「コンクリートから人へ」が「小泉再来」に転落する瀬戸際
2010年 10月 30日
2001年就任した小泉総理は、以下の様なことを叫び、圧倒的な支持を得ました。
「道路特定財源は一般化します」
「保育所の待機児童をゼロに」
「米百俵」
これらのフレーズ、何かと共通しませんか?
そうです。民主党のマニフェストの柱である「コンクリートから人へ」です。
戦後の日本は、とにかく、どんどん工事をやってそれで大手企業の工場をつくって、発展する。そうすれば、地域や個々人も潤ってくる。そういう方向で突き進んできました。日本は、ある種の開発独裁体制であったといえましょう。それはそれで、高度成長期までは一定程度機能していました。
問題は、一定程度、モノの面では需要が満たされて以降、おそらく1980年代以降、方針転換がうまく進まなかったことにある。
本来であれば、企業に任せていた福祉を、国家側で支える方向に変えていかなければならなかった。
教育でも、親が大手企業の正社員以上の待遇であることを前提としたような負担のあり方は変える必要があった。それにより、不安を解消し、人々のサービスへの需要を高めるようにして行けばよかった。
ところが、1980年代に長く総理を務めた中曽根康弘さんは、結局はアメリカへの従属を強めることでこの局面をごまかすことになった。1980年代以降、日本は恒常的に経常収支が黒字になった。内需の不足をアメリカ等への輸出超過で補うことにした。そのかわり、アメリカからの要求をどんどん飲むようになった。
人々の不安は解消されず、格差は拡大し、お金のある人は財布の紐が硬く、お金のない人は使いたくても使えなかった。
そうした矛盾を小泉さんは打破してくれる、と勘違いした人も多かった。
小泉さんが実際にやったことは、米百俵により教育費を増やすどころか、減らす方向のことでした。地方分権の名の下に、義務教育費国庫負担金制度が緩和。それにより、地方は人件費削減に走り、いまや先生の七人に一人が非正規教員となりました。保育所の待機児童も解消されるどころか、いまや阿鼻叫喚の有様です。福田総理、麻生総理、そして民主党政権が尻拭いに追われる有様です。
一方で、トヨタやキヤノンなどの輸出産業への補助金とも揶揄される「為替介入」には、2003年からの二年間で35兆円も投入しました。
このように、小泉さんは完全に国民をだました。
しかし、菅直人政権もいまや、このままでは、小泉さんと同じではないか、という汚名を着る瀬戸際にあります。
我々民主党は、コンクリートから人へ、をキャッチフレーズに総選挙を戦い勝利させて頂いた。「親の境遇で教育機会に差ができてはいけないでしょう」と訴え、支持を頂いた。
わたし自身も、若い仲間と一緒に一生懸命汗を流したのを昨日のことのように覚えています。
ところが、いまや、雲行きが怪しい。文部科学省は、奨学金の貸し付けの条件として、社会貢献活動の義務付けを検討するという。
この問題については、以下のわたしと同年齢の論客・赤木智弘さんのコラムが詳しいのでご参照ください。
【赤木智弘の眼光紙背】国のモラル低下が止まらない
http://news.livedoor.com/article/detail/5098892/
なんということでしょうか?そもそも、貸し付けを奨学金ということ自体が変です。英語でscholarship といえば、お金をくれることです。貸すことは「student loan」くらいの感じでしょう。
その上で、お金を借りなければいけない学生はそもそもお金がない。バイトをしないとやっていけない。その上、社会貢献活動までしろと言われたら、いつ勉強するのか?!
