熊本 南阿蘇村の避難所でノロウイルス集団感染か
2016年 04月 23日
熊本 南阿蘇村の避難所でノロウイルス集団感染か
一連の地震で大きな被害を受けた熊本県南阿蘇村の避難所で、21日以降、28人が下痢やおう吐の症状を訴え、患者1人からノロウイルスが検出されました。村は集団感染とみて調べています。
南阿蘇村によりますと、避難所となっている村立南阿蘇中学校の体育館で、21日以降、避難者の中から下痢やおう吐などの症状を訴える人が相次ぎ、22日までに男女合わせて28人に上ったということです。
このうち17人は病院に運ばれ、一部の人は入院したということです。
また、ほかの11人は中学校にある別の場所で手当てを受けているということです。
村などによりますと病院に運ばれた患者1人からノロウイルスが検出されたということで、村では集団感染とみて調べています。
村などによりますと、この体育館には23日朝の時点でおよそ500人が避難していますが、今も断水が続き、トイレなどはバケツにためおいた水を使っているということです。
村と、避難所に常駐している医療支援のチームは、ほかに症状を訴える人がいないか確認するとともに、トイレなどの消毒を行っているということです。
村内で最も多い約500人が避難
南阿蘇村の「南阿蘇中学校」は、23日朝の時点で村内に設けられた避難所の中で最も多いおよそ500人が避難しています。
この避難所で活動している日本赤十字社の医療支援のチームによりますと、21日から下痢やおう吐などの症状を訴える人が相次ぎ、症状が比較的、重い人は病院に搬送し、それ以外の人は避難所の体育館の隣にある別の体育館の一室で手当てを受けているということです。
避難所は今も断水が続いていて、トイレのあとはバケツにくみおいた水を自分で流すことになっています。
また、トイレも避難所も土足のまま行き来するようになっているということです。
大阪府にある高槻赤十字病院の岡本文雄医師は、「おとといから急に患者が増え、別の建物に治療を行うための部屋を用意した。衛生面が非常に悪いが、できるだけ消毒を行うよう心がけ、症状がある人は早めに声をかけてほしい」と話しています。
ノロウイルスとは
ノロウイルスに感染すると激しいおう吐や下痢を起こし、特に、小さな子どもやお年寄りは脱水症状を起こして重症化したり、吐いたものをのどに詰まらせて死亡したりするおそれがあります。
避難所では衛生状態が悪くなっている場合もあり、大勢の人が集団生活をしていることや、疲労やストレスから抵抗力が落ちた人も多いことから、感染が広がらないよう注意が必要です。
ノロウイルスは感染力が非常に強く、患者のおう吐物や便など、ウイルスに汚染された物に触れた手などを介して口から感染します。
ワクチンや特別な治療薬はなく、感染を防ぐにはこまめに、かつ丁寧に手を洗う必要があります。
おう吐物や便を処理する際にはマスクや手袋をして慎重に拭き取り、塩素系の漂白剤などを使って周りを十分に消毒する必要があります。
アルコールによる消毒は効果がはっきりと分かっていませんが、おう吐物を処理したあとなどの補助的な対策になるとされています。
せっけん使い流水で手洗いを
避難所でのノロウイルスの予防について感染症対策に詳しい岩手医科大学の櫻井滋教授は、「予防にはせっけんを使って流水で手洗いをするのが最も望ましいため、避難所でも生活用水の復旧を急ぐ必要がある。患者とほかの避難者と生活の場所を分け、飲用水に余裕がある場合には飲用水を使ってでも手洗いをしたほうがいい」と話しています。
また、排せつ物やおう吐物などの処理について、櫻井教授は「処理する際に使った布や紙などは、すぐに袋に入れて手を触れないように注意する必要がある。消毒は塩素系の漂白剤などで行うが、漂白剤を使う際はしっかりと換気をしながら、直接、肌に触れないように気をつけてほしい」と話しています。