ベローチェ「4年雇い止め」事件 本日和解【東京高裁】
2016年 02月 16日
1、2016年2月16日、東京高等裁判所民事第5部において、「カフェ・ベローチェ」を運営する株式会社シャノアールが、同千葉店で足かけ9年にわたって、アルバイトとして勤務してきた女性労働者(控訴人)を、雇止めした事件において、和解が成立した。
2、裁判上の和解の内容に従い、和解の内容を下記のとおり発表する。
記
(1)控訴人(首都圏青年ユニオン組合員)と被控訴人(株式会社シャノアール)は、東京高等裁判所平成27年(ネ)第4699号地位確認等請求控訴事件について、平成28年2月16日、裁判所の和解勧告に基づき和解した。
(2)本件和解の骨子は以下のとおりである。
①控訴人と被控訴人は、本件紛争が円満に解決したことを相互に確認し、以後相互に相手方を非難する言動及び相手側の社会的信用を損なう行動を行わないことを確認する。
②控訴人と被控訴人は、控訴人と被控訴人との間の労働契約は平成25年6月15日の満了を持って終了していることを相互に確認する。
③被控訴人は、控訴人に対して、解決金を支払う。
3、今般の和解は、控訴人が理不尽に職を奪われたのち、地裁判決で不利な立場に立たされた控訴人と組合にとって、高裁の裁判官が、原審の判断に疑問を呈したうえで提案した内容を元に進められた和解協議の末得られたものである。内容的にも、解決金が得られたこと等から、組合は、勝利和解と評価している。
一審の東京地裁では、不当判決でした。
「カフェ・ベローチェ雇止め事件」不当判決に対する声明
2015年7月31日
首都圏青年ユニオン
同 顧問弁護団
1 本日、東京地方裁判所民事第19部(吉田光寿裁判官)は、「カフェ・ベローチェ」を運営する株式会社シャノアールが、同千葉店で4年11ヶ月もの間アルバイトとして勤務してきた女性労働者(原告)を雇止めした事件において、同社に対する地位確認請求、慰謝料請求をいずれも否定する極めて不当な判決を言い渡した。
2 本件の原告は、長年貢献してきた被告から、モノのように扱われ簡単に辞めさせられたこと、年齢を重ねた女性を鮮度が落ちたと評され、人として尊厳を奪われたことに深く傷つき、本訴訟を提起した。
本訴訟において、我々は、①原告が「時間帯責任者」としてアルバイト従業員の中でも店舗の中心的な役割を担ってきたこと、店舗に1名しかいない正社員の店長と同様の業務を行ってきたこと、契約更新の手続が形骸化していたこと等から、労働契約法第19条1号又は2号が適用される、②本件雇止めは、労働契約法第18条に定められた「無期転換ルール」を回避するための脱法的雇止めであって違法である、③本件雇止めに先立ち、会社の交渉担当者は、「従業員は定期的に入れ替わって若返った方がいい」「うちの会社ではこれを『鮮度』と呼んでいる」との趣旨の発言を行い、原告に多大な精神的苦痛を与えた、④被告の交渉担当者は、首都圏青年ユニオンとの間で、原告ら組合員については雇用継続させる旨の合意をしたにもかかわらず、これを一方的に破棄し、原告に多大な精神的苦痛を与えたと主張した。
3 原告の雇用期間が4年11ヶ月、契約更新回数が19回(一旦退職する前も含めると、雇用期間は約8年6ヶ月、契約更新回数は33回)に及ぶことに争いはない。
そして、本訴訟を通じて、原告は「時間帯責任者」として、店舗の中心的業務である接客販売業務を店長と全く変わらない形で行い、形式的には店長が行うこととされている管理業務も一定範囲で権限を委ねられてきたこと、契約更新に際して面接などはほとんど行われておらず、更新手続は形骸化していたことなどが明らかとなった。また、被告の交渉担当者が、交渉過程において、原告らを指して「鮮度」という言葉を用いたこと、労働組合との協議の席で原告らにつき雇用を継続することを言明したにも関わらずこれを反故にしたことも明らかとなった。
したがって、我々は、裁判所が原告の地位確認請求及び慰謝料請求をいずれも認容する判決を言い渡すことを確信していた。
4 ところが、本判決は、原告の雇用期間・契約更新回数、業務内容の恒常性については原告の主張を認めたものの、正社員との同一性を認めず、かつ、契約更新手続の厳格さ、雇用継続を期待させる言動について原告が主張するところを認めず、労働契約法第19条1号・2号の適用を否定し、本件雇止めは有効であるとした。また、被告の交渉担当者による「鮮度」発言についても、相当性を欠くきらいはあるとはするものの、交渉の際の一部の言動をとらえて不法行為の成否を判断すべきではない、人格を傷つける意図があったことを認めるに足りる証拠がないなどとして、違法な発言とまでは評価できないと不法行為責任を否定した。
しかし、原判決の上記認定は、裁判官の事実認定として多数の誤りを含むものである。一例をあげれば、事実認定では、小和田部長は期間を定めた雇用の延長を考えていた旨を述べるが、小和田部長が、無期限に契約更新を認める旨を組合に言明して、組合がその内容の合意書案まで作成して被告に送付した事実、被告が上記言明を反故にしたため組合との交渉において小和田部長が謝罪をしている事実は、音声録音や合意書案等の客観的証拠や、小和田部長自身の証言から明らかである。