学生の本分はそもそも勉強です。一生懸命勉強してそれを卒業後、社会にお返しするのが仕事です。
だいたい、こんなことをしたら、低所得者の家庭の子どもにだけ社会貢献活動を義務付けることにもなる。
信じられません。むしろ、余裕がある人こそ、「神様に与えられたものをお返しするのが当然」と、進んで社会に貢献するのがあるべき姿です。少なくとも、わたしは、一緒にボランティア活動をさせて頂いている仲間からはそう教わりました。おそらく、キリスト教徒が多い、先進資本主義国の多くでもそういう気風があるでしょう。イスラム教でも金持ちには喜捨の責務がある。
低所得者の家庭の子どもにばかり社会貢献活動をしろ、などという珍妙な国は日本くらいではないでしょうか?そして、それを「コンクリートから人へ」と訴えて政権を取った民主党が進めようとしている。これは、なんとしても阻止せねばなりません。
わたくし、さとうしゅういち自身は正直に申し上げて、コンクリートも無闇やたらに敵視すべきではないとおもいます。どんどん道路を引いたり、インフラを作る時代ではないが、一方で、高度成長期につくった既存のインフラが老朽化してきます。メンテナンス需要はあります。広島県内ならいくらでも災害危険箇所があります。
かつての自民党政権は「コンクリート大&ヒト小」でした。それを、小泉さんが「コンクリート小&ヒト小」にしてしまい、日本を破壊した。小泉さんは、最初は「コンクリート小&ヒト大」にするようなイメージを醸し出しながらです。
麻生さんの時代に「コンクリート中&ヒト中」くらいにした。
そして、民主党は「コンクリート小&ヒト大」にしようと呼びかけ、総選挙で勝った。しかしこのままでは、「コンクリート小&ヒト小」になり、小泉さんの二の舞になりかねません。
きちんと、再分配機能を強化すべきである。それをしないと、いつまでも不毛なことになります。
幸い、政府税調の専門家委員会では、個人所得課税の強化(お金持ちへの課税ベース拡大)などの方向で議論は進んでいます。
ただ、一方で、民主党ご出身の河村たかし市長の「住民税減税」運動がウケている実態もある。また、この機会に「消費税増税、いつのまにか、法人税減税」を狙う勢力(経団連や自民党など)も健在である。
こうした中で「当面は、無利子国債や政府紙幣などによる積極財政、中期的にはお金持ち増税」というところを打ち出せるかどうか。打ち出せなければ、「コンクリートから人へ」へは「小泉政治再来」に転落していくことでしょう。
中曽根政治の総括がない限り、無限ループは続く
http://hiroseto.exblog.jp/13527550/
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「道路特定財源は一般化します」
「保育所の待機児童をゼロに」
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そうです。民主党のマニフェストの柱である「コンクリートから人へ」です。
戦後の日本は、とにかく、どんどん工事をやってそれで大手企業の工場をつくって、発展する。そうすれば、地域や個々人も潤ってくる。そういう方向で突き進んできました。日本は、ある種の開発独裁体制であったといえましょう。それはそれで、高度成長期までは一定程度機能していました。
問題は、一定程度、モノの面では需要が満たされて以降、おそらく1980年代以降、方針転換がうまく進まなかったことにある。
本来であれば、企業に任せていた福祉を、国家側で支える方向に変えていかなければならなかった。
教育でも、親が大手企業の正社員以上の待遇であることを前提としたような負担のあり方は変える必要があった。それにより、不安を解消し、人々のサービスへの需要を高めるようにして行けばよかった。
ところが、1980年代に長く総理を務めた中曽根康弘さんは、結局はアメリカへの従属を強めることでこの局面をごまかすことになった。1980年代以降、日本は恒常的に経常収支が黒字になった。内需の不足をアメリカ等への輸出超過で補うことにした。そのかわり、アメリカからの要求をどんどん飲むようになった。
人々の不安は解消されず、格差は拡大し、お金のある人は財布の紐が硬く、お金のない人は使いたくても使えなかった。
そうした矛盾を小泉さんは打破してくれる、と勘違いした人も多かった。
