教育条例=アメリカですでに破綻したのとそっくりと批判され、逆上する橋下市長
2012年 02月 20日
橋下市長が、怒り心頭のようです。
しかし、そもそも、どうしようもない教育条例を提出しておいて、「対案を出せ」ですから、呆れた理屈です。
わざわざ現状を変えることについて、メリットとデメリット、きちんと出してもらわないといけませんよね。
大阪教育基本条例はアメリカで破たんした落ちこぼれゼロ法とそっくりと指摘した報道番組VOICEに逆上する橋下氏
橋下氏がいたくご立腹のご様子です。彼のツイートから。
朝からMBSに怒り心頭だよ(笑)昨日のVOICEをチェックした。大阪教育改革を取り上げていたから。メディアは批判することが仕事だから批判は良いんだけど、今回は度を越している。これはメディアとして良いのかね。大阪の基本条例をアメリカの教育専門家に見せてコメント求めた
またですか。「メディアは批判することが仕事だから批判は良いんだけど」というのはこの人にとっては意味のない枕詞に過ぎないみたい、今回も「怒り心頭」です。この人、批判されて感情をむき出しにしなかったことってありましたっけ?
では、橋下氏が怒り心頭に達したという報道番組が本当に「度を越している」かどうかを見てみましょう。動画は削除されるかも知れませんのでお早めにご試聴ください。
◆2.16VOICE「米国流教育改革の落とし穴」
◆2.17VOICE「競争の果て...NY教育改革の実情」
落ちこぼれ法案と教育基本条例の酷似は以前から指摘されていましたが、こうしてテレビで大きくとりあげられたのははじめてでしょうか?
報道内容は、大阪教育基本条例はアメリカのの落ちこぼれゼロ法、さらにはその前のサッチャー教育改革に酷似していること、アメリカの教育が落ちこぼれゼロ法でどうなったか、そしてイギリスではこの教育改革は失敗だったと認められ、既に多くの地域で国の学力テストをやめていること、アメリカでも失敗だったと認識され始め、徐々に軌道修正が始まっていること、などです。
番組では、アメリカの落ちこぼれゼロ法制定に携わり、現在ではあの法律は間違いだったという教育学者に去年10月の教育基本条例案を見せました(ちなみに見せる時点で教師の相対評価は絶対評価に変わるかも知れないことを告げています)
彼女は条例の半分近くが教員の懲戒や免職に規定で占められていることに驚いていました。
�学力テストを実施、結果を公表し学校どうしを競争させる
�教員の評価を厳しくし、校長の命令に背いた場合免職もあり得る(日本なら君が代がネック)
と言う教育基本条例の特徴は、落ちこぼれゼロ法と共通している。
落ちこぼれゼロ法下でのやり方、情報を集め教師を処罰するという懲罰的態度、成績があがらずダメ学校の烙印を押されたら閉校、こういうやり方では成功しない、と彼女は断言します。
「大阪は同じ轍を踏むことになるだろう。せっかく教育改革する機会があるのなら私たちが歩いてきた10年間を繰り返して欲しくない」
ダメ学校の烙印を押され閉校される学校は低所得者層の地域に多く、そういう地域の子ども達は行き場を失っていきます。低所得者層の子どもは子どもの頃から切り捨てられます。
(橋下氏はバイトして通学費稼いで遠くへ通えって言ってましたね)
そうして行き場のなくなった子ども達を集め、市や州の方針に背いても教育を施す学校の教師はいいます。
「アメリカは失敗したんです。それを日本が繰り返すのは悲しい」
アメリカも落ちこぼれゼロ法の失敗を認め徐々に軌道修正が始まりました。
維新の怪はイギリスのサッチャー教育改革を参考にして作ったと述べています。
しかし、サッチャー教育改革も失敗だったと国内で評価され、多くの自治体が国の学力テストをやめています。なのに大阪は学力テストで生徒や教員を熾烈な競争に追いやる同じ間違いをおかそうと急いでいます。
以上のような報道内容に対し一体橋下氏は何を怒っているのか、彼のツイッターでの「反論」を見てみましょう。
アメリカの教育学者は大阪の教育基本条例に反対の意見を求めて、アメリカの教育改革の失敗と同じ道を歩むと。でもね、この教育基本条例は昨年10月のもの。僕らは大きく問題提起して、ダブル選挙も踏まえ、さらに教育員会と徹底議論して先日骨子はまとめた。当初のものとだいぶ変わっている。
