イラン外相、「イランは核兵器の廃絶と不拡散の原則の遵守を証明している」/アメリカ議会における反核合意の退潮
2017年 11月 10日
くどいようですが、イランは核兵器禁止条約の賛成国です。
イラン外相、「イランは核兵器の廃絶と不拡散の原則の遵守を証明している」
イランのザリーフ外務大臣が、「イランは核合意を締結し、すべての取り決めを実行していることにより、核兵器の廃絶と不拡散の原則を遵守していることを証明している」と強調しました。
ザリーフ外相は10日金曜、ウズベキスタンのサマルカンドで行われた、「中央アジアの持続可能な発展・治安」国際会議で、「イランは宗教信仰によって核兵器の開発と製造、使用に反対しているのみならず、この兵器が不安定化の要因だと考えている」と語りました。
また、イランは1974年から中東地域における核兵器と大量破壊兵器の廃絶の確立に向けた提案を追求しているが、これは、核兵器を獲得するシオニスト政権イスラエルの侵略的な政策と、アメリカのシオニスト政権への支援により、結果にいたっていないとしました。
さらに、中央アジア非核地帯宣言は安全保障への正しい理解に基づいた行動だとしました。
ザリーフ外相は、近隣諸国との全面的な協力は、イランの外交政策の優先事項だとしています。
「中央アジアの持続可能な発展・治安」国際会議は、10日、地域諸国の体制責任者や要人が出席する中、開幕しました。
アメリカ議会における反核合意の退潮
アメリカ議会の核合意に反する行動が明らかな後退を示している中で、アメリカ上院のコーカー議員は、イランとの核合意を改変する計画を断念したとしました。
上院外交委員会の委員長をつとめるコーカー議員は、上院のコットン議員とともに作成したこの案が上院の過半数の賛成を得られなかったことから、この案を断念するとしました。コーカー議員とコットン議員は、議会で法案を可決し、イランに対する核関連の制裁を再開する道を開こうとしていました。この草案では、イランがミサイル活動を継続する場合、停止されていた制裁が再び行使されることになっていました。この法案は、アメリカのティラーソン国務長官の支持を受けていました
こうした中、先週に行われた話し合いでは、核合意に反対する共和党の提案は、法案の採択に必要な共和党の上院議員52人の賛同も得られていないということが示されています。明らかにこの法案が核合意に反していることが、この法案に対する反対の主な理由とされています。核合意では、イランのミサイル計画についての指摘はまったく存在せず、イランのミサイル実験を理由とした制裁の復活は、実際、核合意の消滅を目的としています。このため、民主党の上院議員が一人もこの法案に賛成しなかったことだけでなく、ヨーロッパの断固とした立場も、アメリカ議会における反核合意の退潮に影響を及ぼしています。
EUのアシュトン前外務安全保障政策上級代表は、次のように語っています。
「アメリカ議会が核合意を認めなければ、アメリカは国際的な合意を守らないということを意味する」
確かに、核合意への反対者が、核合意の消滅に向けて努力することは、これからも予想されうることです。たとえば、アメリカ議会は、イランに対する核問題以外の追加制裁案を可決することで、イランの防衛力強化や、西アジア地域におけるイランの役割を妨害し、核合意によりイランが利益を得ることを最小限に抑え、核合意を弱体化し、最終的に消滅させるための下地を整えようとしています。
こうした中、法案の可決に向けた努力を断念したという、コーカー議員の表明は、イランと6カ国の核合意を破棄するうえで、アメリカ議会が無力だということを語っています。この合意は国連安保理にも支持されているのです。このことは、アメリカのトランプ大統領が、先月、核合意に対する脅迫を行いながら、核合意離脱の宣言を拒否し、それを議会にゆだねたということから、重要なものとなっています。現在、時間が経過するごとに、アメリカ議会は国際社会に対峙する力は持っていないことが伺えるのです。