また、本判決は、裁判官の思い込みによって認定されている面がある。一例をあげれば、契約更新の際の手続きの厳格さについて、本判決は、店長がアルバイトと契約更新に関して面談をしていたか否かについて、「アルバイトの能力・技量は、店舗の業績に直結する重大事項であるから指導のための面談に必要な時間を費やすことは当然行われてしかるべき」などと述べて、面談など行われなかったとする原告の主張を排斥して認定している。
さらに、本判決は、原告の勤務日数の多寡やそれが労働契約の本旨にかなった就業であるか否かを述べて雇い止めに合理性を肯定しているが、この点は本訴訟において全く争点になっていなかったのであり、原告にとって「不意打ち」以外のなにものでもない。
このように、本判決は、形式的には労働契約法第19条1号・2号の要件の検討をした形を整えているが、思い込みなどに基づき誤った認定をしたものになっている。これは、就労日数の少ないアルバイトの雇用は保障されなくとも構わないとの独自の価値観に立って、自らが考える結論に適合的な証拠のみを引用し、それと抵触する事実と証拠については一切無視して、同条号の適用を否定した判断である。本判決は、吉田光寿裁判官独自の法解釈によるもので、法的安定性を著しく害するものである。
被告の交渉担当者による「鮮度」発言や雇用継続の合意の反故につき不法行為責任を否定した点についても、文脈や経緯はどうであれ、原告の人格や存在そのものを侮蔑するものであり、法的に違法とまでは評価できないとの判断は、著しく公平さを欠く判断と言わざるを得ない。
本判決は、被告の組織的かつ脱法的な雇止めを容認し、原告の権利を踏みにじるものであり、極めて不当な判決である。
5 本判決が、労働契約法第19条1号・2号の適用を否定した理由に原告の過少な勤務日数を挙げていることからして、吉田光寿裁判官が、学生アルバイト等のアルバイト従業員の雇用を法的に保護する必要性は乏しいとの判断を前提に、本件判決をしたことは明らかである。
しかし、昨今の雇用環境の悪化や急激な貧困化に伴い、学生にとってのアルバイトは、生活と学業を維持するための不可欠なものとなっていることを無視してはならない。例え勤務日数が少なくとも、生活の糧である当該仕事を継続することに対する期待は、フルタイムの非正規労働者と何ら異なることはないのである。
本判決は、かかる学生アルバイトが置かれた状況を全く鑑みないものであり、その意味でも不当極まりないものである。
首都圏青年ユニオン及び同顧問弁護団は、不当な雇止めと人間の尊厳を奪うことを容認した本判決を断固として糾弾し、労働者の権利を守るため、今後も徹底的にたたかい抜く決意である。
以上
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一審の東京地裁では、不当判決でした。
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2015年7月31日 首都圏青年ユニオン |
1 本日、東京地方裁判所民事第19部(吉田光寿裁判官)は、「カフェ・ベローチェ」を運営する株式会社シャノアールが、同千葉店で4年11ヶ月もの間アルバイトとして勤務してきた女性労働者(原告)を雇止めした事件において、同社に対する地位確認請求、慰謝料請求をいずれも否定する極めて不当な判決を言い渡した。
2 本件の原告は、長年貢献してきた被告から、モノのように扱われ簡単に辞めさせられたこと、年齢を重ねた女性を鮮度が落ちたと評され、人として尊厳を奪われたことに深く傷つき、本訴訟を提起した。
3 原告の雇用期間が4年11ヶ月、契約更新回数が19回(一旦退職する前も含めると、雇用期間は約8年6ヶ月、契約更新回数は33回)に及ぶことに争いはない。
4 ところが、本判決は、原告の雇用期間・契約更新回数、業務内容の恒常性については原告の主張を認めたものの、正社員との同一性を認めず、かつ、契約更新手続の厳格さ、雇用継続を期待させる言動について原告が主張するところを認めず、労働契約法第19条1号・2号の適用を否定し、本件雇止めは有効であるとした。また、被告の交渉担当者による「鮮度」発言についても、相当性を欠くきらいはあるとはするものの、交渉の際の一部の言動をとらえて不法行為の成否を判断すべきではない、人格を傷つける意図があったことを認めるに足りる証拠がないなどとして、違法な発言とまでは評価できないと不法行為責任を否定した。
5 本判決が、労働契約法第19条1号・2号の適用を否定した理由に原告の過少な勤務日数を挙げていることからして、吉田光寿裁判官が、学生アルバイト等のアルバイト従業員の雇用を法的に保護する必要性は乏しいとの判断を前提に、本件判決をしたことは明らかである。
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