「格差是正」・・「全否定」の1990年代から「世代間闘争」に回収され混乱する現在
2016年 01月 04日

【「格差是正」・・「全否定」の1990年代から「世代間闘争」に回収され混乱する現在】
何度も申し上げている通り、日本では1991年のソビエト崩壊以降、格差是正というテーゼは全否定ないし、あまり取り上げられない議題となっていました。
1970年代はいわゆる革新自治体の福祉施策、1980年代までだと、男女雇用機会均等法への運動などが大々的に盛り上がっていました。
しかし、1991年のソ連崩壊を契機に、「自己責任」などのテーゼが無色透明なものとして受け入れらて行きます。日本共産党と新社会党を除く野党が自民党を攻撃する場合も、いわゆる新自由主義的な観点からの攻撃が圧倒的に多かったのです。具体的には、旧新進党の政治家や、民主党の右派の前原誠司さんあたりがイメージされます。
格差是正的なことを言おうものなら、ソビエトと同一視されてしまう。そんな極論がこの時代にはまかり通っていました。社民党でさえも腰が砕けて派遣法改悪に賛成するという重大な汚点を残しました。
本当に、いろいろ意味で政治がひどかったのは、現在ではなく、この1990年代だったのです。その1990年代、そして、2000年代前半の小泉純一郎政権を経て、日本は、異常な新自由主義国家に成り下がってしまいます。たとえば、公的な教育費の支出のGDP比率は先進国最低で、学費の個人負担は世界最悪レベル。お金持ちや大手企業への課税は実はアメリカさえよりも甘い税制。フランス並みに食料品には消費税を課税するのに、子育てや福祉は全然及ばないという財政運営。しかし、そんな政治に対して、まとも抵抗するのが、日本共産党と新社会党くらい(社民党は、土井党首の時代は与党色をかなり残しており、新自由主義的立法に賛成していたし、社会党政権時代には海外派兵も行っている。)という有様だった。あのころが、実は一番、危機的な時代だったのです。
むしろ、現代というのは、あの1990年代から00年代前半くらいまでの15年くらいのツケが噴出しているともいえます。極論すると、内橋克人さんと西部邁さん以外の論壇がほとんど新自由主義に無自覚に汚染されていた時代のツケがいま噴出しているのです。
格差がようやく問題となってきたのは2000年代半ばです。
日本共産党や新社会党は別として、最初に声を上げたのは、我々「ロスジェネ」世代でした。そして、それは、民主党を一度は政権の座に押し上げる原動力の一つともなったのです。
しかし、その声は次第に「世代間闘争」に回収されていってしまったのです。
「年寄りが、若者から収奪している!」というテーゼは当時の若者(現在は中年になっていますが)にバカ受けしていったのです。
最近でいえば、橋下徹さん・大阪維新のシンパによるいわゆる「シルバー民主主義批判」はその典型です。
さらに、3.11以降は、ロスジェネの中でも「左派」が「脱原発」へ運動の重点をシフトする中で、「みんなの党」とか「おおさか維新」的な議員らが「格差是正」を乗っ取っていきます。
いわく「年配世代の正社員を打倒せよ。」いわく「自治労を打倒せよ。」いわく「そうすれば、正社員とワーキングプアとの格差はなくなる。」そのように、彼らは叫び、民主党が失墜する中で、同世代にバカ受けしていきました。
一方、自民党は、祖父母や父母が孫や子に資産を移転することを奨励していきます。最近の具体的な事例としては、ジュニアNISAが挙げられます。
お金持ちの家庭の中でも祖父母は財産をたくさん持っているが、父母はさほどでもない。そして、孫世代は個人として見えれば貧しい。そこで、孫世代への資産移転を奨励し、自民党を支持するようなお金持ちの「家の中」で、上記のような「世代間闘争」思想に「洗脳」された若者が「反乱」を起こすことを防いだのです。
しかし、このような自民党の資産移転策は低所得者層の家庭の若者には全く恩恵はありません。彼らは、世界一高い学費に苦しみ、就職後も奨学金返済に苦しんでいます。
さらに、自民党政府は「子どもの貧困」対策に民間基金を設置しました。これは、そもそも税金でやるべきことを民間基金でやること自体がおかしな話です。さらに、そのこと自体が、また、「おおさか維新」的な人たちが自民党=シルバー民主主義と攻撃して、ウケを取るネタになっているという状況もあります。
そもそも、若者が苦しかったことを「世代間闘争」に転化してしまったこと、あるいは転化させてしまったことが間違いでした。
そして、お年寄りを叩いたところで、若者が幸せになるわけではありません。
社会保障には、お年寄りを介護したり、経済的に養ったりする直接の義務から若者を解放する役割があるのです。
