豊洲新市場、TKO負け。
2016年 09月 12日
豊洲市場 盛り土せず
土壌汚染対策 主な建物
共産党都議団調査で判明
東京都が築地市場の移転先としている豊洲新市場で、土壌汚染対策として厚さ4・5メートルの盛り土を全面にわたって行う予定が、主な建物の地下の地盤で行われていなかったことが明らかになりました。日本共産党都議団(吉田信夫団長、17人)が7日の現地調査で確認したものです。
豊洲新市場予定地は1988年まで東京ガス工場が操業し、環境基準の4万3000倍の発がん性物質ベンゼンや、猛毒のシアン化合物、ヒ素などで汚染されていたことが発覚。都民の移転反対の声が高まりました。都の専門家会議は2008年、移転を前提に工場操業当時の地盤面から深さ2メートルにわたり土を掘り下げ、厚さ4・5メートルの盛り土を行う「土壌汚染対策」を提言しました。
ところが、党都議団の調査では、新市場の建物の下で4・5メートルの盛り土が行われておらず、深さ5メートルの地下空間となり、底面には砕石層や薄いコンクリートが敷設され、地下水がたまっていました。
豊洲新市場では建物内の大気中からもベンゼンが検出。整備費も5884億円と当初の見通しから大幅に膨れ上がり、市場の業者からは施設の使い勝手が悪いとの指摘も出されています。小池百合子知事は8月、新市場を11月7日に開場する計画を延期すると発表しました。
小池都知事「改めて検証」
東京都の小池百合子知事は10日、豊洲新市場予定地で土壌汚染対策として行う予定だった厚さ4・5メートルの盛り土が行われていなかった問題について、都庁で臨時の記者会見を開き、事実を認め、改めて検証を行うと表明しました。
小池知事は盛り土の予定について「(建物下の)全てが(土壌を)入れ替えた上で盛り土されているというのは、現状では正しくない。訂正させていただきたい」と事実を認めました。
2008年に盛り土などの土壌汚染対策を提言した専門家会議の委員や、知事が設置するプロジェクトチームで対策の妥当性について検証する意向を明らかにしました。
再掲
築地市場の11月豊洲移転計画の抜本的再検討を求める申し入れ
東京都知事 小池百合子殿
2016年8月10日
日本共産党東京都議会議員団
築地市場の11月豊洲移転計画の抜本的再検討を求める申し入れ
舛添前知事は、築地市場の業務を今年11月2日で終了し、豊洲新市場を11月7日に開場することを決定しています。しかし、多くの都民や市場関係者から、この決定の撤回や再検討を求める声があがっています。築地市場の水産仲卸業者は過半数が、11月7日移転の撤回を求め、農林水産省等に要請しています。
撤回・再検討が求められる理由の第一は、土壌汚染対策が、きわめて不十分なことです。東京都は石原都政のもとで、東京ガスの工場跡地を新市場用地として購入しましたが、発がん性物質のベンゼンが環境基準の43000倍、猛毒のシアン化合物が環境基準の860倍という国内最大規模の土壌汚染が明らかになったにもかかわらず、一部の「専門家」の見解をよりどころにして、調査も対策工事も不十分なまま、移転計画を強引に推し進めてきました。
実際に、今年4月から5月にかけて東京都が新市場施設内でおこなった空気中の汚染物質の測定結果によれば、青果棟、水産仲卸棟、水産卸棟の建物内で発がん性物質のベンゼンが検出されています。なかでも青果棟では環境基準の6割余にあたるベンゼンが検出されました。
市場として最も重要な食の安全・安心の確保はもちろん、市場で働く人たちへの健康被害を危ぐする声も、専門家からあがっています。基準値内だから問題ないと言って見過ごすことは許されません。欠陥が指摘されてきた土壌汚染対策工事との関係をはじめ、新市場建物内の空気中でベンゼンが検出された根本原因について徹底した究明と検証が不可欠です。
第二の理由は、豊洲新市場の建物の欠陥等が、明らかになっていることです。たとえば水産棟の床の耐荷重不足が指摘されているにもかかわらず、東京都は問題ないというだけで、工事発注時の仕様書も、実際に耐荷重性能がどのように確保されているかの資料も公開していません。
ほかにも、仲卸店舗が狭すぎてまぐろを切れない、築地市場と違い高層化されているため上下階の移動に時間やコストがかかるなどなどの問題がつぎつぎ浮かび上がっています。にもかかわらず、これらの諸問題の解決策が示されず、関係者との合意が形成されていません。
小池知事は、都知事選挙において、築地市場の豊洲への移転については「いったん立ち止まる」と公約し、就任後もその立場で対応することを表明しました。この公約は、きわめて重いものです。
日本共産党都議団は、小池知事が、11月7日の豊洲移転に反対する市場関係者、都民団体、専門家の意見を十分に聞いて、文字どおり「いったん立ち止ま」り、抜本的再検討をおこなうこと、そのためにも、8月中にも予定されている農林水産省への開場の認可申請を見合わせることを、つよく求めるものです。
以上