地下鉄ホームのPM2.5濃度 最大で地上の約5倍に | NHKニュース
2018年 10月 14日
売店の従業員からは心配の声
東京メトロの地下鉄の売店で働く契約社員などでつくる労働組合の支部の委員長の後呂良子さんは、10年以上、地下鉄の駅の売店で働いています。
週5日、駅のホームですごしています。売店では手袋とタオルで商品の汚れを払っていますが、1日たつと粉じんとみられる黒っぽい粉で汚れるといいます。また、1日の仕事を終えて鼻をかむと、ティッシュが真っ黒になるといいます。
後呂さんの労働組合の支部では、平成21年に売店の運営会社に駅構内の粉じん調査を要望、会社が調査を実施した結果、「人体の健康被害は考えにくい」という回答でした。
しかし、調査をした時はPM2.5について、屋外を対象にした国の基準もなく、回答の中ではPM2.5の健康影響までは評価されていませんでした。
後呂さんは「えたいの知れないものを吸い込んでいると思うと気持ちが悪い。地下鉄を止めることはできないので、日ごろから濃度を把握できるようにしてほしい」と話し、実態の解明を求めています。
労働組合の支部の要望で9年前に粉じんの調査をした、売店を運営する東京メトロの子会社、メトロコマースは「平成21年の調査結果を踏まえると、駅構内の環境が健康に影響する可能性は低いと考えておりますが、従業員から要望がくることについては、今後も会社として従業員の労働環境・健康管理に適切に対応していきたいと考えております」とコメントしています。
週5日、駅のホームですごしています。売店では手袋とタオルで商品の汚れを払っていますが、1日たつと粉じんとみられる黒っぽい粉で汚れるといいます。また、1日の仕事を終えて鼻をかむと、ティッシュが真っ黒になるといいます。
後呂さんの労働組合の支部では、平成21年に売店の運営会社に駅構内の粉じん調査を要望、会社が調査を実施した結果、「人体の健康被害は考えにくい」という回答でした。
しかし、調査をした時はPM2.5について、屋外を対象にした国の基準もなく、回答の中ではPM2.5の健康影響までは評価されていませんでした。
後呂さんは「えたいの知れないものを吸い込んでいると思うと気持ちが悪い。地下鉄を止めることはできないので、日ごろから濃度を把握できるようにしてほしい」と話し、実態の解明を求めています。
労働組合の支部の要望で9年前に粉じんの調査をした、売店を運営する東京メトロの子会社、メトロコマースは「平成21年の調査結果を踏まえると、駅構内の環境が健康に影響する可能性は低いと考えておりますが、従業員から要望がくることについては、今後も会社として従業員の労働環境・健康管理に適切に対応していきたいと考えております」とコメントしています。
専門家「短時間であれば大きな問題ではない」
PM2.5の健康影響に詳しい、京都大学の高野裕久教授は「濃度自体は高いが、一般の利用者のように駅を利用する時間が短ければ大きな問題にならないと考えられる。しかし、PM2.5の影響を受けやすい呼吸器や循環器に疾患がある人やアレルギーの人、高齢者や子ども、また長く駅に滞在する人は、より注意をする必要がある。また、成分が屋外と異なって鉄などの金属が多いということが気になる。金属は一般的な大気環境中のPM2.5では、悪影響を及ぼす成分であると指摘されていて、地下鉄のPM2.5でも影響があるか調べることが必要だ」と話しています。
環境省の基準は
PM2.5は大気中を浮遊する大きさが1000分の2.5ミリ以下の極めて小さな粒子で、成分は鉄などの金属や硫酸塩や硝酸塩、そして有機物などさまざまです。
工場や自動車の排ガスなどから発生するほか、中国からも飛来し、吸い込むと肺の奥まで入りこみ、ぜんそくや気管支炎、肺がんなど、呼吸器の病気や不整脈など循環器の病気のリスクが相対的に高まるとされています。
