英総選挙・保守党「判定負け」・脱新自由主義にEU離脱は必要なかったーーポンドを未だに特例的に使えるイギリス
2017年 06月 09日
脱新自由主義にEU離脱は必要なかったーー忘却されていた「ポンドを特例的に使えるイギリス」という単純な事実
関連記事 英総選挙、与党保守党、判定負け?
イギリス総選挙は、与党保守党が現有議席を減らし、過半数を割りました。
メイ首相としては、「議席を伸ばして圧勝し、信任を固める」ために、前倒しの選挙に打って出たのです。それでこの結果ですから、ボクシングでいえば「判定負け」感があります。
冷静に考えると、イギリスは現状でも、ユーロを使わずにポンドを使っています。イギリスはEU発足後も特例を認めてもらっているのです。
ですので、ポンドを刷って、財政支出を拡大することは可能です。
EU離脱を支持した人(特にお年寄りに多かったという)も、EU離脱そのものを積極的に支持した、というよりは、
「EUが新自由主義的な政策を押し付けてくる(のではないか)と恐怖感を感じていた。」
だけではないでしょうか?。
また
「EUにいると難民が押し寄せ、さらにテロが起きる」
とかそういう懸念もあったでしょう。
だが、
「現実にはテロもイギリスが中東で空爆しまくったことが背景にある。」
実際、テロが選挙中も起きた。イギリスも含む有志連合の空爆激化とテロは比例しています。
その上、メイ首相が緊縮財政・福祉カットを打ち出すから、「保守党に裏切られた」と感じたお年寄りも多いだろう。お年寄りもメイを支持する大義名分はなくなってしまった。
はっきり言うとお年寄りが
「EU離脱しなくても新自由主義は止められる」
と判断できていれば「EU離脱」の国民投票結果にはならず、ややこしいことにならなかったのですが。
メイにとって、今回の選挙結果は
「こんなはずではなかったのだが」
でしょう。
しかし、新自由主義に反対するつもりでEU離脱に賛成したお年寄りにとってこそ、メイの福祉カットは
「こんなはずではなかったのだが」
でしょう。