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by hiroseto2004

「人権派」がリベラル世論をまとめきれなかった米日の選挙結果

「人権派」がリベラル世論をまとめきれなかった米日の選挙結果

今回のアメリカ大統領選挙でトランプが勝った原因は、確かに白人男性の下位所得者から多くの支持を集めたというのはある。
だが、もともと、白人男性は共和党の基盤です。民主党支持者であってもいわゆる「ブルードッグ」(保守的な民主党支持者)が少なくなく、潜在的には、トランプのような候補に流れてもおかしくはなかった。
ただ、「それだけ」では、説明が出来ない。

以下の五十嵐記者のツイッターを読みました。

https://twitter.com/dai_igarashi/status/796498693088309248…

大統領選の一夜明けたホワイトハウス前。結果に呆然としたかつてのサンダース支持者の若者たちが集まって、トランプ氏に抗議していました。それでも一人の若者は「トランプ支持者の気持ちもわかる。この国ではエスタブリッシュメントが一部の人の恩恵になって、他の人には有害になっている」






「リベラルなインテリの若者」層でクリントンが勝ちきれなかったということもデカいのではないかと思います。接戦で勝敗が大きく動く選挙方式ですので、なおさらです。

いわゆるポストモダン時代の中核を担った世代のリベラルの方(60代くらい)だと、「ポリティカルコレクトネス」を徹底重視する傾向が強く、その意味では、トランプは絶対に許せない、ということになる。そして、リベラル票もまとまるだろうという読みになるでしょう。

ところが、日米ともに今の40歳以下くらいだと、表面的にはそうはいっても男女平等も浸透しているように思えてしまう。リベラルな考えのインテリの若者は日米ともに実は少なくはない。ただし、主要関心は、貧困撲滅なり、脱原発・脱被曝なり、反安保法などの部分であって、細かいポリティカルコレクトネスまでは注意を払わない傾向を感じます。

逆に年配者に対して苦言になりますが、「あなた方は格差是正(昔で言う階級闘争)からジェンダーや環境、情報公開などへ逃げ込んだ面もあったのではないか?」という問いかけも出来ます。

それから、若手にとっては、いわゆる既存の思想と言えば、「相対主義」も含むポストモダン思想です。従って、相対主義の影響で、以下のような感覚を持つのではないか?

「クリントンだって、「人権を訴えつつも、実際は国内では格差拡大、海外では空爆しまくり」のポストモダン政治家の流れではないか?
トランプが良いと思っているわけではないが、クリントンも積極的にはプッシュできない。」

クリントンには、オバマのように、当時の新自由主義に対して社民主義色をぶち上げたような新鮮さもない。サンダースが大統領候補者なら、せめて副大統領候補者なら、オバマの良い部分をさらに深化させるイメージができたのだろうが。

トランプ当選に悲憤慷慨する気持ちは分かります。
しかし、年配リベラル層(の特に階級格差などの課題よりはポリティカルコレクトネスを重視する方々)も、若手の動向を考慮し、もうちょっと階級格差問題に本腰を入れて頂きたい。

これは、実は東京都知事選挙においても似た教訓があると思います。
鳥越俊太郎さんは、いわゆる年配の人権派の支持は厚かったが、他方で、2000年代前半のポストモダン最盛期に小泉純一郎さんを持ち上げたり、外資のアフラックの広告塔だった方です。彼の敗因もまた、クリントンと似た敗因ではないかとにらんでいます。


by hiroseto2004 | 2016-11-11 20:35 | 思想・哲学 | Trackback