お年寄り相手の仕事で若者が潤うような仕組みにすればいい。 そして、税制と財政支出両面で再分配を強化すればいいのです。少なくとも、先進国最低という教育費の公的支出GDP比率などは恥ずかしいので早く改めなければなりません。
格差是正そのものが歯牙にもかけられなかった1990年代の最悪の時期。 そして、民主党政権で主流化したかに見えたものの、その失敗もあって、「若者vs年配者」の世代間闘争に回収されてしまった現在。
こうした歴史を踏まえながら、早急に野党側が格差是正を軸とした政治を打ち出すことが求められます。 
https://www.facebook.com/events/703367866447204/
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紙の本の長さ: 64 ページ

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さとうしゅういち (著), 広島瀬戸内新聞 (編集)Kindle 価格: 約¥ 121(1ドル)販売: Amazon Services International, Inc
1970年代はいわゆる革新自治体の福祉施策、1980年代までだと、男女雇用機会均等法への運動などが大々的に盛り上がっていました。
しかし、1991年のソ連崩壊を契機に、「自己責任」などのテーゼが無色透明なものとして受け入れらて行きます。日本共産党と新社会党を除く野党が自民党を攻撃する場合も、いわゆる新自由主義的な観点からの攻撃が圧倒的に多かったのです。具体的には、旧新進党の政治家や、民主党の右派の前原誠司さんあたりがイメージされます。
格差是正的なことを言おうものなら、ソビエトと同一視されてしまう。そんな極論がこの時代にはまかり通っていました。社民党でさえも腰が砕けて派遣法改悪に賛成するという重大な汚点を残しました。
本当に、いろいろ意味で政治がひどかったのは、現在ではなく、この1990年代だったのです。その1990年代、そして、2000年代前半の小泉純一郎政権を経て、日本は、異常な新自由主義国家に成り下がってしまいます。
たとえば、公的な教育費の支出のGDP比率は先進国最低で、学費の個人負担は世界最悪レベル。
お金持ちや大手企業への課税は実はアメリカさえよりも甘い税制。
フランス並みに食料品には消費税を課税するのに、子育てや福祉は全然及ばないという財政運営。
しかし、そんな政治に対して、まとも抵抗するのが、日本共産党と新社会党くらい(社民党は、土井党首の時代は与党色をかなり残しており、新自由主義的立法に賛成していたし、社会党政権時代には海外派兵も行っている。)という有様だった。
あのころが、実は一番、危機的な時代だったのです。
むしろ、現代というのは、あの1990年代から00年代前半くらいまでの15年くらいのツケが噴出しているともいえます。極論すると、内橋克人さんと西部邁さん以外の論壇がほとんど新自由主義に無自覚に汚染されていた時代のツケがいま噴出しているのです。
格差がようやく問題となってきたのは2000年代半ばです。
日本共産党や新社会党は別として、最初に声を上げたのは、我々「ロスジェネ」世代でした。
そして、それは、民主党を一度は政権の座に押し上げる原動力の一つともなったのです。
しかし、その声は次第に「世代間闘争」に回収されていってしまったのです。
「年寄りが、若者から収奪している!」というテーゼは当時の若者(現在は中年になっていますが)にバカ受けしていったのです。
最近でいえば、橋下徹さん・大阪維新のシンパによるいわゆる「シルバー民主主義批判」はその典型です。
さらに、3.11以降は、ロスジェネの中でも「左派」が「脱原発」へ運動の重点をシフトする中で、「みんなの党」とか「おおさか維新」的な議員らが「格差是正」を乗っ取っていきます。
いわく「年配世代の正社員を打倒せよ。」
いわく「自治労を打倒せよ。」
いわく「そうすれば、正社員とワーキングプアとの格差はなくなる。」
そのように、彼らは叫び、民主党が失墜する中で、同世代にバカ受けしていきました。
一方、自民党は、祖父母や父母が孫や子に資産を移転することを奨励していきます。
最近の具体的な事例としては、ジュニアNISAが挙げられます。
お金持ちの家庭の中でも祖父母は財産をたくさん持っているが、父母はさほどでもない。そして、孫世代は個人として見えれば貧しい。
そこで、孫世代への資産移転を奨励し、自民党を支持するようなお金持ちの「家の中」で、上記のような「世代間闘争」思想に「洗脳」された若者が「反乱」を起こすことを防いだのです。
しかし、このような自民党の資産移転策は低所得者層の家庭の若者には全く恩恵はありません。彼らは、世界一高い学費に苦しみ、就職後も奨学金返済に苦しんでいます。
