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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

参院選・民主敗北で可視化された「ゲリマンダー」  菅原准教授指摘

  総括・参院選3 可視化された「地方一人区」「大都市大選挙区」の歪み
http://www.janjanblog.com/archives/9281


以下の菅原琢・准教授の論文は、自民党が弱い大都市で中選挙区、自民党が強い地方で1人区にしているために、圧倒的に自民党に有利な議席配分になっていることを明らかにしています。

http://blog.livedoor.jp/sgt/archives/51759957.html

2010年07月14日
【2010年参議院選挙分析】得票と議席の「ねじれ」について
 2010年参院選は、議席数では自民党が勝利したものの、比例区得票率や候補者の総得票数を見ると、民主党が勝っていた、少なくともこんなに負けることがなかったというようなことが指摘されています。このような得票と議席の「ねじれ」の要因として、自民党は農村の1人区(小選挙区)で強いため、「一票の格差」の恩恵を強く受けているためだ、という主張もあります。鳥取が1議席なら東京は20議席あるはずなのに、実際には5議席しかなく、自民党に著しく有利であるというのは、一見すると正しい議論に見えます。

 しかし、「一票の格差」がもたらす選挙結果の「歪み」は、小選挙区と中選挙区の混合と都市―農村軸の交差がもたらす歪みに比較すれば、微々たるものに過ぎません。以下、簡単なシミュレーションをしながら、これを議論してみましょう。


定数不均衡是正シミュレーション
 自民党と公明党は、73議席ある参院選挙区のうち42議席を獲得しました。このうち21議席が1人区です。一方、民主党は28議席(うち1人区は8議席)、みんなの党は3議席を獲得しています。

 ここで、各都道府県の議席数が完全に人口に比例していた場合の議席数をもとめ、そこで各党がどれだけ議席を獲得するかを考えます。たとえば、人口60万の鳥取県は0.35議席、1258万の東京都は7.19議席とします。鳥取県は自民党候補が勝利したので自民党に0.35議席入ります。東京都では自民党と公明党が5議席中2議席を獲得したので7.19×(2/5)で2.87議席、というように計算します。

 これを累積して、小数点以下も含めて定数是正が行われていた場合の議席数をもとめると、自民党+公明党は39.7議席、民主党は29.1議席、みんなの党は4.3議席となります。現実の結果(自公42、民主28、みんな3)に比較して、さほど大きく変化していないことがわかります。定数不均衡を解消しても、与党に過半数が転がり込むわけではありません。

 もうちょっと現実的に考えて見ましょう。たとえば、東京に7議席あった場合、新たに加わった2議席のうち1議席目は共産党が獲得する可能性が高いでしょう。残りの1議席は民主党の3議席目の可能性が高く、自民党の2議席目という可能性もあるでしょう。神奈川が定数5だった場合、おそらく公明党が候補者を擁立し、新たに加わる2議席は民主党と公明党になるでしょう。愛知と埼玉に1議席ずつ加わると前者は公明党かみんなの党、後者は民主が獲得するでしょう。

 要するに定数不均衡を解消して、都市部に新たな議席を加えた場合、民主党が多くの議席を取りますが、一部は公明党や自民党、みんなの党が獲得します。この結果、定数不均衡をきちんと解消しても、民主党の議席が大幅に増えるわけではないということになるわけです。


小選挙区と中選挙区の混合による歪み
 得票と議席のねじれは、定数不均衡ではなく、小選挙区と中選挙区の混合によってもたらされています。より正確には、農村で小選挙区、都市で中選挙区となっていることが、自民党に極めて有利に作用し、ねじれを生んでいます。

 たとえば、富山、石川、福井、鳥取、島根、山口、熊本、宮崎、鹿児島の9県では、自民党が全勝し9議席となっています。これを3県ずつ定数3の中選挙区とした場合、どういう結果が予測されるでしょうか?おそらく、自民2、民主1という結果になるでしょう。つまり9つの1人区で選挙を行えば9議席差となり、3つの3人区で選挙を行えばたった3議席差になるわけです。

 逆に、東京都が5つの小選挙区に分かれていればどうでしょうか?おそらく、5つ全部、あるいは4議席は民主党が獲得するでしょう。今回の民主2候補で240万票、自公150万票の90万票差には蓮舫候補が大量得票したという特殊事情が含まれますが、これが210万対180万でも、小選挙区では5対0か4対1になる可能性が高いでしょう。この票で自公が1議席取るということは、他の選挙区では引き離されることを意味するので、2議席は難しいでしょう。

