トランプ・安倍夫妻・橋下徹の「背景」としての「ポストモダン」の大罪
2017年 08月 26日
トランプ・安倍夫妻・橋下徹の「背景」としての「ポストモダン」の大罪
アメリカのポストモダン系の学者って、「近代科学は白人男性中心主義・西洋中心主義だからダメ」とかそっちまで行ってしまっている人もいるらしいです。
バカバカしい。イランでは理工系の学生は男女半々ですよ。「イスラム教徒の女性」という「西洋・白人男性」と最もほど遠いはずの人たちが多く理工系の学問を学んでいる国がある。それだけで、上記のいい加減な学者は論破できるのだが、そういう学者が、ポストモダン期(冷戦崩壊~トランプ当選まで)アメリカでは大きな顔をしてきた。
もちろん、そういう学者は「相対主義」の勢い余って、階級格差には鈍感である。そこをトランプに突かれた。
また、「相対主義」というのは、結局は、差別主義者や権威主義者にも、開き直りの余地を与えてしまう。
そういう意味でも、ポストモダン系は、トランプに塩を送ってしまったのです。
こんな状態だから、「クリントンは嫌でサンダースとトランプで迷う」などという有権者が大量に発生することになったのでしょう。
リベラル・左派はポストモダンではなく、もういちど、近代合理主義・立憲主義に依拠した社会的公正さを追及すべきではないでしょうか?
翻って日本。脱原発を主張しながら、他方で、戦前どころか封建時代のようなイデオロギーを支持する安倍昭恵さん。
ここに、日本のポストモダンの終着点が凝縮されているように思う。
西洋が核兵器、そして原発をつくり、植民地支配をしまくり、空爆をしまくってきたのは事実である。
だが、反原発が、さらに西洋への反感へとエスカレートし、合理主義まで否定してしまっているような傾向が一部の左翼にもあり、そうした一部左翼が安倍昭恵さんを持ち上げる傾向もあったのは否定できない。他方、夫の安倍晋三さんらも、また、実は西洋への反感をエスカレートさせている。彼らは、「日本国憲法」を「連合国」(西洋)に「押しつけられた」ことで、「俺たちがエラそうに出来なくなった」ことへの不満を爆発させつつある。さらに、アジア諸国に経済的に追いつかれていることによる焦りもある。
また、日本に於いては、「相対主義」は「ムラ社会」と極めて相性が良く、日本古来の「権力への批判はダサい」と言う雰囲気に「ポストモダン」はますます拍車を掛けてしまった。
その結果として安倍晋三さんの暴走が可能になったとも言える。
さらに、ポストモダンは、就職氷河期の若者をおきざりにした。彼らは、ポストモダンを満喫しているように見える「上の世代」の公務員や教員、大手企業正社員を憎んでいる。
そこへ来て、「公務員、大手企業正社員労組の天誅!」という雰囲気を醸し出した橋下徹さんが登場。大阪府や大阪市の非正規公務員も圧倒的に橋下を支持したのである。
「上の世代」の公務員、教員、大手企業正社員などにとっては「ポリコレ」が大事なのだが、就職氷河期の若者にとってはむしろ「階級闘争」(格差是正)が大事なのだ。ポストモダンが階級闘争をおろそかにした結果として、橋下がバカ受けしたのである。
トランプとサンダース、ルペンとメランション、田母神閣下と宇都宮先生、維新と共産党で迷う人が大量にいるこの時代。
リベラル・左派はポストモダニズムを捨て、階級闘争(格差是正)に軸足を移すべきである。
また、これはイデオロギーの如何を問わず、全体的に言えることだが簡単に「近代を乗り越えた」などと言い放つのは傲慢でしかない。
「近代立憲主義」とか「近代合理主義」を前提にもっと苦悶しないといけないのではないか?