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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

検証!政権交代(1)・・・税制改革 (随時更新)

わたくし、さとうしゅういちも、政権交代を実現した2009年総選挙において、民主党の政策について、みなさんにご説明をさせていただいてきました。

政権交代から1年以上が経過しました。

その成果がどうなっているのか?民主党を応援した人間として、検証する責務があると考えています。

第一回目は「税制」としたいと思います。

わたくし、さとうしゅういちが、衆院選当時に書いた政策説明記事を検証する形とさせていただきたいと思います。

検証の視点としては

1、マニフェストの進捗状況

2、そもそも、マニフェストが細部まで現実のニーズと整合していたのかどうか?

3、総合的評価

とします。(随時更新、更新時にツイッターも更新します)


http://www.news.janjan.jp/government/0908/0908259248/1.php






民主党の子育て支援策は低所得者いじめなのか?
配偶者控除は廃止し、マイナス面補う政策の実現をめざすべき
さとうしゅういち2009/08/29
 民主党は、マニフェストにおいて、月2万6千円の子ども手当ての導入・高校無償化などの子育て支援策を打ち出しています。一方で、配偶者控除及び、扶養控除の一部の廃止への理解を国民にお願いしています。

 これに対して、一部の主婦のみなさん(とくに子育てが終了された)や、日本共産党から、「これでは増税ではないか」という批判も受けています。
参照:増税抱き合わせに不安

 また、一部のインターネット上の左翼(多分、日本共産党幹部ではないと思うが)の方々の間には、「子どものいない貧乏人から、子どものいるお金持ちに所得移転するのか?」といった批判もあります。

 本当のところはどうなのでしょうか? とくに「増税」を不安がっておられる専業主婦(家庭)のみなさんにとっても本当に「損」なことばかりなのでしょうか? 検証したいと思います。

8月28日付讀賣新聞朝刊より(撮影・傍線筆者) なお、自民党も「(民主党の子ども手当て)は子どもがいない世帯では必ず増税」という広告を新聞に出しています。子育てしにくい社会を作ってきた自民党がいまさら、野党に対するネガティブキャンペーンを打つのは、見苦しいかぎりです。

 今回は、保守系の方からも政策能力については定評がある日本共産党や、左派の皆さんによる批判を踏まえ、民主党の政策を検証していきたいと思います。

 (もちろん、新聞各紙の世論調査を拝見しても、民主党は専業主婦層からもそれなりに高い支持を得ています。ですのでそれなりに政策に対して理解を得ているとは思います。)

給与所得者では、1000万~1500万で適用率が高い配偶者控除
 以下のブログも参考にさせていただきました。
参照:博多連々

 上記ブログによると、
参照:「民間給与の実態調査結果」(国税庁>統計情報)

 第17表 給与階級別の諸控除(Excelデータより計算)から、以下のことがわかります。

給与階級 配偶者控除適用率

200万円 3.4%
300万円 9.4%
400万円 17.2%
500万円 27.4%
600万円 37.4%
700万円 46.5%
800万円 54.6%
900万円 57.7%
1000万円 61.5%
1500万円 65.0%
2000万円 62.7%

 控除というのは、当たり前ですが、「扶養してくれる人」がいる人にしか役立たないものです。上記を見れば一目瞭然。年収200万円以下の人で配偶者控除を適用している人は3.4%に過ぎません。

 この所得水準の人なら、独身が多いでしょう。結婚していても、夫婦共働きでなければおそらく十分に暮らせない。年収300万以下でも配偶者控除適用率は1割を切っています。

 そして、年収700万以上でようやく過半数の人が配偶者控除を適用しています。一方が専業主婦(主夫)となるには、一般的に言えば、高くないとやっていけないのです。当たり前の結果です。(もちろん、「夫婦とも大手企業正社員」という方も世の中には多くおられますし、それは人それぞれです。)

 また、配偶者控除は所得控除ですから、税率の高い階層(=給料が高い)のほうが減税額が大きいのです。控除額は所得税率5%の層→1.9万円、税率10%の層→3.8万円、税率20%の層→7.6万円、税率40%の層→15.2万円となります。
参照:配偶者控除は低所得層に多いのか?(その3)

