製鋼の指揮命令を受けて
就労しているにもかかわらず、
労災にあったときには
直接の雇用関係にないことを理由に
愛知製鋼は一切責任を取らないという
理不尽な構造に苦しめられてきた。
こうした中で2007年、
協力会社従業員の内部告発をきっかけに
愛知製鋼とその子会社は
下請企業の「再編」を画策。
この過程で愛知製鋼は
協力会社従業員の人員異動や
減員の指示にまで自ら関与し、
長年偽装請負の状態で働かされてきた
多くの従業員が
職を失う危機に陥った。
協力会社従業員らは
名古屋ふれあいユニオンに結集して
「知多分会」(愛知製鋼構内非正規労働者分会)を
結成。
名古屋ふれあいユニオンは
愛知製鋼に対し、
協力会社従業員に対する
人員異動・減員指示の問題や、
長年問題となってきた
安全衛生や労災補償についての問題、
そして
偽装請負の状態で働かされてきた
労働者らの直接雇用の問題などについて
団体交渉を開催するよう、
2007年6月11日と7月11日の
2度にわたって申し入れた。
しかし愛知製鋼は、
「貴組合員は、
弊社が雇用する労働者では
ありませんので、
弊社には、
貴組合と団体交渉をすべき法的義務は
ありません」の一言で
これを拒絶。
2009年2月9日には、
愛知製鋼が
労働者派遣法上の期間制限を超えて
労働者派遣を受け続けてきたとして
愛知労働局から文書指導を受け、
労働者の直接雇用が望ましいと
直接雇用の推奨を受けたことから、
同年2月25日に
組合は再度団体交渉を申し入れたが、
愛知製鋼はこれも拒絶していた。
名古屋ふれあいユニオンは
和解にあたって弁護団との連名で
声明を出し、
「非正規雇用労働者をめぐる深刻な状況、
偽装請負、派遣法違反などが
横行する中で、
肝心の大もとの企業が
形式上 雇用関係にないことを理由に
使用者としての責任を
取ろうとしない状況にある。
そういう中で、
形式上の雇用関係の有無にかかわらず、
自らが事実上
支配・決定している事項については
協議に応じる旨の和解を
勝ち取った意義は大きい。
組合はこの和解内容を踏まえて、
今後
愛知製鋼で問題が起こった場合には
積極的に交渉を申し入れ、
集団的労使関係の中で
問題解決を図るとともに、
この成果を他の職場に拡げて
広く労働者の救済を進めるべく
積極的に運動を推進してゆく
決意である」と表明した。
【参考資料】
和解協定書
名古屋ふれあいユニオン(以下「申立人」という。)と
愛知製鋼株式会社(以下「被申立人」という。)との間の
愛労委平成19年(不)第7号・
平成21年(不)第4号併合
不当労働行為救済申立事件(以下「本件」という。)について、
両当事者は、
愛知県労働委員会の
本件担当委員立会いのもとで、
別記条項のとおり
和解により解決することに合意したので、
本協定を締結する。
以上の合意の成立を証して、
両当事者及び立会人が
署名(又は記名押印)し、
申立人、被申立人及び
愛知県労働委員会が
各1通を保有する。
平成22年7月12日
申立人
名古屋ふれあいユニオン 運営委員長 酒井徹
代理人弁護士 高木輝雄
中谷雄二
森弘典
塚田聡子
被申立人
愛知製鋼株式会社
代理人弁護士 近藤尭夫
立会人
愛知県労働委員会
公益委員 中舎寛樹
労働者委員 小林宏
使用者委員 柴山忠範
(別記)
和解条項
1 申立人及び被申立人は、
労働組合法を尊重する。
2 被申立人は、
申立人から、
被申立人構内で就労する
社外労働者である
申立人組合員に関して
協議の申し入れがあった場合、
確定した最高裁の判例にしたがい、
被申立人が労組法7条2号の
使用者に該当するときは、
協議に応じる。
3 被申立人は、
申立人に対し、
本件の解決金として
金……円を、
申立人の指定する口座に
振り込む方法で支払う。
4 申立人及び被申立人は、
前項の解決金額を
第三者に口外しない。
5 申立人は、
本協定成立と同時に、
本件申立を取り下げる。
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by hiroseto2004
| 2010-07-14 06:28
| ジェンダー・人権(労働問題)
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