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by hiroseto2004
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「児童ポルノ禁止法」一部改正法案  民主党と自公の違い【京野公子さんブログより】

http://yaplog.jp/galinaisno1/archive/1485

自民党公明党から提出されていた「児童ポルノ禁止法」一部改正法案に対し、民主党案が決まり、昨日の法務委員会で両案の趣旨説明が行われた。
両案の概要、主として、違いについて簡単に述べたい。

自公案
○児童ポルノの単純所持に関し、禁止規定を設けるが、単純所持だけでは、罰則の対象にはしない。
(この項は、学術研究、文化芸術活動等の目的で、所持取得した場合を配慮しているものと思われる。)
ただし、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した場合については、単純所持を処罰の対象にする。
○インターネット事業者(プロバイダー)に対し、捜査機関への協力、情報送信防止措置等、インターネットを利用した児童ポルノの所持や提供等の防止についての措置を講ずるよう努力義務を課す。
○児童ポルノに関する漫画、アニメ、CGなど、いわゆる非実在児童と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を行なう事を検討規定とする。施行後、3年を目途に検討結果に基づいて必要な措置を取る。(3年経過後は、漫画、アニメ、CGなど非実在児童についても、禁止の対象になる可能性がある)
○公布の日から起算して20日を経過した日から施行(ただし、処罰規定は施行の日から1年間は適用しない)

民主党案
○児童ポルノの定義から、もっぱら医学その他の学術研究の用に供するものを除外。
ことさらに、児童の性的な部位が露出・強調されているもの等の要件を付加し、定義を明確化、処罰対象を真に可罰的なものに改正。
○学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、と書き込む事により、法の目的から逸脱した、法の濫用を防ぐ。
○単純所持の禁止規定はない。
有償かつ反復して取得した者に対する処罰規定を明記
○盗撮等の場合についても処罰範囲を拡大
公布の日から起算して20日を経過した日から施行(施行前に取得した者については罰しないが、施行日以降、ただちに処罰の対象にする)

両案とも、被害児童に関する制度の充実・強化を求める点については、共通。
民主党案は、保護措置を講ずる主体は、厚労省、法務省、都道府県、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所と例示明記、自公案は、民主党案に、さらに市町村を付記。

単純所持や児童ポルノ画像のダウンロード履歴で処罰の対象になる国もあるので、日本の場合もそうした厳格な規定の導入も検討する余地があるとは思うが、厳罰主義の国々では、取り調べに弁護士の立ち会いが認められていたり、取り調べの全面可視化や全過程の録音が義務付けられていたり、拘留の制限が厳格で、日本の人質司法のように、罪状を否認すると、いつまでも拘留し続ける事が出来るなどというとんでもない事は許されていなかったり、起訴手続きを、警察や検察の思いのままに進めることに対し、歯止めがかかっていたり、と司法の在り方が大きく違う、というか、国民主権の立場に立った制度になっている場合が多いため、現状の日本の後進的な司法の在り方のままで、単純所持を処罰の対象にすると、非常に怖ろしい事態が予見されるため、わたしも、単純所持の処罰には賛成できない。

また、自公案の問題点としては、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した場合に処罰の対象になる、という規定がある。
自己の性的好奇心を満たす目的、と法律に書き込む事は、法の一般的な概念を超えて、通俗道徳が法律に入り込む事になりはしないか。
自己の性的好奇心を満たす目的かどうか、誰が、人の性的嗜好まで判断するのか、という問題がある。

確かオランダだったと思うが、憲法に、人は性的嗜好によって差別されない、という条項を憲法改正によって付加した国がある。
性的嗜好自体が処罰の対象になる、という事は、あるべき法の形ではないと思う。

私自身、児童ポルノを制作するために、性的搾取や被害を受けるこどもたちの事を思うと、胸をかきむしられるようで、ポルノを製造する人間を一人残らず捕まえて、生涯にわたって島流しにでもしたいほど、憎い気持になる。
児童ポルノ製造は許し難い犯罪である。

一方、児童ポルノの愛好者や児童性愛者に対しては、非常に心情的な葛藤を抱く。
恐らく、そうした性的嗜好は、病的なものであり、そうした嗜好をもつことが即ち犯罪ではないし、刑罰によって嗜好を治す事は出来ないのではないかと思う。
治療、または、保護観察の対象として、注意深く、社会の病の一つとして取り扱う事ではないか。
嗜好を治癒する事は出来なくとも、犯罪行為を犯させない、もしくは可能な限り防止することは、社会的義務でもある。



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by hiroseto2004 | 2011-08-16 21:17 | ジェンダー・人権 | Trackback