 なお、給与所得者以外では所得200万から250万の層で配偶者控除適用率が高いそうです。しかし、「所得200万から250万」のうち、最も多いのは「年金生活者」です。年金生活者で所得が200万-250万だと実際の年金は300万を超えます。そういう人は現役時代はかなりの高給取りのはずです。この人たちを「低所得者層」といえるかは疑問です。

控除から給付・サービスへ・・・民主党政権による「革命」
 民主党の子ども手当てや高校無償化、給付式大学奨学金充実などは、まさに、親が低所得の場合であっても、子ども本人は進路を自由に選べるようにと配慮しているのです。この考え方を「チルドレン・ファースト」といいます。

 今までの日本のセーフティネットは、企業や、業界団体、男性正社員が世帯主の家族などに所属していないと、そこから漏れ落ちてしまうものでした。税控除も、先ほど申し上げたとおり、ある所得が高い人でなければ恩恵は薄いのです。

 ひとたび、たとえば非正規社員になり、さらに失業すればほとんど何の保障もない。そういうことが、昨年末の「派遣切り」問題でようやく世間に認知されたのです。

 さらに、親の境遇によって子どもの教育水準に差が出てしまう「子ども格差」の問題も深刻です。
参照:学力:年収多い世帯の子供ほど高い傾向…文科省委託研究 (毎日新聞)

 それらを解決するには、控除ではなく、必要な手当てやサービスを給付する方法へ変革するしかないのです。このあたりは、共産党もおおむね同意していただけるのではないでしょうか。

子どもがいない主婦に不利なのか?
 たしかに、民主党案では、「中学卒業までの子どもがいない」専業主婦は表面的には負担増です。先ほどの記事の中の日本共産党の試算でも12%が増税だ、としています。

 しかし、そういう方でも、夫が失業したらどうなるでしょうか? 最悪離婚になったらどうなるんですか? 控除なんて何の役にも立ちませんよ。私自身が両親の離婚を見ています。結婚なんて意外とはかないものではないでしょうか? それに寄りかかりすぎたらえらいことになります。

 また、こういうことも言えます。ご自身は既に子育ては終わった。しかし、今度は、子どもさんが、子育て期に入る。そういう方も多いのではないですか?

 さらに現実問題として、子ども(赤ちゃん)にかかる費用を、祖父母である親に頼る人も多いのではないでしょうか? しかし、親に頼れる人は子どもを育てられるが、そうでない人はだめ、ということは不公平ではないでしょうか?

 そういう意味からも、子ども手当ては悪くはない。そして、自分の子どもには子ども手当てが支給されることで、「おばあちゃんとしての負担」が軽減される年配専業主婦も多いのではないでしょうか? ご自分だけでなく、お子さんなど、視野を少し広げていただければ、決して「専業主婦に厳しい」案ではないと思います。

女性自身の首を絞めた配偶者控除・第3号被保険者制度
 さらに、シビアな事を申し上げたい。そもそも、配偶者控除なり、年金の第3号被保険者制度は労働市場の破壊をもたらしたと思います。

 すなわち、これらの制度のおかげで、103万円未満ないし130万円未満で働く女性が特に1985年以降増えました。それ以上働いても税金を取られるだけ、夫の年金制度に頼れなくなるだけということで、正当な賃金を要求するモチベーションが低下します。

 今でも、「一人で食わないといけない労働者」が、職場で賃上げを要求しても、103万円未満で働きたい主婦パートに白い目で見られるという事件が、労働争議の現場で少なからず起きています。

 彼女らの受け皿になったのが、「労働者派遣法」です。その結果、労働市場の値崩れがおきました。当たり前です。異常な安値で働きたい人がいれば、いずれその影響が結局は男性を含めた全労働者に広がることは当然だったのです。

 そういう事を考えれば、「労働者の味方」で「男女不平等の是正」の先頭に立ってこられた日本共産党が、配偶者控除廃止に反対するのはいかがなものか、と思います。少なくとも私も、私にとって労働運動の女性の師匠に当たる方も当然、配偶者控除廃止の立場です。

 親しい日本共産党員の女性は、私に対してよく「民主党を離党しなさい」と言うのですが、「配偶者控除なんて廃止して、女性もきちんと得るべき給料は得て、払うべき税金は払えば良いじゃないか」と単純明快です。

「社会参加」としての納税
 増税に何でも反対するのもいかがなものか? むしろ「税金を払う」ことで社会に参加するという方向で行くべきではないでしょうか?

