アメリカ政府関係者、「トランプ大統領が、イランとの2者協議を希望」、EUはイランの核合意残留希望
2019年 05月 09日
アメリカ政府関係者、「トランプ大統領が、イランとの2者協議を希望」
アメリカ国家安全保障会議のVictoria Coates中東担当上級主任が、「アメリカのトランプ大統領は、イランとの二者協議を希望している」と語りました。
オーストリア・ウィーンを本拠地とするウェブサイト、teletraderによりますと、Victoria Coates上級主任は8日水曜、「イランとの二者協議というトランプ大統領の提案は誠実なもので、彼はイランの政府関係者が自分の要求を受け入れるよう希望している」と述べています。
イランのローハーニー大統領は、アメリカの核合意離脱からちょうど1年に当たる今月8日、ヨーロッパ諸国がアメリカの核合意の代償をきちんと補填しなかったことに触れ、「イランは、核合意の枠組みにそって、わが国の2つの義務の履行を停止、今後60日間にヨーロッパ側が自らの怠慢の結果を償うのを待つことにする」としました。
イランのアラーグチー外務次官も、「わが国はこれまで、核合意に留まってきたが、この合意からの段階的な離脱を視野に入れている」と語っています。
トランプ大統領は8日、イラン国民の日常生活を逼迫し、同国の輸出による収入減少を狙うため、新たな大統領令を発し、鉄やアルミニウム、銅をはじめとする金属部門での対イラン追加制裁を行使しました。
EU、「イランの核合意残留を希望」
イランが核合意内の義務履行の一部停止に踏み切った翌日、EUがイランの核合意残留を希望すると表明しました。
フランス通信によりますと、EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表、および英独仏の外相らは9日木曜、声明を発表し、「核合意に関する最後通牒の全てを拒否し、この合意に定められた自国の義務履行の縮小というイランの声明を、懸念をもって注視している」としています。
イランのローハーニー大統領は、アメリカの核合意離脱からちょうど1年が経過する8日水曜、ヨーロッパ諸国がアメリカのこの行動の代償をきちんと補填しなかったことに触れ、「わが国は、核合意に定められた、わが国の2つの義務の履行を停止し、今後60日間にわたってヨーロッパ側にその義務履行怠慢の埋め合わせを促すものとする」と述べました。
また、イランのアラーグチー外務次官も「わが国はこれまで、核合意に留まってきたが、この合意からの段階的な離脱を視野に入れている」としています。
こうした中、ドイツ国際放送のドイチェヴェレは9日、EUの上級関係者の話として、「ヨーロッパは、イランがこのたび核合意内の義務履行の一部停止を、核合意への違反および離脱とはみなさない」と報じました。
EUは、9日に発表した声明において、核合意への支持を表明するとともに、アメリカが核合意離脱後に対イラン制裁を復活させたことに遺憾の意を示し、「イランが核合意合同委員会をはじめとする、核合意の枠組みや方策に踏みとどまるよう希望する」と表明しています。
イラン、核活動一部再開 菅氏「建設的な役割果たすべき」
菅義偉(すが・よしひで)官房長官は8日の記者会見で、イランが核合意に基づく一部の義務の履行停止を表明したことについて「わが国はイラン核合意を一貫して支持してきた。中東情勢安定化のためにはイランが建設的な役割を果たすことが重要だ」と述べた。緊迫度を増しているイラン情勢については「引き続き注視していきたい」と語りました。
日本とイランとの伝統的な友好関係を生かし「(中東の)平和と安定に向け対話を通じた問題解決に取り組んでいきたい」とも述べました。
イランのローハーニー大統領は8日水曜、生中継されたテレビ演説において、「アメリカがイラン核合意から離脱し、ヨーロッパを初めその他の核合意署名国はこの合意で定めた取り決めを実行できなかった。これを受け、イランはこの1年間辛抱してきたが、今後は濃縮ウランと重水売却に関し、合意枠内の責務分を縮小する」と表明しました。
イラン核合意の条項の一部は、この合意の署名国のいずれかが取り決めを守らなかった場合、イラン側も取り決め履行を停止する権利が認められています。