日本の一部反体制言論と新自由主義との親和性
2016年 06月 30日
EU離脱のイギリス国民投票を巡る日本国内の論調、特に反体制リベラル論壇で、違和感を覚えたのが、EUの新自由主義への批判が弱く、離脱派=右翼というレッテル張りが目立ったことです。
イギリスの今の特に若者が置かれた状況が移民のせいかといえばそうではなく、サッチャー以来の新自由主義のせいであるのはあきらかでしょう。それを、離脱派が何か、移民のせいにしてしまうのは焦点ずらしです。
しかし、EUの新自由主義への警戒感が庶民ほど根強くあるのも事実でしょう。
問題は新自由主義である。しかるに、新自由主義への批判が弱いのが日本の一部反体制言論の弱点でしょう。
逆に言えばそうした点が、(特に日本共産党を除く)一部反体制言論の弱点ではないでしょうか?
そこを安倍晋三さんに上手く突かれています。まるで1980年代の金丸・竹下を彷彿とさせるアベノミクスが一定の人気がある状況を招いています。
「新自由主義でデフレが続いた1990年代から民主党政権くらいの時代に後戻りしない。」
「1980年代を取り戻す。」
そんな雰囲気を安倍自民は一定程度醸しだし、浸透させているのです。
「1980年代、訳もなく元気だった」という大手通信会社のCMはそんな時代の雰囲気を感じ取っているのです。
他方で、大都市の反体制のインテリの少なくない部分が政府批判や既成政党・既存組織批判が高じて、「公務員批判」「自治労打倒」のおおさか維新に流れています。
そういう人たちは、1980年代だったら、「国労打倒」を叫びながら、一方で選挙では「反自民」の観点から日本社会党に投票するという一見矛盾した行動を取っていたともいえます。
まとめると、1990年代から2000年代にかけて、新自由主義とセットで主流を占めたポストモダンへの憎悪の勢い余って、憲法や民主主義を壊す気満々の自民党を支持してしまう。自民党の金丸・竹下的な政策(大手企業や地方有力者向け限定とはいえ、バラマキ財政ではある)を理由に支持する人が少なくないのです。
他方で、昔は社会党に入れていたような体制批判的な人たちの一部がおおさか維新に流れている実情が特に近畿ではあります。
こうしたことを頭に置き、野党連合はしっかり格差是正策を残りの選挙期間で前面に出していくべきです。
「1980年代(金丸・竹下)を取り戻す」安倍でもなければ「自治労打倒!」のおおさか維新でもない。第三の道を示すことが大事です。