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by hiroseto2004
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北九州市:「パワハラで自殺」非常勤職員の遺族が提訴

これは、条例の方が違法ではないでしょうか?
司法の賢明な判断を臨むとともに、自治体による条例改正を望みます。
非常勤職員は、法の谷間におかれています。
しかし、専門性を発揮して働いているわけです。というか、むしろ、専門性が必要な分野ほど、非常勤職員が多いと言っても過言ではありません。
ところが、労災死についても、こんな風にひどい差別を受けています。






 2015年5月に自殺した北九州市の非常勤職員、森下佳奈さん(当時27歳)の両親が29日、自殺は上司のパワハラが原因なのに非常勤を理由に公務災害の認定請求を認められず精神的損害を受けたとして、市に慰謝料など計160万円の損害賠償を求めて福岡地裁に提訴した。市の条例は非常勤職員本人や遺族による公務災害の認定請求について規定しておらず、遺族は「常勤職員は請求できるのに、非常勤だからと門前払いする条例はおかしい」と訴えている。

 訴状によると、森下さんは12年4月から市の非常勤職員に採用され、戸畑区役所の子ども・家庭相談コーナーの相談員として勤務し始めた。しかし、上司の叱責や業務量の負担増などから13年1月ごろにうつ病となり、15年5月に自殺した。両親が16年8月、公務災害の遺族補償手続きを市に問い合わせたところ、「本人や遺族による請求は認められていない」と回答された。

 両親側は「本人や遺族の請求権を認めない条例は無効で、適切な調査で公務災害かどうかの判断を受ける期待権を不当に侵害された」と主張。同時に市を相手取って労働基準法に基づく遺族補償など約1209万円の損害賠償を求める訴訟も福岡地裁に起こした。

 市は「条例は国が各自治体に示したひな型に基づき定めた。また市の調査で上司のパワハラは認められなかったため、公務災害かどうかを判断する必要もない」としている。

 地方公務員の公務災害を巡っては、常勤職員は地方公務員災害補償法に基づき本人や遺族が第三者機関の基金に認定申請できるが、非常勤職員は適用外になっている。このため各自治体が条例で非常勤職員の補償手続きを定めており、本人や遺族からの申請を認めている自治体もある。【平川昌範】

熊沢誠先生のコメントも併せて転載します。最後まで読んで頂けると幸いです。



2015年5月、北九州市の非常勤女性職員、子ども・家庭相談コーナーの嘱託相談員であった27歳の森下佳奈(敬称略)が、大量の睡眠導入剤を服用して自殺した。2012年4月採用の彼女は、9ヶ月後の13年1月、重度の鬱病を発症し、同3月に退職していた。愛娘の職場の日々の苦闘を見守ってきた両親は、16年8月、公務災害の遺族補償手続きを市に問い合わせている。だが、市はなんと、常勤職員ならば地方公務員災害補償法によって本人や家族が労災補償を請求できるけれど、非常勤職員は、同法にもとづく「条例」によって、役所の所属部署が労災に該当するかどうかを判断し、市の「認定委員会」が認定して保障を行うきまりだ、遺族らに請求権は認めていないと「門前払い」したのだ。
 森下佳奈は、大学と大学院で心理学を学び、「障害のある子どもたちの力になりたい」と志して嘱託相談員になり、この大好きな北九州市で「仕事はつらいけれど、逃げない、相談者のために一生懸命がんばるよ」と話していたという。しかし数ヶ月のうちに、上司から連日のように仕事について問責・叱責され、終日のきりきりする腹痛や、仕事(に)行きたくない、泣きそう、もう動けん、などと訴えるようになる。彼女の自死はあきらかに過重労働と上司の叱正・パワハラに起因する、そう痛感する両親にとって、「門前払い」はあまりに無念で許しがたいことだった。こうして2017年8月29日、両親は、市に対する160万円の損害賠償と、労基法にもとづく労災の遺族補償金など1210万円の請求を福岡地裁に提訴したのである。
 身の震えるような憤りを感じる。「法の谷間」に突き落とされている非常勤公務員の苦しみが指摘されて久しいけれど、労災死についてさえつきまとう、これはなんという非道な差別だろう。労災認定権は市だけにあって、遺族に請求権が認められない! この自治体に限られないとはいえ、このような「条例」をおいている北九州市は、そのあまりの人権感覚の欠如を恥ずかしいと思わないのだろうか? 自治労、自治労連であれ、当該市職であれ、およそ公務員務員労働組合はこれを傍観しているのだろうか?
 市は「調査の結果、パワハラはなかったため労災がどうかを判断する必要はない」とうそぶいている。注目すべき死は電通の高橋まつりのそればかりではない。これからの森下夫妻の法廷闘争は、ひろく知られれば多くの労働者・労働組合に支持されるはずのものだ。ましてこの闘いは、ふえつつある専門職・非常勤公務員の明日にとってきわめて大きな意義を担うだろう。よく知られているように、この雇用慣行は保育、教育、図書館、ハローワーク、相談機関などにまことに広範に広がっている。そこで働く人びとは、森下佳奈がそうであったように、総じて仕事に生きがいを感じ、被差別的な労働条件の下でも、ほとんど献身的に働いている。この法廷闘争は、彼ら、彼女らが「やりがいの搾取」(本田行由紀)にさらされたままの状態から脱する第一歩にほかならない。


by hiroseto2004 | 2017-08-31 09:29 | ジェンダー・人権(労働問題) | Trackback