「子育てできなくなる」／残業代ゼロ制度／女性の視点から反対【他紙記事紹介】

「連合通信」３月１２日号より。残業代ゼロ法案は、子育てや女性活躍にも反するわけです。

「子育てできなくなる」／残業代ゼロ制度／女性の視点から反対

　８時間労働制を適用除外する「残業代ゼロ」制度を、子育てや女性活躍の視点から
考えようと、弁護士や研究者、市民団体などが３月９日に集会を開いた。和光大学教
授の竹信三恵子さんは「この制度には罠がある。働きながら普通に子育てすることが
できなくなる」と述べた。

●長時間労働が当然に／竹信三恵子さん

　竹信さんはこの制度について、成果主義で能率よく仕事をすれば早く帰宅できると
考えている人が少なくないことを紹介し、こう警鐘をならした。
「法案要綱を見ると、成果で評価するとは一言も書いてありません。書いてあるの
は８時間労働の適用を外すことだけ」
　さらに当初は「専門的業務」に限定しても、（対象業務を拡大してきた）派遣法の
経過を見れば拡大される恐れが強いと指摘した。
　１日８時間労働は、睡眠や家庭・地域活動の時間を確保し、人間らしく暮らすうえ
で欠かせない規制だと述べた上で、竹信さんは、
「その規制が外され長時間労働を強いられたら、親を待つ子どもはどうなるのか。と
ても子育てはできなくなる」と批判した。

●今女性が声上げねば／圷（あくつ）由美子さん

　マタニティー・ハラスメントの当事者らでつくる「マタハラＮｅｔ」の世話人を務
める圷由美子弁護士は、共働きで２児を育てている自身の経験を紹介し、「夫は長時
間労働で夫婦ともに生活時間が切り詰められている。『女性の活躍推進』どころでは
ない」と述べる。
　圷弁護士は、男性の長時間労働がさまざまな形でパートナーの女性にもはね返って
くることを指摘した上で、こう続けた。
「働く女性だけでなく専業主婦の方も含めて、今女性たちが『パパを（家庭に）返
して』と、声を上げなければならない」

●管理職の行動改革を／安藤哲也さん

　集会では、男性側から長時間労働を是正すべきとの発言もあった。父親支援を行う
ＮＰＯファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也さんは、人事権を持つ管理職自身が
率先して意識や行動を変えるべきと提起した。
「男性の長時間労働により、女性が孤独な育児を強いられる状況がある。育児や介
護などさまざまな時間制約を抱える社員に配慮しながら、自身のワークライフバラン
スも大切にしていく管理職『育ボス』を増やしたい」と訴えた。

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