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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

反中デモに抗議したのは「中国人」ではなく「日本人」

★★★★★ 転送・転載大歓迎 ★★★★★(園良太さんより御知らせいただきました)

http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-entry-65.html
ヘイトスピーチに反対する会:「10.16六本木右翼デモに抗議してきましたが」

こちらもチェック→  釣魚台/尖閣をめぐる日本の国ぐるみの排外主義に抗議します・
前編(歴史編) http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-entry-63.html
後編(現状編) http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-entry-64.html

「頑張れ日本!全国行動委員会」らの主催による、デモと中国大使館への抗議が、10月16日に六
本木でおこなわれました。この「頑張れなんたら」が、在日中国人への蔑視や敵意、ひいては迫害
をあおる、とんでもないデマをたれ流している団体であることは、すでに先のエントリーでふれたとおりです。
日本による釣魚台/尖閣の「実効支配」は清算されざる植民地主義であり(前エントリー歴史編参照)、またいうまでもなく在日中国人への蔑視をたれながすことは許せません(現状編参照)。
なので、その日に時間があった有志で、このデモに抗議の座りこみをすることにしました。

実際の抗議がどうなったのかは、海外メディアの報道やデモ参加者の映像があるので、いくつかを紹介しておきます。
・「都内で右派系デモ、中国の「侵略」に抗議 1000人以上行進」APF通信(半分くらい抗議の写真)
http://www.afpbb.com/article/politics/2766352/6332597
・だれがとったかわからない(たぶん参加者)けど、現場映像。http://www.youtube.com/watch?feature=iv&v=o9i3ghLEgDA
これも。http://www.youtube.com/watch?v=gLmb_5b-f9E
・座りこんだ当人のビデオ声明  にほんご http://www.youtube.com/watch?v=QUD93KpSYCQ
/ English http://www.youtube.com/watch?v=rXWB0N4IPRg

抗議の主旨および経過は、以上のとおりです。が、それとはべつに、座りこみ後におきたことについて、いくつか報告しておかねばならないことがあります。ひとつは警察の横暴について、
もうひとつは今回の件や中国での反日デモにかんする報道の問題についてです。

1.警察(麻布署)による力ずくの「任意同行」
座りこんだ当人ふたりは、私服および制服の警察官に排除されました。そのあと、
警察は路地の駐車場にふたりを包囲し「おまえらは何をしにきたんだ、署で話を聞かせろ」
などと、とんちんかんなことを聞いてきました。ふたりはカメラがまわっていたので、
警察に排除され囲まれているあいだじゅう、抗議の主旨および「ヘイトスピーチに反対する会」
という名前を叫んでいたのですが。これ以上抗議をつづけられそうにもなく、また警察になど
行きたくなかったので、帰る、さもなくば話はここでするとふたりは主張しましたが、腕や足を
つかまれて、あるいは押されて、別々のパトカーに押しこまれ麻布署に強制連行されました。

さて、多くの読者は「逮捕されたのか」とおもうことでしょうが、ふしぎなことに、力ずくでパトカー
に押しこんでおきながら、これは逮捕ではなかった。現行犯であれ令状逮捕であれ逮捕なら、
どんな罪状でそうしたのか説明しなければならないはずですが、「うるせえ、だまってついてこい!」
などと恫喝され相手にされず、あとで署についてから「これは逮捕ではなく任意(!)同行です」と
説明されました。任意というのは当然「同意」を意味するはずですが、ふたりはどちらも同意
していないし、実際にふたりは包囲によって移動の自由を奪われ、腕やら足やらを引っ張られて
強制的に連行されたわけです。ひとりは連行の過程でベルトを引きちぎられ、もうひとりは腕に
くっきりと青あざが残りました。

そのあと、署でふたりはべつべつに取調室で別々質問をうけました(ここでも「取調ということは
逮捕なの?」と聞いたが「いえ、取調ではなくお話をうかがうだけです」とのこと)。といっても、
たいしたこともない枝葉末節の話でいたずらに時間をひきのばされ、しかも刑事課の部屋から、
なにかをしきりに打ち合わせているのが丸聞こえでした。どうやって逮捕の理由をつくるか相談
してたのでしょうか? けっきょく、警察は二時間ほどで実質上の拘束をときました。帰りぎわに
「警察は興奮した右翼デモから安全なところに保護するために、ふたりを署に連れてきたのであって、
そこはわかってもらいたいし、感謝してほしいぐらいだ」などと念押しをされましたが。また、
私服警官にちぎられたベルトの被害届を出そうとしたのですが、窓口はシカトを決めこんで受理
してくれませんでした。そして、ふたりはぶじ、友人たち(ケガや逮捕など万一の事態にそなえて、
離れた街で待機していたり、心配してあとで駆けつけてくれた)と再会できました。

