広島県警中央署現金盗難事件について 市民が警察をチェックする仕組みを
2019年 02月 25日
広島県警中央署現金盗難事件について 市民が警察をチェックする仕組みを
2017年5月、広島県警中央署の金庫において、詐欺事件の捜査で押収した現金約8572万円が盗難に遭うという事件が発生しました。広島県警の捜査は難航し、発覚から1年9ヶ月以上も経ってから「死亡した30代男性警部補を被疑者死亡で書類送検」という形で幕引きしようとしています。多くの県民はこの間の事態の推移に大きな疑問を抱いており、県民の警察に対する信頼は地に墜ちています。
そもそも、このような事態を招いた背景には、警察に対するチェックが機能していないことがあります。
第二次世界大戦前、二大政党のうちの与党になった政党が警察人事に介入し、野党の弾圧を警察に行わせて選挙を有利に運ぶことに利用されました。こうした政治による警察の私物化が大きな批判を浴び、軍部台頭の一因にもなりました。
その反省から戦後は日本国憲法の下で「民主警察」として再出発し、警察官にも労働組合結成が認められました。「市民が治安を守る」という建前で独立した公安委員会も設置されました。
しかし、基礎的自治体ごとに警察があったこともあり、十分に機能しなかったということもありました。そして、冷戦激化以降のいわゆる「逆コース」の中で、「民主警察」は後退し、消防職員や刑務官などと同様に労働組合も禁止されました。そして、都道府県公安委員会も名誉職化し、形骸化しています。
本紙は「立憲主義回復」の立場から、警察に対して、日本国憲法施行と同時に再スタートした時の「民主警察」の原点に戻ることを求めます。そのために、「市民が警察を監視する」仕組みをつくることを提案します。公安委員を「公選制」ないし県民による「推薦制」にすることや「リコール制」の導入、公安委員会に警察官とは独立した事務局を設け、警察の不祥事も遠慮無く調査できるようにする、また警察労働者にも「団結権」を再び認める、などの改革を求めます。