【「核文明」世界の「三国志」化という恐怖・・・9.11から11.13へ】
2015年 11月 16日
【「核文明」世界の「三国志」化という恐怖・・・9.11から11.13へ】
大昔、中国でいえば三国志(特に魏呉漢の三国鼎立がなるまで)や日本の戦国時代には、それこそ、広島県が山口県に攻め入ったり、湖北省(荊州・劉備領)が四川省(益州・劉璋領)に攻め入ったりすることに相当することが、日常茶飯事に起きていました。
山賊とも武装勢力ともつかないような方々が各勢力の間を寝返りをくりかえしていました。
しかし、それが、時代が下るにつれ、次第に、暴力装置=軍隊は主権国家が独占するものとされていきました。
それにより、人口比でみた戦争の頻度も減少していったのです。
しかし、一方で、第一次世界大戦、第二次世界大戦のころには、文明が大いに発達。飛行機やロケット、生物兵器、化学兵器、ついには核兵器が発明、使用されていきます。ひとたび戦争が起きればおびただしい犠牲者がでるようにもなりました。
そうした教訓から、第一次世界大戦後の不戦条約、そして、第二次世界大戦後の国連憲章、あるいは、EUなどの形で、国家主権も振るいたい放題では無くす=戦争違法化=という方向になっていったのです。
そうしないと危ないから、ひとたび戦争になれば経済活動に大ダメージがあるし、下手をすれば地球滅亡にもなりかねないという事情もあります。
もちろん、途上国では、米ソ双方による代理戦争が繰り返され、たくさんの途上国国民が犠牲になりました。とはいえ、一方で、戦争をしにくくするような仕組みの整備も同時並行して進んでいったのです。
ところが、そうした戦争違法化の流れを決定的にぶっ壊したご一党様がおられます。
G・W・ブッシュ前合衆国大統領とその一派です。
彼らは、2001年、9.11テロが起きると、それを悪用し、アフガニスタンへの空爆を開始。ただし、ここまでは、伝統的な個別的自衛権の範囲といえなくもありません。
しかし、ブッシュ大統領は、2002年にはイラン、イラク、北朝鮮を悪の枢軸と認定(一般教書演説)。シリア、リビアなどと併せ、核兵器も含む先制攻撃を辞さないとの戦略を打ち出すに至ります(「大量破壊兵器と戦う国家戦略」他)。
大量破壊兵器を持っているかもしれない、という理由で、先制攻撃してもよい。テロリストを逮捕するという理由で攻撃してもよい。
そんな理屈を打ち出したのです。そして、2003年3月20日、彼らは
、それを実行に移しました。イラク戦争です。
皮肉にもこのイラク戦争にはあのフランスは反対していました。
ジョージ・W・ブッシュご一党様による攻撃の結果、テロはなくなったのでしょうか?