法律が「任意同行」の名目で強制的に人をパトカーで連行できるようになっているのか、あとで
調べてみました。ところが「任意同行」という言葉じたいは日本の法律にはないようです。たしかに
警察官職務執行法の第二条 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO136.html
では、警察官はいわゆる職務質問をしたり、警察署などへの同行を「求める」ことができると定め
られています。が、その第三項には、質問や同行を求められた者は「法律の規定によらない限り、
身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を
強要されることはない」とはっきり書いてあります。しかし今回ふたりは、法的根拠もなく「任意」の
同行を強制された(というかパトカーに力ずくで押しこまれた)わけです。
しかも、署での「事情聴取」のさい、麻布署はほかの場合でも「任意」に応じない人をこういうふうに
連行するのかと聞いたら、「そうしますね」と悪びれることもなく答えていました。このような、法的
手続きにすらのっとることのない麻布署の横暴きわまりないやりかたにたいしては、今後しかるべき
対応を検討します。

2.「右翼デモに抗議した中国人」という誤報道および中国の「反中デモ」報道にみられる(無意識の?)バイアスと蔑視
冒頭で紹介した記事もふくめて、とくに海外メディアでは、この右翼デモおよびそれへの抗議が
比較的おおきく取り上げられています(ロイター、アルジャジーラ、などなど)。しかしそのほぼすべてが、座りこんだふたりを「中国人」または「中国人らしき(believed to be Chinese)」と報じています。
ヘイトスピーチに反対する会は、参加メンバーの国籍や民族や人種を問いません。が、座りこんだふたりは、当人がビデオ声明(にほんご/English)で言っているように、いずれも日本人です。
また今回の件の文脈においては、右翼デモに抗議したのが「中国人」であるといった誤報道を、それが意図的であろうがなかろうが、放置しておくわけにはいきません(さしあたり冒頭のAFPには、この件をウェブでいちはやく報じたこともあるので個別に訂正依頼を出しました)。

第一に、すでにブログ『過ぎ去ろうとしない過去』が的確に指摘しているとおり、
http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20101018/p1】、
日本のレイシズムや排外主義、植民地主義は悪いものであって、「だれが」それに反対しているか
ということは無関係です(もちろん日本のレイシズムに責任があるのは中国人ではなく日本人ですが)。
また「反中デモのあらゆる批判者に「中国人」というレッテルを貼ることによって、問題を矮小化しようと試みること、また矮小化しうると考えること」も、やはり「中国人に対する差別」にほかなりません。
右翼デモ参加者の「中国人が妨害してきた」という速断が、それが事実であろうがなかろうが、かれらの先入観すなわち差別意識にもとづいていることはあきらかです。つまり、今回の「中国人が右翼デモを妨害」式の誤報は、たんに事実誤認である以上に、日本のレイシストたちの差別意識を拡大・増幅する役割を(個々の報道者の意図にかかわらず)はたしているわけです。
ですから『過ぎ去ろうとしない過去』さんのコメントをくりかえしましょう。
抗議者が「そもそも中国人だとして、それの何が悪いのですか?」

第二に、この件が「中国人による右翼デモへの妨害」だと自然に納得できてしまう心理が、日本や
中国以外のジャーナリストにもあるとすれば、わたしたちはそれにも抗議せねばなりません。
なぜならこのことは、釣魚台/尖閣をめぐる問題が、なによりも日中双方のナショナリズム同士の
衝突なのだと理解されていることを意味するからです。しかし前記事(歴史編/現状編)ではっきりと
説明したように、これはなによりも日本の継続する侵略主義、植民地主義の問題なのであって、
あくまでこの侵略主義との対抗関係において、今回の中国ナショナリズムの高まりもあるわけです。
日中以外のジャーナリストはもちろん事情にくわしくないということもあるでしょうが、そうであれば
なおさら、うわっつらの「中立的」立場から「どっちもどっちの民族対立」として描くことのまちがいを指摘しなければなりません。
したがって、わたしたちは「中国人が右翼デモを妨害」式の誤報の訂正をできるかぎり訴えていくつもりです。
他方、16日ごろからふたたび盛り上がっている中国での反日デモについては、日本のメディアは、テレビニュースや一般紙からスポーツ紙まで、どれも精力的にとりあげています。これについてまずいえるのは、ほぼすべてのメディアが「反日デモは中国国内不満のはけ口」式のくだらない報道をしていることです。これについてもすでに前記事(歴史編/現状編)で批判してありますが、それにくわえて、ここにも中国人蔑視がふくまれていることは指摘しておきます。「中国人は民度が低い、日本人は抗議デモも整然ととりおこなっていて立派だ」式の、六本木右翼デモ参加者による自画自賛と、日本メディアのこうした報道姿勢とは、はたしていかほどに異なっているといえるのでしょうか。

***
最後にふたこと。
・念のためつけくわえれば、あくまでわたしたちが主張しているのは、中国政府や中国ナショナリズム
の「擁護」ではありません(そのただしい「理解」ではありますが)。中国政府や中国ナショナリズム
にいかなる問題があろうと(あるいはあるからこそ)、日本の中国人への敵意と蔑視を、つまりは
レイシズムと植民地主義をなくす責任が、日本人にはあるということです。また釣魚台/尖閣についても、ことの本質は、領有権がどちらの国民国家にあると正当化されるかということではなく、どの国が先に近代世界における力ずくの領土拡張(帝国主義、植民地主義)をはじめたのかこそが、この件に
かんしてもっとも重要なのです。
by hiroseto2004 | 2010-10-20 19:23 | 事故・災害・事件 | Trackback