 もちろん、日本共産党や、共産党シンパの左翼の皆さんの間に広がる、「政府への不信感」も理解します。

 自民党政府が消費税を増税する際『福祉を充実させる』と口先では言いながら、結局お金持ち減税に充当してしまったことへの不信感が強いのはわかります。民主党も同じ事をするのではないか、という警戒感がどこかにあってもおかしくはないし、そのことを過剰に責めるつもりはありません。

 しかし、「労働市場破壊」という弊害にもかかわらず、「配偶者控除存続」に拘泥することは感心しません。

配偶者控除は廃止し、マイナス面補う施策を
 なお、介護や育児などのシャドーワークを何らかの形で評価すべき、という考えに私は賛成です。しかし、繰り返し申し上げるように、「控除」では、低所得者家庭では十分シャドーワークに報いることができません。

 むしろ、私はとくに、配偶者控除廃止で被害を受ける低所得者家庭(数は少ないが、被害は大きいと思われるので)を意識しながら、なんらかの手当てをするべきだと思います。そういう方向で、日本共産党が課題提起をしていただけると議論が生産的になります。

 ちなみに、アメリカの緑の党は、政府紙幣による一人10万円のベーシックインカムを公約にしているそうです。私も、こうした提案に賛成です。万が一、離婚せざるを得なくなったときでも、経済的に自立できるようにすべきです。

 新党日本が実は、「ベーシックインカム」を主張しています。こうしたものも参考にしながら、政治家も国民も、「自公退場後」の税制や社会保障、雇用を巡る論戦を盛り上げるべきです。

 日本共産党には高校無償化などの施策にはご協力いただけるということで大歓迎です。というより、そもそも、ここ数年は、民主党がかなり共産党の政策を模倣した面があります。

 ですが、配偶者控除の廃止については、ご理解いただいたうえで、是非それを補う施策を提案いただいたほうが「時代を前に進める」ことになると思います。

与党・民主党VS野党・共産党で建設的論戦を
 「社会全体で子育てを支えるというのは、子育ての土台をつくる総合的な支援をすることです。
▽長時間労働の是正
▽安定した雇用と賃金の保障など働くルールの確立
▽安心して預けられる保育所の拡充
▽競争と選別の教育をやめる」
 という共産党の主張には、反対の余地はありません。

 さらに、税制改革については、お金持ちへの課税強化や大手企業優遇の廃止などにより、低所得者には優しくする(生計費非課税)方向への改革から手をつけるべきです。この点では、私も民主党よりは、共産党ないし国民新党(累進課税強化を主張)のほうがましだと思います。

 しかし、それと配偶者控除の問題は別です。「配偶者控除廃止」と「低所得者への所得保障」や「累進課税強化」「大手企業優遇税制廃止・整理」を同時に実施しても不都合はないと思います。

 自民党・公明党は今の貧困問題の「A級戦犯」です。とくに自民党は、与党であること自体が存在意義だった面もあり、まともに野党として機能するかどうかも怪しい。

 やはり、国会の論戦の軸の一つは間違いなく「民共対決」になってくると思います。総選挙後の建設的な論戦を楽しみにしています。それまでに、共産党側も、配偶者控除廃止を否定するのではなく、それを補う施策の提案に是非力を注いでいただきたい。「建設的野党」の活躍を楽しみにしています。


中途半端なことより、ベーシックインカムまで突き進んだほうがわかりやすい!
by hiroseto2004 | 2010-11-07 21:58 | 経済・財政・金融 | Trackback