さらに、自民党政府は「子どもの貧困」対策に民間基金を設置しました。これは、そもそも税金でやるべきことを民間基金でやること自体がおかしな話です。さらに、そのこと自体が、また、「おおさか維新」的な人たちが自民党=シルバー民主主義と攻撃して、ウケを取るネタになっているという状況もあります。
そもそも、若者が苦しかったことを「世代間闘争」に転化してしまったこと、あるいは転化させてしまったことが間違いでした。
そして、お年寄りを叩いたところで、若者が幸せになるわけではありません。
社会保障には、お年寄りを介護したり、経済的に養ったりする直接の義務から若者を解放する役割があるのです。
お年寄り相手の仕事で若者が潤うような仕組みにすればいい。
そして、税制と財政支出両面で再分配を強化すればいいのです。
少なくとも、先進国最低という教育費の公的支出GDP比率などは恥ずかしいので早く改めなければなりません。
格差是正そのものが歯牙にもかけられなかった1990年代の最悪の時期。
そして、民主党政権で主流化したかに見えたものの、その失敗もあって、「若者vs年配者」の世代間闘争に回収されてしまった現在。
こうした歴史を踏まえながら、早急に野党側が格差是正を軸とした政治を打ち出すことが求められます。
https://www.facebook.com/events/703367866447204/
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著者 さとうしゅういち(元広島市男女共同参画審議会委員/広島瀬戸内新聞社主)
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役人からヘルパーへ 医療・介護担当の行政マンが介護現場で働いて見えたもの [Kindle版
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□ヒロシマの心活かす政界再編
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電子書籍「広島瀬戸内新聞: エコでフェアな世界をヒロシマから」出版!
「イデオロギーの時代は終わった」のか?: 「安倍暴走」と貧困を招いた勘違い [Kindle版]
電子書籍「いま、ヒロシマからSEALDsへ伝えたいこと。」
もはや日本共産党しか残されていないのか?: 「安倍自民」暴走と「市民派」低迷の中で[Kindle版]
SNSが見られなくなる前に国民連合政府で安保法廃止を・・準地元・イオン祇園前で次期国政選挙へ向け、協力呼び掛け
https://www.youtube.com/watch?v=xK6tCMSRKzw&feature=youtu.be
9月21日「諦めたら本当に安保法案が成立したことになる」さとうしゅういち、牛田で法案無効、自民政権打倒の呼びかけ
9月11日安佐南区古市橋駅前街頭演説
7月27日南区出汐町交差点街頭演説
7月24日安佐南区梅林駅近く街頭演説
7月20日西区横川駅前街頭演説 安保法案廃案、海外派兵より被災者支援を
7月17日古市橋駅前で安保法案衆院強行突破に抗議・安倍・自民党打倒呼びかけ
7月15日安保法案強行可決に抗議 さとうしゅういち緊急演説 広島駅新幹線口
6月29日広島市安佐南区古市橋駅前「海外派兵するなら総理から前線へ」「海外派兵より被災者支援」
6月22日広島市東区広島駅新幹線口「海外派兵するなら総理から前線へ」
5月20日 広島市東区広島駅新幹線口 「爆心地出身・岸田外相はイランとの戦争後押しではなく仲立ち外交を」
5月7日 東区広島駅新幹線口街頭演説「家や球場でカープのプレイボールを見られる日本」「お年寄りに長生きを嘆かせない」
5月1日 中区県庁前メーデー街頭演説
統一地方選挙2015関連
2015年4月2日安芸郡府中町・さとうしゅういち街頭演説 「若者が希望を持てる世界こそテロ撲滅の道」
2015年4月2日 さとうしゅういち街頭演説 府中町庶民増税より格差是正・残業代ゼロではなくカープを家で楽しめる社会を
https://www.youtube.com/watch?v=xu1DCKuRDPc
2015年4月2日さとうしゅういち街頭演説安芸郡府中町 河辺たかふみ広島市長・中原ひろみ市議・つくだ守生県議で誰もが置きざりにされない広島を
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さとうしゅういちネット 代表者 佐藤周一
by hiroseto2004
| 2016-01-04 23:19
| ジェンダー・人権(反貧困)
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