小泉さんが実際にやったことは、米百俵により教育費を増やすどころか、減らす方向のことでした。地方分権の名の下に、義務教育費国庫負担金制度が緩和。それにより、地方は人件費削減に走り、いまや先生の七人に一人が非正規教員となりました。保育所の待機児童も解消されるどころか、いまや阿鼻叫喚の有様です。福田総理、麻生総理、そして民主党政権が尻拭いに追われる有様です。
一方で、トヨタやキヤノンなどの輸出産業への補助金とも揶揄される「為替介入」には、2003年からの二年間で35兆円も投入しました。
このように、小泉さんは完全に国民をだました。
しかし、菅直人政権もいまや、このままでは、小泉さんと同じではないか、という汚名を着る瀬戸際にあります。
我々民主党は、コンクリートから人へ、をキャッチフレーズに総選挙を戦い勝利させて頂いた。「親の境遇で教育機会に差ができてはいけないでしょう」と訴え、支持を頂いた。
わたし自身も、若い仲間と一緒に一生懸命汗を流したのを昨日のことのように覚えています。
ところが、いまや、雲行きが怪しい。文部科学省は、奨学金の貸し付けの条件として、社会貢献活動の義務付けを検討するという。
この問題については、以下のわたしと同年齢の論客・赤木智弘さんのコラムが詳しいのでご参照ください。
【赤木智弘の眼光紙背】国のモラル低下が止まらない
http://news.livedoor.com/article/detail/5098892/
なんということでしょうか?そもそも、貸し付けを奨学金ということ自体が変です。英語でscholarship といえば、お金をくれることです。貸すことは「student loan」くらいの感じでしょう。
その上で、お金を借りなければいけない学生はそもそもお金がない。バイトをしないとやっていけない。その上、社会貢献活動までしろと言われたら、いつ勉強するのか?!
学生の本分はそもそも勉強です。一生懸命勉強してそれを卒業後、社会にお返しするのが仕事です。
だいたい、こんなことをしたら、低所得者の家庭の子どもにだけ社会貢献活動を義務付けることにもなる。
信じられません。むしろ、余裕がある人こそ、「神様に与えられたものをお返しするのが当然」と、進んで社会に貢献するのがあるべき姿です。少なくとも、わたしは、一緒にボランティア活動をさせて頂いている仲間からはそう教わりました。おそらく、キリスト教徒が多い、先進資本主義国の多くでもそういう気風があるでしょう。イスラム教でも金持ちには喜捨の責務がある。
低所得者の家庭の子どもにばかり社会貢献活動をしろ、などという珍妙な国は日本くらいではないでしょうか?そして、それを「コンクリートから人へ」と訴えて政権を取った民主党が進めようとしている。これは、なんとしても阻止せねばなりません。
わたくし、さとうしゅういち自身は正直に申し上げて、コンクリートも無闇やたらに敵視すべきではないとおもいます。どんどん道路を引いたり、インフラを作る時代ではないが、一方で、高度成長期につくった既存のインフラが老朽化してきます。メンテナンス需要はあります。広島県内ならいくらでも災害危険箇所があります。
かつての自民党政権は「コンクリート大&ヒト小」でした。それを、小泉さんが「コンクリート小&ヒト小」にしてしまい、日本を破壊した。小泉さんは、最初は「コンクリート小&ヒト大」にするようなイメージを醸し出しながらです。
麻生さんの時代に「コンクリート中&ヒト中」くらいにした。
そして、民主党は「コンクリート小&ヒト大」にしようと呼びかけ、総選挙で勝った。しかしこのままでは、「コンクリート小&ヒト小」になり、小泉さんの二の舞になりかねません。
きちんと、再分配機能を強化すべきである。それをしないと、いつまでも不毛なことになります。
幸い、政府税調の専門家委員会では、個人所得課税の強化(お金持ちへの課税ベース拡大)などの方向で議論は進んでいます。
ただ、一方で、民主党ご出身の河村たかし市長の「住民税減税」運動がウケている実態もある。また、この機会に「消費税増税、いつのまにか、法人税減税」を狙う勢力(経団連や自民党など)も健在である。
こうした中で「当面は、無利子国債や政府紙幣などによる積極財政、中期的にはお金持ち増税」というところを打ち出せるかどうか。打ち出せなければ、「コンクリートから人へ」へは「小泉政治再来」に転落していくことでしょう。
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by hiroseto2004
| 2010-10-30 21:42
| 新しい政治をめざして
|
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