核兵器のない世界の実現を目指し、各国の政府関係者や有識者が議論する国連軍縮会議が被爆地・広島で始まり、国連の軍縮部門トップの中満泉事務次長が核兵器の廃絶に向け信念を持って進んでいくことが重要だと訴えました。
国連軍縮会議は29日から広島市で始まり、核保有国を含む12の国の政府関係者や専門家など合わせて60人が参加します。
この中で、国連の軍縮部門トップの中満泉事務次長は「核保有国による核兵器の近代化など軍拡競争の兆候があり、冷戦時代よりも危険で不安定になるおそれがある。核兵器のない世界に向かって進むため、信念を持ち積極的に関与してほしい」と訴えました。
また、このあと行われたパネルディスカッションで、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の坪井直代表委員は「核兵器廃絶は私の悲願だ。あのような非人道的な兵器を許してはならない。ただ、本当に重要なことは戦争をなくすことであり、私は最後まで人類が平和で幸せであることを願う」と述べました。
世界の核軍縮をめぐっては、ことし国連で採択された核兵器禁止条約に基づいて進めるべきとする非核保有国と、従来のNPT=核拡散防止条約の枠組みで段階的に削減していくべきとする核保有国や日本など核の傘の下にある国との間で溝が深まっています。
会議は30日まで行われ、核軍縮の進展に向けてどのような議論が行われるのか注目されます。