posted at 07:49:20
ところがMBSは昨年に取材したものをボツにしたくなかったのであろう、昨年の教育基本条例案についてのアメリカ教育学者のコメントを大々的に流した。このコメントにどんな意味があるのか?現在の条例についてのコメントなら分かる。これはメディアの正当な批判を越えているだろう。
posted at 07:51:23
そして改革に批判的な論調でまとめているが、まあそれは良い。しかし、そうであれば、改革前はどうだったのか?改革によって良い部分はなかったのか?改革を否定するなら、改革前の現状維持で良かったのか。この検証が全くない。改革だけを取り上げて、その影の部分をことさら強調する。
posted at 07:53:01
それもメディアの特性なら良い。しかし、メリット・デメリットをきちんと伝えろ!と言うのはメディアの常套文句じゃないか。ワシントンの教育改革の功罪をしっかり伝えるのがメディアの責任だろう。改革を否定するのであれば、現状維持で良かったのか。改革には必ず功罪がある。
posted at 07:54:49
しかし何もやらなくても良いなんてことはない。改革を否定する人は現状についてどう変えるのかの対案がない。改革をやればもちろん影の部分が出る。そうであれば、その影の部分をさらに改革する。こうやって、世は良くなる。改革に影があるから、全てやるな!では、世は何も変わらない。
橋下氏は『アメリカで見せた案は去年の10月のもので現在は変更されている。現在の案に対するコメントならわかるが古い案に対するコメントに意味はあるのか』と反論しています。
彼の反論は、現在の案が去年の10月の案に比べて懲戒免職規定も大幅に減り、熾烈な競争はしないように修正されているなら成り立ちます。果たして条例案はそのように修正されたのでしょうか?
答えはNOです。
懲罰規定、熾烈な競争を煽る仕組みに何ら変化はありません。
つまり、去年の10月の案に対する教育学者の批判は現在の案にもそのまま当てはまるのです。
橋下氏は、「今度は度を越している」「これはメディアの正当な批判を越えているだろう。」などと大仰なツイートしていますが、思いっきりストライクじゃないですか。
これが正当な批判じゃなかったら、正当な批判って何なんです?彼にとって自分に対する批判は全て「正当な批判」ではないのかもしれません。
もし橋下氏がこの報道に反論したいのならば、昨年10月案のどこをどう修正し、現在の案は昨年のとどのように違うかを具体的に示した上で、去年の案に対する批判が当てはまらないことを具体的に示すべきです。そうでなければ何の説得力もありません。しかし彼はそういう具体的な内容には決して触れないのです
「具体的な内容に触れず、抽象論のイメージだけでぐいぐい押してくる」というのは彼のロジックの特徴ですから覚えておきましょう。
それから、「メディアの正当な批判を超えている」などという過激な言葉使いは、公権力がメディアに対し強圧的な態度に出ていると感じられる表現の仕方です。報道を萎縮させるような言葉の安易な使用は権力者なら慎むべきでしょう、不適切です。
次に彼はこう批判しています。
『改革前はどうだったのか?改革によって良い部分はなかったのか?改革を否定するなら、改革前の現状維持で良かったのか。この検証が全くない。改革だけを取り上げて、その影の部分をことさら強調する。
何もやらなくても良いなんてことはない。改革を否定する人は現状についてどう変えるのかの対案がない。改革をやればもちろん影の部分が出る。改革に影があるから、全てやるな!では、世は何も変わらない』
所謂「対案を出せ」バージョンですね
これに対しては観測霊さんのこのコメントで十分でしょう。
市長の政策を批判する人たちは「デメリットがある」と言っているのではなくて、「デメリットがでかすぎる」と言っているわけでして(当然その際の結論としては”現状維持の方がマシ”となります)、であるならそのデメリットを上回るメリットが提示できない時点で、政策のプレゼンテーションとしてだけ見てもいかがなものかと思います。
