格差是正なき欧州統合という無理
2016年 06月 27日
ギリシャ国民が昨年、一時、EU離脱に繋がりかねない決断をしました。すなわち、後にチプラス首相により事実上無視されましたが、EUによる緊縮財政強制を国民投票で拒否という結果を出した。
そして今年はイギリス国民がEUから脱退することを決めました。
実は簡単な話で、経済格差がある複数の国が同じ経済圏でやるつもりなら、経済格差の是正をキチンとやらないと維持不能です。
経済的に弱い側(ギリシャ等の南欧なり、イギリスの低所得者層なり)の不満が爆発してしまうのです。
経済的に豊かなフランスやドイツが緊縮財政を主導する。
その上でドイツが先頭になって移民をガンガン受け入れるというのだから、不満の爆発は当然だ。
別に、そこまで排外的ではない「普通の人」でも暮らしがたち行かないとなったらそりゃ怒りますよ。
EUが崩壊したら経済的に混乱すると言われても「どうせEUでは庶民はいいことはない」と反論されたらそれまでです。
また、イギリス国民投票やアメリカのトランプ現象などを「右傾化」だとする議論もあるが、「右傾化」という表現には少し違和感があります。
そもそも、EU等のポストモダンなものを進めてきた側が、格差是正なり、社会的公正なりに無頓着だったのが問題です。
EU等のポストモダンなものを進めてきた側がポストモダンに酔いしれ、社会的弱者に目を配ってこなかったイメージが人々の脳ににこびりついてしまっている。
実はそうした現象が日本でもあり、「金丸・竹下に代表されるように政治は腐っていたけれど、1980年代の『訳もなく元気だった時代』(YモバイルCM)をトリモロシテ」くれそうな安倍晋三さんに熱狂的ではないが底固い一定の人気がある訳です。
野党や安倍晋三さんに批判的な市民は悲憤慷慨していても仕方がない。