藤圭子「女のブルース」に感じること・・「嘘の町」から「持続可能な町へ」

藤圭子の名曲「女のブルース」に「ここは東京　嘘の町」という一節があります。

http://www.fukuchan.ac/music/j-sengo2/onnanoblues.html

ここは東京　ネオン町
ここは東京　なみだ町
ここは東京　なにもかも
ここは東京　嘘の町

この曲自体は１９７０年リリースの曲です。

高度成長期まっただ中の曲です。

東京など大都市に人がどんどん集まり、経済が成長。一方で、地方でも箱モノを整備して大手企業の工場を誘致さえすれば、地方自治体には税収が、地元の中小企業にも仕事が落ちる。
そんな雰囲気の時代でした。

しかし、そんな中でも、「ここは東京　嘘の町」という歌がバカ受けしていたのです。
人々も、実は潜在意識でなんとなく、「東京は地に足がついていない町」「持続可能ではない町」と感じていたのではないでしょうか？だからこそ、この歌がバカ受けしたと言ったら言い過ぎでしょうか？

結局、所詮は、安価な石油を大量に浪費できる。そのことを背景に、経済が右肩上がりである。そのことを前提に東京を頂点としたシステムができていったわけです。

だが、東京は、自分たちの周辺でエネルギーも食料も水も満足に賄えない町となっていたのです。そして、当時でもすでに、通勤地獄や公害などの問題が深刻化していた。

しかし、３年後にオイルショックが発生。前提が大きく揺らぎ始めます。
政府は省エネももちろん進めた一方で、１９７４年、いわゆる「電源三法」により、原発を地方にどんどんつくり、税金をばらまくようになった。東京など大都市の抱える矛盾を、地方に原発などをつくることで悪く言えばごまかそうとしたのと言えます。

１９８０年代以降の経済成長鈍化の中でも、中央政府は、地方に借金をさせてまで、箱モノを作らせるという活性化策に固執しました。このことが、のちに大きなつけを残しました。

さらに、１９９０年代以降のアメリカの要求を受けての規制緩和やデフレ不況の中で地方の中小企業はとくに打撃を受けました。小泉時代には規制緩和で地方の公共交通も切り捨てられます。地方交付税のカットも相まって地方の衰退が加速しました。

一方で、東京にはおカネや人が集中していきました。しかし、裏を返せば東京という場所の危うさがますます増していったということでもあります。

時は流れて２０１１年３月１１日。東日本大震災、そして東電福島第一原発事故が発生しました。
そして、東京では一斉に食糧が無くなってしまいました。多くの都民の皆様が東京という町がいかに危ういものかを実感されたことと思います。

現在は安倍総理が金融緩和、財政出動、成長戦略という「アベノミクス」を打ち出している。
しかし、東京都民もそれ以外の人も、その効果を実感している人は少ないのが実情です。
まったくの時代遅れ、手遅れになっています。

規制緩和で非正規労働者が増え、大企業が儲かっても労働者に行き渡りにくい構造になってしまっています。

すでに地方の中小企業が多く廃業してしまっています。倒産ではなく、廃業です。
そんな中で、お金をばらまいても地域で回りにくい状態になっています。生物でいえば毛細血管がつぶれている状態で血が回らなくなっているのです。

また、お金を刷るにしても教育や医療といったセーフティネットが充実していけば、庶民の暮らしもよくなるでしょう。

セーフティネットの格差が小さければ、たとえばもっと起業などにチャレンジする人も増えるでしょう。しかし、残念ながらそういう方向にはいかないのが日本です。

成長戦略にしても、これまでの規制緩和の失敗の反省がなければ、失敗に終わるでしょう。

そもそも、安倍さんがどうのこうのというよりも、だれが総理でも、どうあがこうが、今の東京の在り方、日本の在り方は「持続不可能」なあり方なのです。

これを持続可能な東京、そして日本に変えていかなければなりません。

第一に地方の地域経済を再興することです。「国家の実力は地方に存する」のです。
広島市くらいなら、本当に、周辺地域で食糧やエネルギーもある程度賄えます。通勤地獄だって東京のようにはひどくないのです。

第二に、東京は、東京都民の暮らしの質を良くするためにもダウンサイジングしたほうがいいのです。先日の「グリーンズカフェ広島東京出張所」では「東京解散」ということを提案させていただきました。東京も近郊である程度エネルギーや水、そして福祉施設をまかなえるくらいの水準にダウンサイジングしたほうがいいのです。無理して大きく見せかけている「嘘の町」東京を解散し、「潤いのある」町にしましょう。

第三に、上記の意味での改革を進めるためにも、医療や教育を中心にセーフティネットは充実させ、人々が多様な働き方、生き方を選びやすくするようにするのです。

わたくし、さとうしゅういちは、２０００年に東京から広島に戻りました。
しかし、東京も故郷だという意識は今でもあります。

また、そして、非正規労働者支援など格差是正のための活動にも従事してまいりました。
あまりの不公正を放置していては、社会が持続不可能だという恐怖心に近い危機感があったからです。

「嘘の町」東京から「持続可能な町」東京へ！

その実現のためにも、先頭に立ってまいります。

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