トランプが進めるサウジとイスラエルの反・核合意・反パレスチナ民衆の「ブリッジ共闘」
2017年 12月 07日
トランプが進めるサウジとイスラエルの反・核合意・反パレスチナ民衆の「ブリッジ共闘」
昔、美濃部東京都知事の時代に、社会党に近い美濃部知事を推薦するという形で共産党と公明党が共闘していた時代があった。こういうのをブリッジ共闘という。
トランプが進めているのはサウジアラビアとイスラエルのブリッジ共闘である。その統一綱領は反・核合意であり、反パレスチナ民衆である。
イスラエルの参謀総長はサウジアラビアの新聞に登場し、サウジアラビアとの連携を既に明言している。その媒介はトランプ(というか、娘婿のクシュナー)である。
トランプを媒介としたブリッジ共闘である。
アラブ対イスラエルという構図はもはや古い。せいぜいが1979年くらいまでの話である。
そもそも、1979年にイラン革命が起きて以降、アメリカは、サウジアラビアやイラクのサダム・フセイン、あるいはエジプトのサダト~ムバラクを全面的にバックアップした。サダムがクウェートに侵攻すると、シリアのアサド(父)とさえ組んだ。アメリカ自体も「イスラエル一辺倒」ではないし、アラブ諸国指導層も「反米」ではない。オバマ政権時代は、イスラエルをアメリカが疎ましく感じているようにさえ見えた。イスラエルの現首相は何しろ「ユダヤ人虐殺はパレスチナ人の陰謀」という危ない歴史観の人でもある。オバマが敬遠するのも分かる。
イスラエルもサウジアラビアも、特に冷戦終結以降は、アメリカに見捨てられるのではないか、焦っている面はある。
特に、2016年にイランと米露英仏中独が核合意を結んで以降はそうである。
実を言うと、イスラエルはロシア・中国とも軍事面で協力しており、「保険」を掛けている。サウジアラビアもしかりだ。
トランプ自体もそもそもは、「世界の警察官」を止めるはずだった。バノンがその急先鋒だった。だからトランプに期待してしまった日本人左翼も多かったと思う。「中東空爆しまくり」を止めてくれる、と。
しかし、そのバノンが失脚。実権を代って握ったトランプの娘婿・クシュナーはイスラエルべったりである。
最近のトランプ政権は、ロシアはもちろん、欧州や日本の意向さえも無視して、イスラエルと組んでイランに因縁を付けまくっている。もちろん、空爆もオバマ政権同様、続けている。
他方で、イスラエルはサウジアラビアと組む、と明言している。
そして、トランプはサウジアラビアの顔を立てるために「パレスチナ和平交渉」なるものはやる、と言ってきた。
トランプは、そうした状況(サウジアラビアとイスラエルの共闘成立状況)にいわば「安心」して、イスラエルの首都をエルサレムと認定してしまったことは考えられる。
しかし、パレスチナの当事者は完全に顔を潰された。パレスチナ政府も内部からの突き上げに抗しきれないと思う。
インティファーダが再開される可能性は高い。
当事者を無視した大国の「野合」は最終的にはうまくいかないだろう。