 この歪みを考えるために、まず次のような単純な計算をしてみましょう。47都道府県のうち、自民党と公明党の候補が獲得した票が、民主党候補(推薦含む)の得票を上回ったのは24府県、民主党が上回ったのは23都道府県です。ほぼ半数ずつに分かれています。

 一方、前者に割り振られている定数は29議席、後者は44議席です。前者は定数1の県が21含まれ、後者は8しか含まれていないためです。仮に、定数2以上の都道府県で定数分の小選挙区、あるいは勝者総取り(勝ったほうが定数分の議席を獲得)によって選んでいた場合、どうなるでしょうか?実際には、2人の候補が競争して集票している部分もあるのでそう単純ではなく、44議席全てを獲得することは難しいでしょうが、現状の28議席よりはかなり多い数になるはずです。


歪みを可視化する
 ここまでの議論を可視化してみましょう。




 図の一番上は現状の選挙区73の議席配分を示しています。「定数調整」は人口比例で配分した先述のシミュレーション結果、「勝者総取り」は、民主党勝利都道府県の定数44と現実の獲得議席28の間をグラデーションで表現したものです。「勝者総取り+定数調整」は、勝者総取りをさらに人口比例にしたものです。

 このグラフからは、定数不均衡を解消し、小選挙区と中選挙区の混合を止めれば、自民党・公明党と民主党は、ほぼ同じ議席数か、民主党が勝利した可能性が高かったことが分かります。


結論と含意
 以上のように、得票と議席のねじれは、一部は定数不均衡により、大きくは小選挙区と中選挙区の混合によりもたらされていると考えられます。5倍超という「一票の格差」の印象ほど、定数不均衡を解消してもそれほど議席配分が変わらないのは、人口に比較して議席数の少ない選挙区で、より比例的な議席配分を行う中選挙区制が採用されているためです。自民党は小さな県の議席を独占し、大きな都道府県では一定の議席を獲得するという「仕組み」になっています。これは、自民党に参院選で常に勝利をもたらし、農村に過大な利益をもたらした、55年体制・自民党一党優位体制の基本構造そのものです。

 ただし、民主党はこのおかしな選挙制度の被害者だとみなすのもまた、おかしいと考えます。このように選挙制度が歪んでいるのは最初からわかっていたことで、政権党としては過半数を獲得するために他党と協力する道を探るべきだったでしょう。『世界』の拙稿でも述べたように、中小政党との協力は、選挙での勝利と政権運営に不可欠なのですから。党の支持率が下がり、社民党が政権から離脱し、衆院に比べ都市選出の大政党に有利ではない参院選挙制度を前にして、単独で戦おうというのは、さすがに無理があったと言えるでしょう。

 また、政権交代後、この参院の選挙制度や定数不均衡を積極的に修正しようという動きは見られませんでした。都市部の有権者が政権交代に託したのは、自民党長期政権がもたらしたさまざまな歪みを修正することであり、参院の選挙制度の歪みを修正することは、その期待に応える解のひとつになったはずです。政権交代後、そういった期待に応えずに、再び投票してくれというのは、政権交代に期待した有権者からすればおかしな話でしょう。

 いずれにしろ、参院選挙制度がもたらす歪みが、今回の選挙の結果で明確になったのですから、この制度で得をしている自民党も含め、この修正に取り組むべきでしょう。もし自民党が、自分たちが得をしているからといって、都市部有権者に不利益をもたらす参院選挙制度の温存を図ろうとすれば、大変なことになるかもしれません。参院とは違って衆院の選挙は、都市部でも小選挙区であり、定数が多く配分されています。再び都市部の有権者にそっぽを向けられることになれば、次の衆院選で自民党は壊滅してしまうかもしれませんね。

以上


似たようなことは、都道府県議会議員選挙に良くあります。

県庁所在地で自民党が弱い地域は中選挙区ないし大選挙区で、自民党はそこそこ議席を取る。

山間部の自民党が強い地域では、定数1で、自民党が独占する。結果として、県議会では自民党が圧倒的多数。こんな都道府県はごまんとあります。

まあ、こういうのを放置してきた自民党も自民党。ただ、民主党も、参院については、責任があります。きちんと定数是正をすべきでした。

例えば、参院は、全てブロックごとの大選挙区にするとか、そういう工夫は必要ではなかったか?

問題は地方議会、とくに都道府県議会でしょう。いつまでたっても自民党有利の区割りが変更されない危険があります。


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by hiroseto2004 | 2010-07-15 22:08 | 選挙制度・政治改革 | Trackback