あまりにも重すぎた「既成政党(組織)に天誅!」のツケ・・・2.26青年将校と現代団塊ジュニア一部活動家が「意図せずして」後押しした「破局」
2017年 05月 04日
■あまりにも重すぎた「既成政党(組織)に天誅!」のツケ・・・2.26青年将校と現代団塊ジュニア一部活動家が「意図せずして」後押しした「破局」
1936年の青年将校による2.26事件=「政党政治家と元老に天誅!」と2011年頃の団塊ジュニア世代を中心とする(左右問わない)活動家(以下「我々」と呼ぶ)による「既成政党(組織)に天誅!」は酷似している、と何度も申し上げてきました。
青年将校たちは、大まじめに
「国民と天皇の間に入り込んで悪さをしている(と彼らの主観で判断した)高橋是清ら既成政党政治家や、斉藤実、牧野伸顕(難は逃れたが)に天誅を加えれば、民主的な国が出来る」
と思い込み、行動を起こしたのです。
繰り返しになりますが、青年将校たちの「綱領」は極めて進歩的であり、治安維持法廃止や政治への男女参画など今日的にも重要なテーゼが盛り込まれています。
現代の青年将校たる「我々」の場合も、戦中世代の「平和主義」や団塊世代の「日本革命」ではなく「個人の尊重」を綱領としていた。これは、非正規雇用の増大の中で、公務員や正社員を前提とした社会保障や教育、住宅政策を見直し、大手企業正社員や正規公務員でなくとも「個人」が生活が保障される仕組みを模索していたということと同義である。
ところが、その思いに民主党など既成政党や、連合・自治労や電力総連などの既成労組、さらにはマスコミが応えていなかったのである(というのが当時の「我々」の解釈である)。
さて2.26事件の青年将校は、ところが、高橋や斉藤らに天誅を加えたが良いが、その後誰がどうするかというビジョンは全くなかった。真崎甚三郎大将を担ぐという向きもあったが、真崎は引き受けなかった。
現代の青年将校たる「我々」も、一部は橋下徹や渡辺嘉美を担いだし、わたし自身は橋下らを支持はしなかったが、橋下を担ぐ諸君の心情については「是」ではないが「了」としたのも事実である。
橋下を支持するある同年代の「とにかくまず壊すことが大事なんです」と目を輝かせて熱く語る姿は今でも目に焼き付いている。その言葉にとてもではないが裏があると思える状況ではなく、当人もそう信じ込んでいたと思わざるを得なかった。
くどいようだが、橋下徹の支持者がみんな右翼とか改憲派とか言うのは大嘘である。どちらかと言えば戦時中の青年将校に近い心情のリベラルがかなりいたのである。
橋下に期待しつつ小沢にも期待するとか、橋下も共産党も両方好きとか、橋下と緑の党両方に期待するとか、そういう人も結構いたのである。
それが勢い余って
「働かないオヤジの既得権益打倒!」
「自治労打倒!」
「民主党の**議員打倒!」
「マスゴミ打倒!」
「既成政党に挑戦状!」
「(年配既成団体幹部の)そんなやり方では(運動は)広がらない!」
こんな言葉が飛び交うようになっていったのである。
だが2011年の大阪ダブル選挙あたりからの政局の勝者は、2012年12月16日の衆院選で圧勝した自公の安倍晋三であった。
「我々」が天誅を加えた民主党や既存労組と、「我々」は共倒れという結果に終わったのである。
2.26事件後の政局でも、最終的に勝利したのは、青年将校ではなく、東條英機ら、後に日本を滅ぼすことになる「統制派」と言われる連中である。現代で言うとバブル世代くらいの世代に該当する連中である。正に東條英機は昭和の安倍晋三であり、稲田朋美なのである。
東條は対英米戦争を開戦し、安倍は対IS戦争に2014年8月8日、有志連合という形で参加してしまった。日本は72年~75年前の歴史をそのままなぞりつつある。
今は、「戦争中だけどまだ本土空襲が始まっていなくて、人々が戦争をまだ舐めまくっていた」1942年とか1943年とかあのあたりの感じなのだろう。
2020年に安倍がオリンピックと同時に改憲を施行すると言うが、ひょっとしたら、2020年は日本滅亡ではないかという嫌な思いがふと頭をよぎるのは、そういうこともあるからである。
「ひょっとしたら、『我々』があのとき、別の行動を取っていれば安倍は政権に返り咲かずに、別の展開はあったのではないか?」
という思いがないと言えば嘘になる。
しかし、そのときはそのときの判断である。
もちろん、年配の既成政党、既存団体幹部にも反省して頂きたい。
「そんなやり方で若者(といってももはや、日本の野党や市民運動の場合、50歳以下)に食い込めない」
「その理由は個人を尊重していないから、以上簡単。」
「連合なんかの場合は、大手正社員・正規公務員クラブだから、なかなか個人尊重にならない、以上簡単。」
というのは紛れもない事実だからである。
しかし、だからといって「我々」(75年後に繰り返し現れた)「青年将校」が、既成政党や既成団体幹部に「天誅!」を加えたからといって、事態がよくなるわけではなかったのは、2.26事件でも民主党政権時代後期の政局を見ても明らかである。この点については「我々」は繰り返された歴史的事実を直視し、率直に反省しなければならない。
双方の歩み寄りが今求められる。