サダム・フセインは打倒されましたが、大量破壊兵器など見つかりませんでした。そして、ほかでもないアメリカ自身が劣化ウラン弾やクラスター爆弾、バンカーバスター、気化爆弾などの残虐兵器、大量破壊兵器を使用したことです。
あれから12年、イラクと隣国のシリアは、まさに「三国志状態」となり、いまや、イスラム国が台頭するありさまです。
誰が敵か味方かわからない。それどころか、武装勢力(といっても山賊に等しい方々が日々寝返りを繰り返している)が割拠しどうにもならない状態です。国際法などもあったものではない。
そうした中で、米仏露などは空爆を繰り返しています。アメリカは無人機を投入。自分たちは傷つかずに、テロリストだけを殺害ということをもくろんだが、アフガニスタンでは9割が誤爆でした。
イスラム国には、先進国からも若者が次々と参加していくありさまでした。先進国の空爆による現地の治安の悪化とともに、先進国内部の矛盾もまた、イスラム国を育てたのです。
だいたい、「自由と民主主義と人権が大事」という先進国が、中東では「最大の人権侵害」であり「最大の環境破壊」である「戦争」しまくりというのはあまりにダブルスタンダードです。そのことへの怒りが渦巻くのは当然です。
その延長上に、2015年11月13日(現地時間)、パリでの同時多発テロが起きたのです。
もちろん、パリでのテロ、それに先立つロシア民間機撃墜。いずれも、大変な惨劇には間違いはありません。
しかし、その惨劇は、イラクや、シリア、トルコ、レバノンでは日常的な光景になっています。
そして、さらに、恐ろしいのは、どこで何が起きるかわからない、三国志や戦国時代のような状態に世界が突入してしまったことです。それも、核文明の時代にです。
核文明の時代の一方で戦争違法化が進み、人類の滅亡を防いできたともいえます。
しかし、いまや、「テロ犯人逮捕」などの名目で「戦争仕掛け放題」の世界をアメリカがつくってしまった。それに、英仏露などの国も乗っかっているわけです。日本も「石油が値上がりしただけで存立危機事態」と称して安保法を発動できるという趣旨の発言が閣僚から飛び出すありさまです。
「核」を含む危険物がたくさんある時代に、「戦争仕掛け放題」になることがどれだけ恐ろしいことか。
さらには、テロ側も手段がエスカレートし、しまいには、本当に核テロもおきかねないのではないのか?
いま、パリで「11.13テロ」が起きた今だからこそ、ここで「テロにも戦争にも反対」の流れをハッキリ訴えていかなければ世界はとんでもない方向に暴走を加速するのではないか?
このように思う次第です。特に9.11テロに遭ったNYを抱えると、そのNYに自由の女神を贈り、11.13テロに遭ったフランス国民の皆様には考えていただきたいのです。
※図は、左右軸に戦争の違法化度の大小をとり、上下に兵器の威力を取りました。兵器の威力は増す一方で、戦争の違法化も進み、人類は破滅をまぬかれてきました。しかし、「対テロ戦争」なり「存立危機事態」の名のもと、武力行使へのハードルが下がっていくと、大変なことになりかねないのです。
「核文明世界」の「三国志化」こそ、恐怖なのです。
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山賊とも武装勢力ともつかないような方々が各勢力の間を寝返りをくりかえしていました。
しかし、それが、時代が下るにつれ、次第に、暴力装置=軍隊は主権国家が独占するものとされていきました。
それにより、人口比でみた戦争の頻度も減少していったのです。
しかし、一方で、第一次世界大戦、第二次世界大戦のころには、文明が大いに発達。飛行機やロケット、生物兵器、化学兵器、ついには核兵器が発明、使用されていきます。ひとたび戦争が起きればおびただしい犠牲者がでるようにもなりました。
そうした教訓から、第一次世界大戦後の不戦条約、そして、第二次世界大戦後の国連憲章、あるいは、EUなどの形で、国家主権も振るいたい放題では無くす=戦争違法化=という方向になっていったのです。
そうしないと危ないから、ひとたび戦争になれば経済活動に大ダメージがあるし、下手をすれば地球滅亡にもなりかねないという事情もあります。
もちろん、途上国では、米ソ双方による代理戦争が繰り返され、たくさんの途上国国民が犠牲になりました。とはいえ、一方で、戦争をしにくくするような仕組みの整備も同時並行して進んでいったのです。
ところが、そうした戦争違法化の流れを決定的にぶっ壊したご一党様がおられます。
G・W・ブッシュ前合衆国大統領とその一派です。
彼らは、2001年、9.11テロが起きると、それを悪用し、アフガニスタンへの空爆を開始。ただし、ここまでは、伝統的な個別的自衛権の範囲といえなくもありません。
しかし、ブッシュ大統領は、2002年にはイラン、イラク、北朝鮮を悪の枢軸と認定(一般教書演説)。シリア、リビアなどと併せ、核兵器も含む先制攻撃を辞さないとの戦略を打ち出すに至ります(「大量破壊兵器と戦う国家戦略」他)。
大量破壊兵器を持っているかもしれない、という理由で、先制攻撃してもよい。テロリストを逮捕するという理由で攻撃してもよい。
そんな理屈を打ち出したのです。そして、2003年3月20日、彼らは
、それを実行に移しました。イラク戦争です。
皮肉にもこのイラク戦争にはあのフランスは反対していました。
ジョージ・W・ブッシュご一党様による攻撃の結果、テロはなくなったのでしょうか?
