イラン核合意をめぐるウィーン会合最終声明、「核合意存続への努力を高めるべき」・イラン政府報道官、「ペルシャ湾での欧州艦隊の派遣はわが国への敵対的なメッセージ」
2019年 07月 29日
欧州による艦隊派遣も、アメリカほどではないにせよ反感を買うでしょう。やはり、欧州も、まず、緊張の根本原因であるアメリカによる挑発を止めさせ、緊張緩和最優先で行動を。
オーストリア・ウィーンで28日日曜、外務次官・政治局長級でのイラン核合意合同委員会緊急会合が開催されました。
イランから出席したアラーグチー外務次官は1日日程の会合の終了後、記者団に対し「イギリス海兵隊によるジブラルタル海峡でのイランタンカーの拿捕は核合意違反だった。これに関する協議も建設的なものだった」と説明しました。
また、「問題が全て解決したとは言えないが、今回の会議で多くの約束がなされたと言うことはできる」と述べました。
ロイター通信によりますと、核合意合同委員会の調整役を務める欧州対外行動庁のシュミット事務局長は28日、今回の会合の終了声明において、「核合意存続に向けた努力を高める必要性がこの声明の骨子である」としました。
この声明ではまた、「核合意の維持は地域の安全や安定にとって不可欠」とされています。
シュミット事務局長はさらに、「これに鑑み、核合意関係国はアメリカの一方的なこの合意からの離脱および対イラン制裁による悪影響の緩和に努めている」と述べました。
この最終声明で触れられたその他の事柄には、イラン・欧州間の円滑な金融取引を目的とした「貿易取引支援機関」(INSTEX)が挙げられ、「INSTEXは、全てのEU加盟国に対して門戸を開放し、EU加盟国の一部はさらにその株主になることを意図する」とされています。
なお、今回の会合に出席した中国代表は、「全ての関係国はこの合意の存続を求めており、アメリカの立場に反対している」と述べました。
在ウィーン国際機関のウリヤノフ・ロシア常駐代表も、「今回の会合は建設的なものだった」と評価しました。
イラン政府報道官、「ペルシャ湾での欧州艦隊の派遣はわが国への敵対的なメッセージ」
イランのラビーイー政府報道官が、「ペルシャ湾に対するヨーロッパ艦隊の派遣は、現在のところ挑発行為であり、このような行動はイランにとって敵対的なメッセージを含み、緊張に追い討ちをかけるだろう」と述べました。
フランス、イタリア、デンマークなどヨーロッパの複数国は、ペルシャ湾でのヨーロッパ主導連合艦隊の結成を目的にした英政府の構想を支持しています。
ラビーイー報道官は28日日曜、定例記者会見を行い、「イランは全ての国に対し、このような挑発行為を控えるよう呼びかける」と述べました。
また、「地域の安全は地域諸国により確保されるべきもので、イランは地域の船舶の安全を確保する最大の国だ」としています。
さらに、地域をめぐるイランとの対話という、サウジアラビア国連代表の表明を歓迎し、「この種の表明は、具体的な行動により行われる必要がある。イランはサウジアラビアが地域の安全回復に独立した役割を果たしうると考える」と語りました。
そして、「アメリカの好戦主義者らは、イラン国民が圧力や制裁に抵抗しないと思い込んでいた。しかし、イラン国民は今日、制裁をめぐるアメリカの分析を打ち砕いた」と述べました。
ラビーイー報道官はまた、イギリスにより拿捕されたイランの船舶に関するイランの立場は明確だとし、「英政府は、イランの船舶を解放すべきだ。その上でイランは、善意に基づいて決断を下すことになるだろう」としました。