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by hiroseto2004

両備 バス路線の廃止届取り下げへ 小嶋グループ代表が方針表明

両備グループとしても、地域交通の問題提起をするための「ネタ」としての
廃止届でした。
とりあえず、取り下げで良かったと思います。
しかし、地域交通の維持について国民的・県民的議論が引き続き極めて重要です。







地域公共交通網維持に向けた緊急提言

両備グループ 代表兼CEO
(一財)地域公共交通総合研究所 理事長 小嶋光信

私は40数年間交通事業に携わり、20年来、規制緩和の弊害に向き合い、数々の地域公共交通を再生し実証しながら、規制緩和の弊害を補完する地域公共交通活性化再生法や交通政策基本法の成立に尽力してきました。その実態を知り、身体を張って解決してきた実務家としての経験を地域公共交通の維持・発展のために活かすべく設立した産学連携のシンクタンク(一財)地域公共交通総合研究所の理事長として、今回の問題をテコにして地域公共交通の正常化のために、敢えて緊急提言を致します。

1.道路運送法を早急に改正する必要があります。

1980年代のイギリスの地域公共交通の競争政策の大失敗を教訓として、早く改正しないと、日本の将来の交通政策が危うくなると言えます。タクシーや観光バスなどの大問題が起こる度にパッチワークで直そうとしても、この法律の全体が「競争自由」という組立で整合性が取れないのです。少なくとも日本のような少子高齢化の国には危うい法律と言えます。

旧来の道路運送法は、供給サイドである交通事業者に有利でしたが、一転、現在の法律は需要サイドの利用者に有利で、交通事業者へ配慮が少ない法律で、極端に変わりすぎています。今回の改正の提案主旨は、交通事業者の「健全性」が利用者の利益の源泉になることを前提とし、需給のバランスを十分加味し、需要旺盛な地域は「競争維持」、需要減少地域は「事業の健全な発展=適正な運営及び公正な競争を確保するとともに道路運送の秩序を確立すること」を図るようにすべきです。

例えば、「この法律は、貨物自動車運送事業法と相まって、道路運送業の適正な運営及び公正な競争を確保し、道路運送に関する秩序を確立するとともに、利用者の需給に的確に対応し、輸送の安全の確保を第一としながら、道路運送の総合的な発展を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする」とすれば需要サイド、供給サイドに配慮し、大都市には競争を、地域には秩序の維持を図りつつ利用者の利益を図れるようになるのではないでしょうか

2.交通政策基本法第13条に沿って、地域公共交通活性化再生法の改正と整合するように関連法案や通達を整備すべきです。

少子高齢化で需要が減退する地域では、利用者の利益は運賃が安いという以上に地域の交通網の維持に変わってきて、交通政策基本法第13条で地域公共交通活性化再生法の改正が行われ、これからは交通網と地方への権限移譲が図られるようになっています。

しかし、道路運送法や国交省の通達との整合性が上手く機能していない懸念があります。これらの整備をしないので、未だに旧来の競争自由がまかり通り、時代が変わったにも拘わらず旧来の敗訴の実績や訂正されていない局長通達などでマニュアル化した判断に陥り、地域の公共交通を守るのではなく、旧来の法律を守るような判断が生まれている懸念があります。

3.時代や地域に即した手続きへの変更が必要です。

人口や利用者減少地域の公共交通網を守るために行政判断と行政指導の範囲で以下の対応を行うべきです。

① 申請受付と同時に、内容を公表し反対聴聞を受け付け、広く地域の事情を把握すること。

② 地域の公共交通網に懸念が生じる事案には、国が交通政策基本法の理念である交通に関わる国、自治体、市民と交通事業者による責務と努力義務を勘案し、協議会の開催を主導する。この協議では、これらの申請がどのような影響を地域と業者に与えるかの議論を通じて地域の公共の福祉や地域の発展に結果的につながるか、路線網を維持できる公正な競争で利用者の利益になるかの進言をすること。

③ 地域公共交通網の維持に必要な路線の廃止届は、地域での聴聞と協議を通じて路線網の維持が何らかの方法で確保されるように配慮する等でコンセンサスを得ることを前提とすること。

事業者が提出すれば6ヶ月で廃止となるような制度が温存されれば、8割が赤字のバス事業の路線網の維持はできないのです。

4.交通網の維持が難しい地域では、「利用者の利益」は運賃がやすいことだけでなく交通網が維持されることと言えます。

従って、人口が減少する利用者減少地域の新規路線の申請は運賃のみならず運行回数の増加も過当競争と不当な競争を惹起することになります。

例えば、今回の例で言えば、認可された運賃は既存事業者の3割から5割安いところ、既存事業者としてはこれに同調せざるを得ず、これだけでも収入率は3割から5割低下することになります。これに加え、運行回数も3割も増えるので、一運行の顧客密度は単純計算でも、1/1.3の約77%に低下することとなります。そうすれば、総合的な経営の悪化は0.77×0.7~0.5 = 約54%~39%となり、実に4割~6割もの減収という極めて厳しい状況に追い込まれてしまうのです。

もちろん、この結果として利用者の増加が生じることが考えられますが、既に利便性が高い路線であり、その増加は減収を補うには到底至らないと考えられます。これが果たして道路運送法でいう「健全な発達を阻害する結果を生じるような競争」ではないと言えるのでしょうか?