サダム・フセインは打倒されましたが、大量破壊兵器など見つかりませんでした。そして、ほかでもないアメリカ自身が劣化ウラン弾やクラスター爆弾、バンカーバスター、気化爆弾などの残虐兵器、大量破壊兵器を使用したことです。
あれから12年、イラクと隣国のシリアは、まさに「三国志状態」となり、いまや、イスラム国が台頭するありさまです。
誰が敵か味方かわからない。それどころか、武装勢力(といっても山賊に等しい方々が日々寝返りを繰り返している)が割拠しどうにもならない状態です。国際法などもあったものではない。
そうした中で、米仏露などは空爆を繰り返しています。アメリカは無人機を投入。自分たちは傷つかずに、テロリストだけを殺害ということをもくろんだが、アフガニスタンでは9割が誤爆でした。
イスラム国には、先進国からも若者が次々と参加していくありさまでした。先進国の空爆による現地の治安の悪化とともに、先進国内部の矛盾もまた、イスラム国を育てたのです。
だいたい、「自由と民主主義と人権が大事」という先進国が、中東では「最大の人権侵害」であり「最大の環境破壊」である「戦争」しまくりというのはあまりにダブルスタンダードです。そのことへの怒りが渦巻くのは当然です。
その延長上に、2015年11月13日(現地時間)、パリでの同時多発テロが起きたのです。
もちろん、パリでのテロ、それに先立つロシア民間機撃墜。いずれも、大変な惨劇には間違いはありません。
しかし、その惨劇は、イラクや、シリア、トルコ、レバノンでは日常的な光景になっています。
そして、さらに、恐ろしいのは、どこで何が起きるかわからない、三国志や戦国時代のような状態に世界が突入してしまったことです。それも、核文明の時代にです。
核文明の時代の一方で戦争違法化が進み、人類の滅亡を防いできたともいえます。
しかし、いまや、「テロ犯人逮捕」などの名目で「戦争仕掛け放題」の世界をアメリカがつくってしまった。それに、英仏露などの国も乗っかっているわけです。日本も「石油が値上がりしただけで存立危機事態」と称して安保法を発動できるという趣旨の発言が閣僚から飛び出すありさまです。
「核」を含む危険物がたくさんある時代に、「戦争仕掛け放題」になることがどれだけ恐ろしいことか。
さらには、テロ側も手段がエスカレートし、しまいには、本当に核テロもおきかねないのではないのか?
いま、パリで「11.13テロ」が起きた今だからこそ、ここで「テロにも戦争にも反対」の流れをハッキリ訴えていかなければ世界はとんでもない方向に暴走を加速するのではないか?
このように思う次第です。特に9.11テロに遭ったNYを抱えると、そのNYに自由の女神を贈り、11.13テロに遭ったフランス国民の皆様には考えていただきたいのです。
※図は、左右軸に戦争の違法化度の大小をとり、上下に兵器の威力を取りました。兵器の威力は増す一方で、戦争の違法化も進み、人類は破滅をまぬかれてきました。しかし、「対テロ戦争」なり「存立危機事態」の名のもと、武力行使へのハードルが下がっていくと、大変なことになりかねないのです。
「核文明世界」の「三国志化」こそ、恐怖なのです。
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SNSが見られなくなる前に国民連合政府で安保法廃止を・・準地元・イオン祇園前で次期国政選挙へ向け、協力呼び掛け
https://www.youtube.com/watch?v=xK6tCMSRKzw&feature=youtu.be
2015年4月2日さとうしゅういち街頭演説安芸郡府中町 河辺たかふみ広島市長・中原ひろみ市議・つくだ守生県議で誰もが置きざりにされない広島を