日本左翼は(教条的な)脱経済成長主義・血債主義と距離を置き、「格差是正」に正面から取り組むとき
2016年 08月 28日
日本の左翼・リベラルは、いまこそ、(教条的な)脱経済成長主義・血債主義と距離を置き、「格差是正」に正面から取り組むべきです。
日本共産党以外の左翼・リベラル、特に市民派の多くが信奉する「脱経済成長主義」は、新自由主義者に悪用されてしまったと思います。
主要国ではひとり日本だけが、1990年代半ば以降、GDPは横ばいです。中国のような成長期にある国だけでなく、EUやアメリカでさえも成長しているのに、日本だけが低迷していたのです。
逆に言えば、日本は、「伸びしろ」があったのに、その伸びしろをを活かしていたとは言いがたい状態があった。
その責任の多くは、自民党政権にありました。
しかし、左派・リベラル派の多くが、脱経済成長主義を唱えたため、結果として「伸びしろをいかせない」自民党政権の罪を放免してしまったのです。
「伸びしろ」は具体的には、エネルギー革命(再生可能エネルギー、分散型エネルギー)、そして格差是正(庶民への再分配を強めた方が消費は伸びる)にあります。
金丸信らに代表される古い自民党が行ってきたハコモノ優先主義。安倍総理も復活させていますが、これは時代遅れです。
しかし、他方で、「脱成長主義」は、勢い余って、ただただひたすら緊縮財政でデフレをもたらした小泉純一郎さんや、その後継者である橋下徹さんがバカ受けしてしまった。
そして、その反動で、旧態依然とした自民党=ハコモノで景気回復=の安倍総理が復権することになってしまったのです。
その背景には、第一に、1990年代の左派・リベラルが格差是正よりも、情報公開やジェンダー、環境などに力点を置いていたことはあるでしょう。
それらの課題ももちろん大事です。しかし、格差是正=階級闘争を軽視したことが重大な後遺症を現在に残しているのです。
そして、もうひとつの「血債主義」は「日本は戦争の加害者だ。加害国日本の労働者は堕落している」との趣旨で、「戦争の加害者である」ことを強調することの勢い余って、日本国内の格差是正から逃げるという動きでした。これは、一部の特に急進的な左翼の運動に困難をもたらしました。
先の大戦についてはきちんと総括した上で、今後、戦争を再びさせないとともに、国内の格差是正もきちんと取り組む。
単純にそれでいいのです。
しかし「血債主義」は、わざわざ、日本国内の労働者の多数を上から目線で罵倒し、左派運動に困難を作り出しているのです。
本社社主はこうした教条的な「脱経済成長主義」および「血債主義」からは距離を置きます。
前者については「いまの日本ではその時期ではない」からです。後者については「格差是正に取り組まない口実」になっているからです。
by hiroseto2004
| 2016-08-28 18:47
| 思想・哲学
|
Trackback