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県政にガツンとモノ申し、何があっても心配しないで良い広島を


by hiroseto2004

デートDV殺人事件の舞台西海市 女性議員ゼロ

女性ゼロ議会訪問記:長崎県西海市

女性ゼロ議会、長崎県西海市を訪問した勝又みずえさんから、報告が届いた。勝又さんは、園芸農業をしながら、全国フェミニスト議員連盟会員として男女平等運動にかかわる。

■DVストーカー殺人事件に全くふれなかった西海市議会

3月6日(火)、長崎県西海市を訪問し、女性議員が誰もいない議会の傍聴席に座った。日本中を震撼させた西海市DVストーカー殺人事件があったのは、昨年12月。その年度末の重要な3月議会だ。市民の代表者たちは、活発な質疑をするだろう…。この私の淡い期待は、見事に打ち砕かれた。誰一人質問する議員はいなかったのである。

この長崎県、全21自治体のうち7自治体に、女性議員がだれもいない。市だけ見ると市議会の30%以上に女性がだれもいない(13市中4市)。これは、全国ワースト2。その1市が私の訪問した西海市である。

西海市は、長崎駅前から、バスで約1時間半。議員定数20人、今回一般質問者は13人。行政側代表計21人に女性は3人いた。

西海市ならではの質問は、イノシシ対策問題だとか。岩本利雄議員はこの問題に終始し、「過去8回も質問してきたが、いまだに埒が明かない」と言った。

他の議員は、少子・高齢化による人口減少から発生する問題が目立った。幼児、子供、若者がいない。消防団員が少なく、消防団活動が厳しい。人口減による、幼稚園保育所、学校の統廃合、生活路線の赤字。さらに財政再建には職員をもっと削減しなくては。企業誘致に成功しても、稼動まで若者がここにいてくれるだろうか。重苦しさに満ちた西海市であった。

傍聴席は、出入りがあったものの、女性が私含めて2人、男性8人。その女性に、この市議会に女性が座る可能性はあるのかと聞くと「可能性はまったくありません」。余りにも悲しい答えであった。

西海市男女共同参画担当に向かった。平成19年9月、なかなか良い市民意識調査をしていたことを知り、男女共同参画を推進の方策があるかもしれないと思ったからである。

男性職員に「男女共同参画担当はどこですか?」と尋ねた。「?」と返事がない。「安全安心課では」とお客の私が言ったら、「そうだ、そうだ」という感じであった。そう、西海市の男女共同参画は、総務部の安全安心課に所属する。

担当女性は、西海市の男女共同参画行政という重責を担うには余りに若すぎ、追及する気にはなれなかった。

男女共同参画がはいっている安全安心課の最も重要な仕事は西海市国民保護。これは武力攻撃事態、大規模テロからの非難・救援に加え、消防・防災まで担当する。限られた職員・予算で…。その片隅に男女共同参画推進行政がある。果たして、大仕事の合間にできるのか。いや、男女共同参画の仕事などない(ほとんど何もしなくてよい)と踏んだため、やどかりしただけのような気がする。

西海市DVストーカー殺人事件について、直近の市議会で、まったく話題にすらならなかった、その私の謎に対する回答を、ここに見ることができた。

(P.S. 全国フェミニスト議員連盟「ゼロ撲」キャンペーンで作成したアンケートは、行政側に依頼してきた。返信を期待しながら待つことにする)

===参考=====

■1人でもできる「なくせ女性議員ゼロ議会」運動
http://frihet.exblog.jp/17216865/

■DV・ストーカー殺人事件とは:
千葉県在住の20代の三女が、同居人の筒井郷太容疑者から暴力をふるわれた。父親の山下さんは警察に相談し筒井容疑者が三女に近づかないようにしようとした。ストーカー行為は執拗に続いた。家族は、千葉、三重、長崎の3県の警察署に繰り返し助けを求めた。必死に訴えたが、警察の対応はにぶかった。そして、最悪の事態となり、長崎県西海市の実家が襲われ母親と祖母が殺された。

◆毎日新聞より「長崎ストーカー殺人事件の経緯」◆
【2月】
下旬 筒井容疑者と三女が交際を始める
【9月】
中旬 筒井容疑者が三女に暴力、10月にも(後に被害届)
   三女はマンションで事実上の監禁状態に
【10月】
29日 誠さんが長崎、千葉両県警に相談
30日 三女の部屋に三女の親族、同僚と習志野署員2人が突入。署員が筒井容疑者を任意同行し「二度と近づかない」との誓約書を書かせて帰す。三女宅にはその後も筒井容疑者から電話
31日 誠さんが三女を自宅に連れ帰る
【11月】
1日 長崎県警西海署に「傷害の被害届を出したい」と相談。同署は「事件が起こった場所の警察署へ」
4日 千葉県警習志野署に「被害届を出したい」と電話
5日 西海署に「無言電話が続く」と相談
8日 親族が習志野署に「三女の部屋に侵入の跡がある」と通報。同署は対応せず
13日 この頃から筒井容疑者が三女の知人らに「三女の連絡先を教えなければ周りの人間を殺して取り戻す」などの脅迫メール
21日 西海署、習志野署に脅迫メールについて相談。両署とも「被害者の居住地の警察署に相談を」
同  三重県警桑名署に脅迫メールを伝え「筒井の実家巡回を」と要求。同署は「西海、習志野署に確認する」。以後連絡なし

【12月】
1日 三女が習志野署に「被害届を出したい」と電話。生活安全課は「いつでもいい」と回答
6日 三女と誠さんが習志野署へ。「刑事課が一人も空いていないので1週間待ってくれ」。後に「12、13日に事情聴取する」
8日 筒井容疑者が桑名市の実家を飛び出す
9日 未明から三女宅のチャイムを鳴らしたりベランダでをたたく音。習志野署に通報。警察官は「顔を確認したのか」「逮捕はできない」と言って帰る。その後、同署は筒井容疑者が三女宅前にいるところを職務質問。両親に連れ帰るよう指示。
12日 習志野署が三女と誠さんから事情聴取(~14日)
13日 筒井容疑者が三女宅近くをうろつく。誠さんが習志野署に通報するも「まだ書類がそろっていないので逮捕できない」
14日 筒井容疑者は実家に帰るが、父親を殴り、母親の携帯電話を奪って家出。誠さんは習志野署員からその事情を聞く
16日 久江さんと美都子さんが殺害される
17日 長崎県警が筒井容疑者を逮捕。習志野署が傷害容疑で逮捕状
(警察の対応は山下誠さんの手記に基づく)


参考記事
筒井郷太被疑者の凶行を許した「法の谷間」
http://www.janjanblog.com/archives/65219
by hiroseto2004 | 2012-03-14 20:41 | ジェンダー・人権(DV・性暴力) | Trackback