日本も民主党も、「成功体験」が変革を妨げ、焦りを招く
2010年 11月 30日
民主党は福岡市長選挙で現職を推薦してKO負け。
和歌山県知事選挙では、失神KO負け。
一方、参院選沖縄県選挙区、沖縄県知事選挙では不戦敗を喫しました。
今の、民主党は、一言で言いあらわすと、残念ながら、「成功体験が変革を妨げ、焦りを招いている」いえましょう。
日本全体をみると、やはり、高度成長期からバブルくらいまでの成功体験が邪魔をしている傾向があります。
たしかに、高度成長期には、「まあまあ頑張りさえすれば、それなりに幸せに家庭が築ける」というイメージがあった。当時は慢性的な供給力不足だったわけです。だから、頑張りさえすればよかった。国全体でも、官僚や政治家が業界を保護し、企業が世帯主を保護する。自治体も道路と工業団地さえつくっておけば、まあまあ潤う。そういう時代が確かにあったのです。
しかし、それは、1980年代にはだんだん通用しなくなっていった。そこで、中曽根政権以降は、アメリカへの輸出に頼る体制を築いた。バブル崩壊後には、労働力を使い捨てることで、企業が儲かる方向へと向かった。小泉政権でそれは頂点に達した。しかし、それは、2008年の世界経済危機で吹っ飛んだ。
だから、「国民の生活が第一」という民主党が、2009年総選挙で自民党を打倒したわけです。
しかし、まだまだ、年配のエライ人の中には、自分達の若い頃と比較して「近頃の若いやつは」と若者をこき下ろす人もおられる。また、若者は、自分達の親の世代から刷り込まれた価値観と、現在の経済状況、社会状況のはざまで、苦しむことになっています。「こんなはずではない」という思いがある方も多いでしょう。例えば自分達の母親だと専業主婦も多いが、今の社会経済状況では、難しい。そのあたりのギャップで、非婚化も進むというわけです。
一方、民主党も過去の成功体験を引きずっていないか?
民主党は、2005年総選挙を除けば、一貫して議席を増やしてきました。しかし、それは、民主党が素晴らしかったからではないと思います。
第一に、今までの体制を形作ってきた主な勢力である自民党が、人々から見放されて行ったからです。小泉さんも、結局は、一時的なカンフル剤にすぎなかった。
第二に、いままで社民党や共産党を支持してきた人も「ここはそうはいっても政権交代のために民主党」と思い詰め、民主党に流れたからです。小選挙区制度がこれを加速した。
これらの条件により、民主党は、連合に加えて無党派層、旧左翼支持層も加えて、自民党を凌駕するに至ったのです。
ところが、政権が交代したあとは、これらの条件は吹っ飛びます。
まず、地方選挙レベルでいえば、たしかに、自民党による締め付けはなくなった。だがそれで民主党が強くなるかといえばそうではない。
さらに「何としても、政権交代のために民主党」という層の熱気も冷めます。
しかし、熱気があった時代の感覚のまま、選挙に臨めば「KO負け」も当たり前です。
また、民主党が実際に実施する政策も理念としてはよくても、実施される段になると、自民党政治=高度成長期の成功体験を引きずった政治の色彩が強くなっていた。
高校無償化は結構だが、それで一番恩恵を受けるのは、自民党政治、高度成長期でもそれなりに恩恵を受けていた中間層以上だったりします。本当に困っている人には既に授業料は免除されていたのですから。
エネルギー政策に至っては、自然エネルギーの固定価格での全量買取はされず、むしろ原発を海外に売りまくるという方向に進んでいる。そもそも、日本は貿易黒字国なのに、これ以上、黒字を増やしても、円高が進むだけになりかねない。1980年代までのやり方で成長させようというのが間違っているのです。企業団体献金禁止、取り調べ全面可視化も進まない。基地問題では沖縄県民の期待を裏切った。
こうした中で、民主党への期待がしぼむのはやむを得ない。
しかし、そうした中で、今度は「中央とのパイプ」を地方選挙で強調してしまったりする事例が見られます。それは、自民党時代に、例えば岩国市長選挙で福田良彦さんの陣営が使ったのと同じ手法です。何のために政権交代したかわからなくなる有権者もおられるでしょう。
時代の変化を読めずに焦る。
焦りのあまり、権威主義的な態度を取る。
それが傷を深める。
その悪循環に日本(の特にエライ人たち)も民主党も入っている。
沖縄県では、民主党は、参院選候補も知事候補も擁立できない状態まで悪化してしまった。
とにかく、まず過去の成功体験は脇においておくこと。そして、現状の課題は何なのか?
感情はさておき、冷静に考えること。民主党も、日本国民も取り組まねばならないのではないでしょうか?