運賃と繁忙時の運行回数だけをチェックする現行の仕組みでは、需要のない地域に供給過剰を惹起することにもなり、厳しい地域公共交通網を維持し得る審査基準とは言えません。従って、運賃のみでなく、運行回数の増加も経営維持に極めて甚大な影響があり、改善せねばならないのです。

5.路線のクリームスキミングも加味することが必要

路線網を維持するには、クリームスキミングでの運行回数のチェックと運賃だけでなく、市内の中心部から地域に延びている多客路線部分という、いわば美味しいところだけをクリームスキミングする申請か否かも交通網維持には欠かせないチェック項目で、これも「路線のクリームスキミング」として、クリームスキミングの概念に加える必要があります。

6.人口減少、需要減少時代に需給調整を廃止し、美味しいところのみを狙い撃ちする競争が自由にできるような規制緩和は問題があります。

統計的に人口増加が見込まれ、需要が増大する地域には現行の規制緩和で対応し、自由な発想で供給が多様化し、利用者に利益になる発想が活きるようにして、統計的に人口減少で需要が減ると分析できる地域には新しく需給調整規制を復活し、地域の公共交通の維持と事業の健全な発展の両立をはかるように道路運送法を改正すべきです。

7.地域総合交通局などの創設が必要

現状の鉄道局、海事局、自動車局の縦割りから総合的に地域にあった交通を考えるように、大都市圏交通局と地域交通局のように需要と供給に沿った地域別横串を刺した行政対応とすることも検討すべきです。

大都市圏では現行法で、地域交通は需給調整規制を復活して地域公共交通網の維持を図る必要があります。
ここまでの大改革と言わないまでも、「地域総合交通局」を新たに創設し、地域においては代替え輸送などの総合的見地から地域の自動車も鉄道も海事も一体に考える専門官養成と専門局が必要です。特に網計画で自治体に任せていったときのフォロー体制を組む必要があります。

8.地域公共交通網形成計画や再編実施計画のより速やかな普及

地域交通網形成計画は、3年半弱で約330件です。倉敷・玉野・瀬戸内市でも策定されているなど普及は進んでいるものの、岡山市ではいまだ策定のための協議会さえできていません。いつになれば交通網形成が実施できるのかということは、地域公共交通機関を利用している国民全員が疑問に思っているところです。また、自治体により強い権限を与える地域公共交通再編実施計画の大臣認定は20件程度と少ない状態です。

かかる喫緊の問題になっている地域公共交通の維持にはスピード感が必要で、行政としては明確に期限を切って取り組むべき課題です。そのためにも、地域公共交通再編実施計画の策定を推進し、地方自治体による地域公共交通マネジメントを推進する必要があります。地域公共交通再編実施計画では、自治体と各交通事業者の合意の下、計画に基づかない新規参入や退出を認めないこととなっており、現行法で国が持つ権限よりもより強い権限を自治体が持つことができる仕組みになっています。
国は責任をもってこれらの計画を迅速に推進していかねばなりません。

9.交通目的税の創設

現状のやり方では人口が減少する地方自治体では、財政的に路線を減少せざるを得ない環境にあるでしょう。地域交通網を維持するためには、ここで先進国型の交通税を創設する必要があります。

過度にマイカーに依存した社会から公共交通を利用することで、環境や健康、都市の安全や活性化のために、これらの財源確保にマイカーの抑制も兼ねて従来の道路目的税のようにガソリンに付加することが一つの方策です。そうすれば、旧道路目的税の如く国に半分、地方に半分の税収が地域に潤い、それぞれの自治体が自立した交通網を形成する財源になり、今までの守りの地域公共交通から、環境や健康、地域活性化に役立つ公共交通改め、攻めの交通政策が期待できます。

10.「乗って残そう地域公共交通運動」を国民運動として提唱

いくら財政的に地域公共交通を支えても、乗っていただけなければ意味がありません。少子高齢化の社会が進めば、後ずさりのパッチワークになってしまいます。

もうそろそろ低・中開発国型のマイカーへの極度の依存を改めていかなければなりません。東京、大阪、名古屋はじめ大都市は、すでに公共交通社会に転じています。地域だけが新しい先進国型の流れに乗れていません。豊かで、便利で自然豊かな人間らしい地域を創り上げ、環境や健康に配慮した地方に住みたいと思うようにすることこそが、大都市依存の日本の姿から美しい地域の日本へと変えていくのです。そのためにも、「乗って残そう地域公共交通運動」を国民運動として提唱します。

以上

【 参考 】
交通政策基本法(法制上の措置等)
第十三条 政府は、交通に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

道路運送法
(目的)
第一条 …輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。

(許可基準)
第六条 国土交通大臣は、一般旅客自動車運送事業の許可をしようとするときは、次の基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること。
二 前号に掲げるもののほか、当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
三 当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。

(一般乗合旅客自動車運送事業の運賃及び料金)
第九条 一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般乗合旅客自動車運送事業者」という。)は、旅客の運賃及び料金(旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める運賃及び料金を除く。以下この条、第三十一条第二号、第八十八条の二第一号及び第四号並びに第八十九条第一項第一号において「運賃等」という。)の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して、これをしなければならない。

(公衆の利便を阻害する行為の禁止等)
第三十条 一般旅客自動車運送事業者は、旅客に対し、不当な運送条件によることを求め、その他公衆の利便を阻害する行為をしてはならない。
2 一般旅客自動車運送事業者は、一般旅客自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。

以上


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by hiroseto2004 | 2018-03-14 19:47 | 環境・街づくり | Trackback