ATTACヨーロッパ・ネットワーク声明〜「EUがより良いヨーロッパの一部になれないのなら、一掃されるだろう!」
2016年 06月 29日
金融取引税の実現を目指す市民団体・ATTAC欧州ネットワークが以下の声明を出しています。
本社社主も同感です。
EUなど、1990年代以降のポストモダンを象徴するものが、あまりにも社会的弱者を置き去りしてきたのは明らかです。
日本においてもそれはひどかった。
そのことへの憤激や憂慮が幅広い市民から起きるのも当然です。
だが、ポストモダンへの反発の勢い余って、ポストモダンが一定程度確立してきた多様性の尊重などがないがしろにされるならゆゆしきことです。
日本の場合には、1990年代後半くらいから2000年代にかけての長いデフレ時代への反感の勢い余って、「金丸・竹下」に象徴される1980年代を懐古する流れも強まっています。そのことが、小泉人気ほど熱狂的ではないにせよ、安倍政権を底堅く支えているのも事実ではないでしょうか?別に安倍総理の海外派兵路線が支持されているわけではなく、「腐っているかもしれないが、安倍政治は金丸・竹下のように飯を食わせてくれるのではないか?」という期待が幅広い年齢層にあるということです。
日本でも欧州でもアメリカでも、今必要なことは、偏狭な排外主義に陥らないように留意しつつ、格差是正をしっかりとやっていく。そのことに尽きるのではないでしょうか?
EUがより良いヨーロッパの一部になれないのなら、一掃されるだろう!
ヨーロッパ連合を離脱するというイギリスの決定は、ヨーロッパの指導者たちへの警告である。われわれは、大企業の利益のために行動する非民主的機構に指図されるのにうんざりしてきた。われわれは、ヨーロッパ民衆の生活を金融市場の意思によって決められるのに飽き飽きしている。
EU機構がヨーロッパ民衆の民主的要求に応えられなかったことによって、EUの歴史上かつてなかった危機が起きている。もしEUが根本的かつすぐに変わらないのであれば、崩壊してしまうだろう。
われわれがより憂慮するのは、イギリス民衆の不満と決定を尊重する一方で、EUからの離脱キャンペーンが偽りの情報、恐怖、レイシズム、そして暴力さえも用いられたことに特徴付けられていたことである。これはヨーロッパ各国の選挙における極右の台頭やヨーロッパ国境での難民・移民に対する暴力を思わせるものだ。われわれは極右がイギリスのEU離脱に便乗することを恐れる。
それゆえに、国際主義、民主主義、平等という非常に異なった価値観を持つわれわれが今まさに行動することが急務なのである。われわれはヨーロッパ民衆の怒りを理解する。悲惨な緊縮政策、侵食される民主主義、破壊される公共サービスによって、ヨーロッパは1%の(富裕層の)ための活動領域に変わってしまった。これは移民の責任ではなく、金融・大企業ロビーとそれに付き従う政治家の責任である。
われわれは、われわれの経済、われわれの社会、われわれの生活のコントロールを取り戻すため、ヨーロッパ中の草の根運動とともに活動することに真剣に取り組む。われわれは、EUがより公正で、より持続可能な大陸を創ろうとするこれらの努力を支援するため、ヨーロッパ民衆を代表できるよう自らの組織を根本的に民主化することを要求する。われわれはさらに、EUがTTIP交渉やその他の非民主的な貿易協定の交渉をやめること、金融システムをコントロールして企業の力を抑制すること、移民を敬意と尊厳を持って扱うこと、民主的に管理される公共サービスの創出を支援すること、今後10年間でゼロ排出を実現するために行動すること、緊縮政策をやめることを要求する。
われわれはまた、イギリスでより良い国のために闘っている人々やレイシズムと極右に反対して闘っている人々を支持する。より良いイギリスはより良いヨーロッパを励ますことができる。
もうひとつのヨーロッパは可能だ。もしEUがより良いヨーロッパの一部になれないのなら、一掃されるだろう!
by hiroseto2004
| 2016-06-29 22:53
| 国際情勢
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