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和歌山県知事選挙では、失神KO負け。
一方、参院選沖縄県選挙区、沖縄県知事選挙では不戦敗を喫しました。
今の、民主党は、一言で言いあらわすと、残念ながら、「成功体験が変革を妨げ、焦りを招いている」いえましょう。
日本全体をみると、やはり、高度成長期からバブルくらいまでの成功体験が邪魔をしている傾向があります。
たしかに、高度成長期には、「まあまあ頑張りさえすれば、それなりに幸せに家庭が築ける」というイメージがあった。当時は慢性的な供給力不足だったわけです。だから、頑張りさえすればよかった。国全体でも、官僚や政治家が業界を保護し、企業が世帯主を保護する。自治体も道路と工業団地さえつくっておけば、まあまあ潤う。そういう時代が確かにあったのです。
しかし、それは、1980年代にはだんだん通用しなくなっていった。そこで、中曽根政権以降は、アメリカへの輸出に頼る体制を築いた。バブル崩壊後には、労働力を使い捨てることで、企業が儲かる方向へと向かった。小泉政権でそれは頂点に達した。しかし、それは、2008年の世界経済危機で吹っ飛んだ。
だから、「国民の生活が第一」という民主党が、2009年総選挙で自民党を打倒したわけです。
しかし、まだまだ、年配のエライ人の中には、自分達の若い頃と比較して「近頃の若いやつは」と若者をこき下ろす人もおられる。また、若者は、自分達の親の世代から刷り込まれた価値観と、現在の経済状況、社会状況のはざまで、苦しむことになっています。「こんなはずではない」という思いがある方も多いでしょう。例えば自分達の母親だと専業主婦も多いが、今の社会経済状況では、難しい。そのあたりのギャップで、非婚化も進むというわけです。
一方、民主党も過去の成功体験を引きずっていないか?
民主党は、2005年総選挙を除けば、一貫して議席を増やしてきました。しかし、それは、民主党が素晴らしかったからではないと思います。
第一に、今までの体制を形作ってきた主な勢力である自民党が、人々から見放されて行ったからです。小泉さんも、結局は、一時的なカンフル剤にすぎなかった。
第二に、いままで社民党や共産党を支持してきた人も「ここはそうはいっても政権交代のために民主党」と思い詰め、民主党に流れたからです。小選挙区制度がこれを加速した。
これらの条件により、民主党は、連合に加えて無党派層、旧左翼支持層も加えて、自民党を凌駕するに至ったのです。
ところが、政権が交代したあとは、これらの条件は吹っ飛びます。
まず、地方選挙レベルでいえば、たしかに、自民党による締め付けはなくなった。だがそれで民主党が強くなるかといえばそうではない。
さらに「何としても、政権交代のために民主党」という層の熱気も冷めます。
しかし、熱気があった時代の感覚のまま、選挙に臨めば「KO負け」も当たり前です。
また、民主党が実際に実施する政策も理念としてはよくても、実施される段になると、自民党政治=高度成長期の成功体験を引きずった政治の色彩が強くなっていた。
高校無償化は結構だが、それで一番恩恵を受けるのは、自民党政治、高度成長期でもそれなりに恩恵を受けていた中間層以上だったりします。本当に困っている人には既に授業料は免除されていたのですから。
エネルギー政策に至っては、自然エネルギーの固定価格での全量買取はされず、むしろ原発を海外に売りまくるという方向に進んでいる。そもそも、日本は貿易黒字国なのに、これ以上、黒字を増やしても、円高が進むだけになりかねない。1980年代までのやり方で成長させようというのが間違っているのです。企業団体献金禁止、取り調べ全面可視化も進まない。基地問題では沖縄県民の期待を裏切った。
こうした中で、民主党への期待がしぼむのはやむを得ない。
しかし、そうした中で、今度は「中央とのパイプ」を地方選挙で強調してしまったりする事例が見られます。それは、自民党時代に、例えば岩国市長選挙で福田良彦さんの陣営が使ったのと同じ手法です。何のために政権交代したかわからなくなる有権者もおられるでしょう。
時代の変化を読めずに焦る。
焦りのあまり、権威主義的な態度を取る。
それが傷を深める。
その悪循環に日本(の特にエライ人たち)も民主党も入っている。
沖縄県では、民主党は、参院選候補も知事候補も擁立できない状態まで悪化してしまった。
とにかく、まず過去の成功体験は脇においておくこと。そして、現状の課題は何なのか?
感情はさておき、冷静に考えること。民主党も、日本国民も取り組まねばならないのではないでしょうか?
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Tracked
from 広島瀬戸内新聞ニュース(..
at 2010-11-30 22:18
タイトル : どういう政治家にこそ敬意を払うべきか?
日本も民主党も、「成功体験」が変革を妨げ、焦りを招く 日本は高度成長期からバブルにかけて経済的に、極めて成功したように見えました。その残像が、年配の一定以上の地位の人には特に強烈に残っていると思います。 だが、なまじ、その成功体験が強すぎるために、その時代と同じような仕組みでなんとかなるだろう、という意識が特に年配のエライ人(政治家、官僚、財界人など)には強くあるように思われます。 そして、彼等は、ここまで貧困が広がっても、依然、貧困なのはその人の自己責任、という理屈で逃げ切ろうとし...... more
日本も民主党も、「成功体験」が変革を妨げ、焦りを招く 日本は高度成長期からバブルにかけて経済的に、極めて成功したように見えました。その残像が、年配の一定以上の地位の人には特に強烈に残っていると思います。 だが、なまじ、その成功体験が強すぎるために、その時代と同じような仕組みでなんとかなるだろう、という意識が特に年配のエライ人(政治家、官僚、財界人など)には強くあるように思われます。 そして、彼等は、ここまで貧困が広がっても、依然、貧困なのはその人の自己責任、という理屈で逃げ切ろうとし...... more
by hiroseto2004
| 2010-11-30 08:10
| 新しい政治をめざして
|
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