「脱原発へ!中電(中国電力)株主行動の会」からの株主総会報告
2016年 06月 30日
今年の中国電力第92回株主総会(2016年6月28日、火曜日)今年も、上関町の反対派の人たちが、総会に合わせて中電前で「上関原発白紙撤回」の抗議行動をされ。それに後押しされ総会中での奮闘ができたのです。10時開始の総会に、広島の市民グループがチラシを配布、情宣をして、上関からくる人たちを待った。9時30分にバス1台で到着、事前集会で避難引き受けのある自治体との安全協定締結、原子力の完全撤退を求めていくとの考えを表明し、株主の会の16名は総会会場に入った。電力自由化になって初めての株主総会なので、マスコミの取材は歩道一杯に並んだ注目のものとなった。
11時20分には、上関の人たちは、公有水面の7回目の中電からの回答、工事着手とみせかけた2010年10月から2019年7月まで3回目の1年1か月の延長申請に対して、山口県庁に不許可にするよう申し入れをするため広島を後にした。
総会は10時から始まり、かなり空席がめだった。今年4月に急きょ新社長となった清水希茂社長が議長として登壇し、毎年詳しく行われる決算報告は収益のみを報告し、早いテンポで進むように感じた。報告事項が20分、株主の会から出していた事前質問の回答が35分、10時55分から会場からの質問を受けて答える時間になった。会場から10人程度が発言を許され、昨年よりは少なかったようだ。その後、会社提案6議案、株主の会から6議案の審議に入って、3時間5分の総会を終えた。これは、昨年よりは10分長い総会になった。株主の会から審議に、補強意見や反対の意見をだしたので、時間を費やし、議長は早く終わらせる思惑だったが、変更せざるを得なかった。
株主の会では、96人、72300株の賛同協力を得て、6つの議案をした。
第7号議案=原発事故時避難者受け入れ自治体との安全協定を結ぶ
第8号議案= 原子力発電からの完全撤退
第9号議案=原発の再稼働は行わない
第10号議案=出資の停止(日本原燃株式会社と日本原子力発電株式会社)
第11号議案=再生可能エネルギー発電へのシフト
第12号議案= 清水希茂(しみず まれしげ)取締役社長を解任
提案内容、理由の詳細は、中国電力から招集通知がインターネットで開示できます。
中国電力 IR企業情報・ 株主総会の株主総会招集通知
http://www.energia.co.jp/ir/pdf/tsuuchi92.pdf
島根原発2号機の再稼働に向けて「新規制基準適合審査」が、2013年12月に提出され2年以上が過ぎ、適合審査は76回(2016年5月末現在)になっている。原発から南2kmのところに東西に走る宍道断層を西に3km延長し、総延長25kmにし、基準地振動の600ガルを800ガルにして、検討し直すことにしたがもっと長くなる可能性。原子力規制委員会の適合審査で耐震需要度をBクラスからクラスに引き下げたこと(これは、規制委員会委員から厳しく反論され、原発を運転する資格はないともいわれたもの)。30km圏内自治体との安全協定を結ぶこと。など再稼働の重大な欠陥を問うても、検討して再稼働にむけて進めますと受け取れる答えるのみだった。
34年間建設の進まない上関原発計画自体がもう無理。4800万円訴訟は取り下げるべき。公有水面埋め立て免許の期限を、再々延長して2019年7月まで山口県に要請したこと。上関町の町道を改修して町に寄付する行為。上関原子力立地プロジェクト長に、かって、現地工事で反対派の人に負傷を負わせて起訴されている人物が就任していること。などを追及し、「計画の白紙撤回」を求めた。しかし、回答は2030年のエネルギーミックス20~22%の達成で廃炉原発を考えると、上関は重要な電源で進めると原発堅持の姿勢を示した。
原発立地県島根県は隣県の岡山、広島に避難受け入れを要請し、両県とも受け入れを合意した。受け入れる各自治体とも再稼働の可否を決める協定を結ぶようにと提案した議案は、「災害対策法」で自治体が策定するものとして、電力会社の関与はしない。ましてや、事故の発生責任を取ることも表明しなかった。やられ損、事故など起こっても何もしなくてもいいのだという姿勢が見えた。
原発からの完全撤退の議案に、広島で被爆した株主から、家族が家の下敷きになり、かろうじて逃げて助かった姉が、見る見るうちに皮膚の形が変わり、JCO事故で人間とは思えない姿に変身していく様と重なっていき、原爆と原発は同じもの、止めて行ってほしいとの訴え。福島から金沢に避難した人の手記を代弁した場面では、動員株主から、「長い」「関係ない」「議事進行:」との怒号似た掛け声があり、悲しく悔しい思いをした。
その他にも、総会屋もどきの人が、「上関は止めるべき」と言いながら、長いぞ、止めいとのヤジを飛ばす場面もあり、福島のことはこの世界では忘れられ、邪魔になる事象として考えられようとしてきているのだと福島事故から5年の株主総会であった。
会社はコンプライアンス優先(法令順守)と経営の再目標にしてやると言いながら、これとて掛け声のみ。俣野ダムデータ改ざん、511カ所原発点検もれミス、今回の低レベル放射性廃棄物モルタル充てんの流量計の偽造と、不正・偽造・隠ぺいを繰り返す会社である。口だけでなだめすかす姿勢に悲しく、情けなかった。
総会の後、広島県の尾道市議会が「四国電力伊方原発の再稼働中止」「「九州電力川内原発停止を求める意見書採択」を求める請願を採択したというニュースが入ってきた。良識が通ったことに請願をかけたグループの運動に、とてもうれしかっし感激した。