【他社記事紹介 選挙/北海道/鹿児島/ジェンダー】<女性の地方政治参画>07年に10%台 進まぬ実態とは
2015年 01月 04日
<女性の地方政治参画>07年に10%台 進まぬ実態とは
広島瀬戸内新聞では社主は男性ですが、男女共同参画にも積極的に取り組んでまいりました。
安倍総理も力を入れておられる分野ですが、なかなか特に地方政治では進まない。...
一方で、都会では専業主婦が多く議員になるケースもある。
その辺の話も出ていて興味深いです。
登場する議員のうち斉藤うめ子さんは、社主・さとうしゅういちの友人でもあります。
われわれ広島瀬戸内新聞は地方議会も会派別の比例代表制にすればよいと提案しています。
そうすれば、そうはいっても、各会派も何割かは女性を並べざるを得ないでしょう。
(参院選でも、各党とも比例区はそれなりに女性を出しています。)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150104-00000010-mai-soci
<女性の地方政治参画>07年に10%台 進まぬ実態とは
毎日新聞 1月4日(日)12時19分配信
1945年に女性が参政権を得てから70年。しかし、昨年末の衆院選でも女性の当選者は1割にも満たなかった。地方議会でも1割程度。「政治」という意思決定の場に、女性が関わらない、関われないのはなぜだろう。見えない障壁“ガラスの天井”があるのだろうか。
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公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センターが、統一地方選の年ごとに調べた、地方議会への女性議員の進出状況によると、女性議員の割合が初めて10%台にのったのは2007年。前回11年の選挙後では11.1%と、少しずつ上昇しているとはいえ、地方参政権を得てからすでに70年近くたち「50%に達するにはあと何十年かかるのか」と、久保公子事務局長はため息をつく。
地方政治への女性参画がこれほどまでに進まないのはなぜなのか。
◇応援できない事情
豊かな自然に囲まれ、パウダースノーが売りのスキー場など、海外からも多くの観光客を集める国際的な観光地、北海道ニセコ町。人口5000人弱の町に、昨年度は約157万人が訪れた。
この町の議会で唯一の女性議員、斉藤うめ子さん(67)は、この地をついの住み家として8年前、神戸から移り住んできた。
移住してきて最初にあった統一地方選(07年)で、町議選は無投票。女性議員はゼロだった。「男女平等」を会話に持ち出すと、町の開放的なイメージとは裏腹に「男女平等になってどうするの」「男性を外で立て、家で女が実権を握るものでしょう」と、町の女性たちに言い返され、驚いた。
「自分が議員になって、この町の状況を変えるしかない」。10年秋に、次の町議選に出ることを決意した。
最初に立ちはだかった壁は、家族である4歳上の夫。普段は男女平等を尊重していたはずだったが、選挙への決意を告げると「実力も能力もないのに、立候補してどうするんだ」と批判された。反対を振り切り、自分の蓄えから選挙費用を出し、立候補した。
そもそもが「よそ者」で「女」。自治会の役員をしたこともなく、支援団体もなく、地域の顔役が議員を務めるこの地域で、周囲には全く無謀な闘いにみえた。
「恥をかくだけ。立候補はやめた方がいい」と知人からは面と向かって諭され、町を歩けば「あなたを応援したら地域でやっていけなくなる」「口をきけば、あなたを応援していると誤解される」とまで言われた。
立会演説会に来たのは元々の支援者3人だけ。「票読み」は全くできなかった。
しかし、ふたを開けてみれば189票を取り、11人中7位で当選。選挙後、複数の男女から「あなたに入れたよ」と打ち明けられた。当選までの壁は分厚くみえたが、自分の知らないところで「女性」や「よそ者」への期待があることを感じた。
「女性議員がいることで少しずつだが町の意識が変わると思う」。斉藤さんは再選を目指し、今春の統一地方選に向けて準備を進めている。
◇仲間増やしたいが
当選4回、落選4回。20年間に計8回、市議選や県議選に挑戦してきた、現鹿児島県南さつま市議の平神純子さん(57)の選挙結果だ。
平神さんが初めて選挙に立ったのは1995年の旧加世田市議選。看護師として働いた後、大学で政治学を学び、女性の政治参加が必要だと考えて立候補を決意した。当時、5歳と2歳の子育て中。さらに、立候補を決めてから半年後には妊娠が判明した。
「はっきり言って当選するわけがない、と誰もが思っていました」。当時をよく知る古木健一・南さつま市議会議長は、そう振り返る。
旧加世田市の議員は、先祖代々この地に住む者で、自治会長や公民館の役員ら男性が、地域の推薦を受ける形で名乗りを上げる。当時、1人いた女性議員は婦人会の代表経験者だ。地縁血縁がものをいう土地柄で、平神さんは地元出身ではなく、地域の代表を務めた経験もなかった。
しかし、妊婦で出馬という話題性が手伝い、マスコミの注目を浴びて461票を取り当選した。
議員となってからは保育園の延長保育など住民に身近な問題に取り組み、女性議員を増やそうと、自ら「選挙に出ないか」と女性たちに声を掛けて回った。しかし4年後の選挙では落選。「活動実績は評価してもらえないのか」と悔しさがこみ上げた。
◇地域社会の壁厚く
女性の再選が難しい状況について、地方議会への女性参画に詳しい京都女子大学の竹安栄子教授は「女性の多くは支持基盤がなく、いろいろな団体に顔を出すが有効な選挙戦略を立てられず、再選されにくい。政党に属している議員は組織があり情報も豊富だが、無所属が多い地方議会では女性議員を育てるところがない」と説明する。
竹安教授は、女性の立候補を阻む要因に▽「政治は男性のもの」といった「性別分業意識」▽夫や家族の理解が得られないなど「家族・親族の壁」▽地域社会の壁--を挙げる。「地域社会は集票基盤であり、地域の支持を得るには、自治会長などの役職経験が重要。地域社会との関係が密な地方選挙で、男性が長を占める中、女性議員が増えるにはまだ壁は厚い」と語る。
◇職住近接、主婦向き
女性にとっては、そんな近づきがたいようにみえる地方議会だが、いざ議員になってみると「主婦に向いている仕事かも」という声が聞こえてくる。
主婦から千葉県浦安市議になった岡野純子さん(36)は「地方議会は現場の声や生活密着でものごとを決める場。介護や子育てにじかに接していて、地元をよく知る主婦に向いている仕事だと思う」と話す。
県議の経験がある井戸正枝・元衆院議員も「職住近接で、拘束が年100日程度の地方議会は勉強の時間も取れ、本来は専業主婦にぴったりだ」と勧める。
地元をより良くするために、地域密着で働くことを意気に感じる女性たちは、これから増えていくだろうか。その時、障壁が少しは低くなっているだろうか。