【談話】 戦後70周年を迎えて 緑の党共同代表
2015年 08月 15日
【談話】 戦後70周年を迎えて
2015年8月15日
緑の党グリーンズジャパン共同代表
中山 均
長谷川 羽衣子
長谷川 平和
松本 なみほ .
本日、先の世界大戦が「終結」して70年目となります。戦争で犠牲となった方々に哀悼の意を表し、傷ついた全ての人々やそのご家族に対し、あらためて心よりお見舞い申し上げます。
あの戦争では、日本のアジア太平洋地域への侵略によって数千万人の命が奪われました。日本の多くの兵士や民間人も異国の地で斃れ、国内では各地の空襲や沖縄などでの地上戦、そして広島・長崎への原爆投下によって、おびただしい数の一般市民の命も失われました。さらに、8月15日の「終戦」を経た後もなお、海外に残された人々をはじめ、国内外の市民の生活は困難を極め、その過程でも多くの命が失われました。戦争による爪跡は、今も内外の犠牲者のご遺族や生存者の心身に深く刻まれ、癒えないままとなっています。
70年前、戦争の悲惨な現実を前にして、日本社会は、不戦と平和、民主的な社会の実現を誓いました。そしてその理念を憲法に結実させ、この戦後を歩んできました。
しかし、「慰安婦」や強制連行・徴用の犠牲者、原爆や空襲の被害者などへの謝罪や賠償・補償の問題は、いまだに十分な解決を見ていません。生存者は高齢となっています。日本政府と市民、とりわけ政治に関わる関係者は、あらためて犠牲となった人々や被害者・被爆者の声を聴き、その想いにしっかりと向き合い、全ての戦争被害に対する真摯な謝罪、公正な補償と賠償、そして二度と戦争被害を生みださない社会の構築を、急がなければなりません。
また、戦後の「平和」を維持し、経済成長を遂げ、今も成長を追い求める中で、切り捨て、放置してきた問題も無視できません。沖縄への米軍基地の集中と過大な負担や犠牲、福島原発事故と被災者切り捨て、脆弱な高齢者介護や福祉の実情、格差や貧困層の拡大など、社会の深刻な現実が私たちの目の前に大きく広がっています。こうした課題に向き合い、どのような日本社会の未来を描くのか、私たちをはじめ、政治に関わる者の責任は重大です。
昨日(14日)には安倍首相による「戦後70年談話」も公表されました。「侵略」「おわび」など歴代内閣の立場を継承するとし、戦争被害の苦しみを日本が与えたと明言するなど、この間の安倍政権の強権的・挑発的姿勢に対する内外の批判を避けようとした側面がある一方、自身の立場や決意を曖昧にした間接的表現が多く、日露戦争を賛美し、グローバル経済の推進を謳い、「(子孫たちに)謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」として謝罪の継続を否定するなど、一見「謙虚」な表現や文脈の中に、巧妙に政権の推し進める政策を盛り込み、真の反省という観点ではきわめて不十分なものとなりました。
また、談話の中で明言した「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない」「いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」「先の大戦への深い悔悟の念」とする姿勢を現実の行動として真に実現しようとするならば、「武力の威嚇や行使」そのものとも言える集団的自衛権行使や安保法制、立憲主義の否定や周辺諸国への挑発的姿勢は、根本から見直し、撤回する必要があります。
今、安倍政権と与党は、70年前から歴代政権のみならず市民社会によって確認され保持され続けてきた不戦の誓いを打ち砕き、平和に向けた先人たちの努力の積み重ねを否定し、一内閣によって憲法解釈を変更し、安保法制を強硬に制定しようとしています。憲法と戦後日本社会の最大の危機が訪れています。
一方、この大きな危機にあたって、戦後社会を築きあげてきた世代、若者たち、子育て世代、学者や文化人、政党や組織、さまざまな人々や団体が、声を上げ行動しています。日本国憲法第12条で謳われた「不断の努力」によって憲法と平和と民主主義を守ろうとする営みが、互いに呼応し励ましあいながら、重ねられています。
私たちは、ここに市民社会の希望も見出します。70年談話がきわめて不十分な形になったとはいえ、村山談話や河野談話に否定的な安倍首相の政治姿勢から「後退」せざるを得なかったのも、内外の市民の声や行動や批判に圧力を受けたものと見ることができます。
海外の人々も、日本の市民社会に期待しています。去る6月に開催されたアジア太平洋緑の党連盟(APGF)大会では、 日本の平和憲法がアジア太平洋地域の安全装置となってきたことを評価し、これを守るために日本の市民と連帯することを表明した決議が示されました。
戦後70年となる今、私たちはあらためて誓います。先の大戦で犠牲となり傷ついた無数の人々、平和と基本的人権を守るために努力を積み重ねてきた先人たちに思いを馳せながら、国会前や全国各地で声を上げる市民や世界中の仲間たちとともに手を取り合い、安倍政権によってもたらされた日本の戦後社会の最大の試練に打ち勝つことを。奪い合い、命と暮らしが犠牲にされる社会から、豊かな自然とともに、地域と世界中の人々とのつながりの中で分かち合い、支え合う社会を未来の世代に引き渡すために力を尽くすことを。
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2015年4月2日さとうしゅういち街頭演説安芸郡府中町 河辺たかふみ広島市長・中原ひろみ市議・つくだ守生県議で誰もが置きざりにされない広島を