環境省は昭和48年に、大きさが1000分の10ミリ以下の微粒子について、大気中の濃度の環境基準を定めました。その後、より小さなPM2.5が健康に悪影響があることを示す科学的な知見が報告されるようになり、環境省は平成21年9月に、大気中のPM2.5の濃度を年平均で、1立方メートルあたり15マイクログラム以下に、また日平均で1立方メートルあたり35マイクログラム以下にすることが望ましいとする環境基準をつくりました。
ただし、この環境基準は屋外が対象で、地下鉄や地下街、建物の中など閉鎖された場所でのPM2.5の濃度の国の基準は現在ありません。
工場や自動車の排ガスなどから発生するほか、中国からも飛来し、吸い込むと肺の奥まで入りこみ、ぜんそくや気管支炎、肺がんなど、呼吸器の病気や不整脈など循環器の病気のリスクが相対的に高まるとされています。
環境省は昭和48年に、大きさが1000分の10ミリ以下の微粒子について、大気中の濃度の環境基準を定めました。その後、より小さなPM2.5が健康に悪影響があることを示す科学的な知見が報告されるようになり、環境省は平成21年9月に、大気中のPM2.5の濃度を年平均で、1立方メートルあたり15マイクログラム以下に、また日平均で1立方メートルあたり35マイクログラム以下にすることが望ましいとする環境基準をつくりました。
ただし、この環境基準は屋外が対象で、地下鉄や地下街、建物の中など閉鎖された場所でのPM2.5の濃度の国の基準は現在ありません。
地下鉄など閉鎖された屋内の基準はなし
地下鉄のPM2.5について、環境省に取材したところ、現在のPM2.5の環境基準は屋外の大気中のものが対象で、地下鉄や地下街、建物の中など閉鎖された屋内の空間は対象にならないということです。
屋内のPM2.5の濃度の基準をつくる具体的な予定は現時点ではないとしています。
厚生労働省では建築物の環境衛生管理の基準で、図書館や博物館、学校など特定の建築物を対象に浮遊する粉じんの濃度の上限は設けていますが、地下鉄の駅は原則、対象とはなっていないということです。
また、粉じんの中でPM2.5の濃度の基準はなく、現時点では地下鉄などを対象にした環境衛生管理の基準を決める検討もしていないとの回答でした。
鉄道を管轄する国土交通省は、地下鉄の駅やトンネル内に換気設備を設けることは義務付けていますが、粉じんの濃度に関する基準は設けていないということです。
地下鉄でPM2.5の調査を行った慶應大学の奥田知明准教授は「地下鉄の空気の環境を誰が責任をもつのかわかりずらい。今まで見過ごされてきた空間だといえる。今後、地下鉄をはじめ、閉鎖空間の基準の整備も検討すべきだ」と話しています。
屋内のPM2.5の濃度の基準をつくる具体的な予定は現時点ではないとしています。
厚生労働省では建築物の環境衛生管理の基準で、図書館や博物館、学校など特定の建築物を対象に浮遊する粉じんの濃度の上限は設けていますが、地下鉄の駅は原則、対象とはなっていないということです。
また、粉じんの中でPM2.5の濃度の基準はなく、現時点では地下鉄などを対象にした環境衛生管理の基準を決める検討もしていないとの回答でした。
鉄道を管轄する国土交通省は、地下鉄の駅やトンネル内に換気設備を設けることは義務付けていますが、粉じんの濃度に関する基準は設けていないということです。
地下鉄でPM2.5の調査を行った慶應大学の奥田知明准教授は「地下鉄の空気の環境を誰が責任をもつのかわかりずらい。今まで見過ごされてきた空間だといえる。今後、地下鉄をはじめ、閉鎖空間の基準の整備も検討すべきだ」と話しています。
by hiroseto2004
| 2018-10-14 20:28
| 環境・街づくり
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