ちなみにこのTogetterについたブックマークで、個人的に秀逸だと思った(というかバカ受けしてしまった)のがこちら↓
(引用ここから)
agricola 八甲田山死の彷徨
A「冬山で濃霧に遭遇、視界はゼロだが俺はあっちに行く!!」B「周囲が見えないのに動き回るのは下策。ここから動かずに霧が晴れるのを待つべきでは?」A「反対するなら下山できる正しい方角を示せよ!!」的な何か。 2012/02/12 23
(引用ここまで)
悲惨なのは、この場合Aが暴走して遭難する場合、強制的にBも巻き添えになる、と言う点でしょうか。更に言えば、Aはいつの間にかいなくなってる(もしくは自分だけヘリで脱出)可能性も大、なわけですが。
あと、村野瀬玲奈さんのこちらのエントリーが詳しいです。
・「対案を出せ」論法の問題点
・「対案を出せ」論法の問題点(2)
・「対案を出せ」論法の問題点(3)
要するに、特に改革の必要性にせまられていないのに現状を悪くするような案を出してきたら、「そんなものはいらない。元に戻せ、引っ込めろ」で十分なのです。対案など出す必要はありません、だってすべきことは粗悪な案をだしてきた側が「原状回復」することなのですから。
こちらの要求が「原状回復」で十分なときに「対案を出せ」のパターンはいい加減やめましょう。
また、橋下氏は『メリット・デメリットをきちんと伝えろ!と言うのはメディアの常套文句じゃないか。ワシントンの教育改革の功罪をしっかり伝えるのがメディアの責任だろう』と言っています。
橋下氏はこの落ちこぼれ法案にメリットがデメリットと同じ分量かそれ以上あったとでも思っているのでしょうか?たくさんメリットがあったのにことさら取り上げなかった、と?
だとしたら橋下氏が好きな「現実を知らない。現場を知らない」という得意のフレーズをそのままお返しします。
落ちこぼれ法案によってアメリカの教育界がどうなったのかの現実を知らなさすぎます。
落ちこぼれゼロ法は「ブッシュ政権にとって」ならメリットはあったでしょう、しかし肝心の「子ども達にとって」のメリットはほとんど無く、デメリットの方が遙かに多かったのが現実なのです。
それでも番組では落ちこぼれ法で良かった点について述べた保護者の声をなんとか拾って「両論」を伝えているではありませんか。
ほんのわずかな功を針小棒大に水増しして報道しなければ満足しないのですか?
しかしそれでは「事実を歪曲した報道」になってしまいますね。
それに、「メリット・デメリットをきちんと伝えろ!」はそのまま橋下氏にお返ししたいと思います。
メリットばかり強調してデメリットを指摘しないのは橋下氏の方でしょう。
教育基本条例のデメリットは言いましたか?全然言ってないでしょう?
それに、学区制の撤廃でも橋下氏はメリットしか言わず、デメリットには決して言及しません。全ての子供が学区制廃止のメリットを享受できるわけではなくデメリットしか被らない子供もいることに決して触れないのです。
デメリットを指摘しようとした教育委員会に対して、一切取り合わず罵倒するだけという態度を取ったではありませんか。
それでよく人には「メリット・デメリットをきちんと伝えろ!」と要求できるものだと思います。
VOICEの大阪教育基本条例への批判は至極まっとうなものです。
橋下氏は「改革」といえば何でも肯定評価されると思っているかも知れませんが、それが本当に改革の名に値するのか、実は改悪ではないのかということを、検討するためにも、この報道のようなアプローチは絶対に必要なのです。
このような批判を冷静に受け止め真摯に耳を傾けることができずに反射的に「怒り心頭」になるようでは、政治家として大変問題があります。これは、自分に対する一切のどんな批判も許さないことを示しています。
世間ではそれを「独裁」と呼ぶのです。
橋下氏が知事に当選したとき、なんといったか、その動画をもう一度貼っておきましょう。
この言葉、きちんと実行に移したらどうですか。
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| 2012-02-20 06:28
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