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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

神戸女学院大学の胸を打つ広告

これは素晴らしい広告だと思います。
「『正解がない』。その不確かさを、不安ではなく、自由として謳歌するために。」
というところに大学側は力点を置きたかったとか。






「女は大学に行くな、」――。神戸女学院大学がこの4月から掲出している電車内広告に、「電車の中で泣きそうになった」「ぐっとくる」といった声が寄せられています。

最初に掲出した、2017年6月バージョン

 前半部分だけ読むと一瞬ドキッとするキャッチコピーですが、続きまで読むと「女は大学に行くな、という時代があった」という1文であることが分かる仕組みです。

 女性をとりまく環境が変化し、選択肢が広がった今だからこそ、逆に迷いや葛藤に直面することも増えた。そんな正解がない時代を謳歌するために、「学ぶことができる」という、決して当たり前ではない幸福を忘れないで――。

 イラストなどは一切使っていない、文字だけのシンプルな広告であるにもかかわらず、Twitterではこのメッセージに対し「かっこいい広告だなあ」「まじまじと読んだ」など、さまざまな反応が寄せられました。中には「日本はまだ女性への“重力”が強すぎる」など異を唱える声も見られましたが、そういった議論も含めて、大きな反響を呼んでいるのは間違いないようです。

 一体なぜこのような広告を掲載したのか、神戸女学院大学に話を聞きました。

―― 今回のような広告は以前から掲出しているものなのでしょうか。

 今回のような広告は2017年6月と11月、2018年3月にも掲出しています。今回も含めて、広告を掲出した大きな目的は、2017年にブランディングの一環として制定したタグライン「私はまだ、私を知らない。」をPRするためです。

 ただ、3月については上記目的に加えて、卒業する全ての女子学生に向けたメッセージを込めました。また、今回掲出しているものは、本学が新制大学として認可されてから70年を迎えたことのPRと、この春に大学に入学する皆さんに向けたメッセージも込めています。

―― 文字だけの広告というのは近年珍しいと感じました。広告でもっとも訴求したかったポイントはどこですか。

 最初に掲出した(2017年)6月の原案では、文字だけではなく写真入りの案もありました。ただ、大学執行部が出席する学内の会議ではメンバーから「文字だけのほうがインパクトがあるのではないか」ということになり、それ以後、文字のみのデザインで掲出しています。

 訴えたいポイントは上記にもある通り、本学のタグライン「私はまだ、私を知らない。」の周知と、それが表現する学びについてです。本学は、幅広い学びを追求する「リベラルアーツ教育」を教育の方針としています。自分は「知ってる」と思って探求心を閉じてしまうのではなく、謙虚に学び続ける姿勢を身につける教育を行っているということから、上記のタグラインを制定し、社会にPRしていくことになりました。

―― 交通広告という媒体を選んだのに理由はあったのでしょうか。

 本学はこれまで積極的には広告を展開してきませんでした。その意味で新しい施策を打てればということで、交通広告を掲出することになりました。

―― SNSで話題になっていることは把握していましたか。

 4月のものがこれほどまでになっているとは知りませんでしたが。それまでの広告は、今回ほどではありませんが、SNSで取り上げてくださる方が多くいらっしゃいました。特に卒業生からの反応が大きかったです。

―― 女性の大学進学について、今もまだこういった呼びかけは必要だと感じていますか。

 「女は~」が大きく出ていますので、そのように受け取られてしまうかもしれませんが、こちらとして本当に伝えたいのは「『正解がない』。その不確かさを、不安ではなく、自由として謳歌するために。」というところです。何事にも正解を見いだしにくい今の時代だからこそ、本学が志向するリベラルアーツ教育の意味があると考えます。そして、大学時代だけではなくその後の人生においても学び続けていってほしいと願っています。

 「女は~」のコピーは、過去にそのような時代があったということを持ち出すことで、今の時代に当たり前と思われていることが決してそうではなく、今後も私たちは不断の努力によりその「当たり前」を維持していかないといけないと考えます。

 神戸女学院大学の交通広告は、JR(普通電車)が4月1日~30日まで、阪急(全線)が4月3日~16日までそれぞれ掲出予定。もし見かけた時はじっくりと、そのメッセージに耳を傾けてみるのもよいかもしれません。

by hiroseto2004 | 2018-04-09 21:23 | ジェンダー・人権 | Trackback